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古文について質問です。
古文について質問です。 なむ な(強意)➕む(推量) きっと~するだろう みたいな訳ですよね? これが、むの婉曲の意味でとれたりってありえますか?
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「なむ」に婉曲の意味もあります。長くなりますが、次に説明します。 「強意・確述の助動詞な+推量の助動詞む」からなる「なむ」は、一語の単語ではなく、連語とされます。結びついてはいますが、各々の単語の意味・性格は持ち続けています。また、相互の単語の意味・性格の複合により、新しい意味・性格を持つこともあります。 推量の助動詞「む」は、ほぼ同じ意味を持つ助動詞が存在します。それは、同じ推量の助動詞「べし」です。両者の違いは、「べし」が確実性の高い、確信を持った推量であることで、「む」は逆に確実性・確信性が低い推量ということです。一般的な口語訳の時には同じように訳されますので、違いは判りませんが。 これに対して「な」は、完了・確述の助動詞「ぬ」の未然形です。完了の助動詞は、「ぬ」の他に、「つ」「たり」「り」があり、合計4種類の助動詞が存在します。この4種類の完了の助動詞は、強い完了の「つ」「ぬ」と、弱い完了の「たり」「り」に分かれます。そのため、弱い完了の「たり」「り」は完了の意味より、存続の意味(~ている・~てある)に使われることの方が多くなります。これに対して、強い完了の「つ」「ぬ」は、強いゆえに強意や確述・確信の意味が派生します。 この強い完了の「な」と弱い推量の「む」が結び付くと、意味が複合され、強い推量の意味を持つようになります。その反面、「む」のもともと持っている性格で変わらない面も残ります。 主語が一人称の場合、自分のことなので、「む」は意志を表します。これが、「なむ」となると、強調され、強い意志を表すようになります。 主語が二人称の場合、目の前の相手に働きかけるので、「む」は勧誘・当然・適当を表します。これが、「なむ」となると、勧誘・当然・適当の意味を強調します。 主語が三人称の場合、自分や話している相手以外の人物についての事柄なので、「む」は推量を表し、これが、「なむ」となると、強い推量を表すことになります。 これに対して、婉曲・仮定の意味の場合、主語の人称に関係なく用いられます。この意味の場合、「む」は連体形で用いられ、「む」の下には、名詞(体言)や、助詞の「は」「に」「には」などが付きます。これが「なむ」と連語になると、「なむ」の下にほとんどの場合係助詞の「や」が付いて、「なむや」で婉曲な命令、勧誘を表し、「~たらどうだ・~てくれないか」の意味になります。また、「なむや」で、反語の意味(~であろうか、いや~でない)も表します。