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位相幾何学のことでの問題
平面上の図形で球面と同相なものはないっていう問題です。 イメージは掴んではきているのですがいまいち、わかりません。 だれかお願いします。
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さて証明ですが、きちんとやると結構大変なので概要だけ書いておきます。 一応イメージが湧く程度に書いておきますが、適当な図を書きながらイメージをつかんで下さい。 まずどの位相で考えるのかをはっきりさせておきます。 以下では位相空間Xと位相空間Yが同相であることをX~Yを書きます。 球面をSとし、平面(2次元ユークリッド空間)をH、球面と同相なHの部分集合が存在すると 仮定してそれをBとしておきます。(そこから矛盾を導き、Bの存在を否定することで ’平面上の図形で球面と同相なものは存在しない’という質問の命題を証明します。) BからSへの同相写像(全単射な連続写像)をfとし、SからBへの同相写像(fの逆写像です) をgとします。 Sの位相はS上の距離で入れます。すなわち;a,b∈Sの距離をaとbを通る大円の弧の長さの短い 方で定義し、球面上の開集合は球面上の各点から距離ε未満(ε>0)の点とします。 この開集合によりSは位相空間になります。 次に、Bの位相は2次元ユークリッド空間Hの相対位相で定義します。すなわちHの開集合と Bの共通部分をBの開集合とします。(Hの開集合はSの場合と同じく平面上の各点から 距離ε未満の点です) 最初にいくつか必要な言葉を定義します。細かいことは位相数学の教科書でも見て下さい。 ●弧状連結性 Xの任意の2点a,b(a ≠b)に対して、 実数の閉区間[0,1]からXへの連続写像fで、f(0)= a,f(1)= bとなるものが存在する、 とき、Xは弧状連結であるといいます。この像f([0,1])はaとbを結ぶ弧と呼ばれます。直観的に いえば、aとbを結ぶ弧とは、X上の曲線でaとbが端点になっているようなものです。 さらに弧は交点をもたないと仮定出来ます。その理由は、直観的ないい方になりますが、ある弧 が交点を持つとするとループが出来るが、そのループ部分を切捨てたものも弧になるからです。 弧状連結なら連結ですが逆はいえません。 ●位相不変性 位相空間の性質(または量)Pで同相写像によって不変であるもの位相不変性(位相不変量)と 呼びます。位相不変な性質は連続写像で移される性質でもあります。 すなわち位相空間Xの部分集合Aが位相不変性Pを持っているとすると、Xから位相空間Yへの 連続写像fによるAの像f(A)もPを持っています。 例えば コンパクト性、連結性、弧状連結性はいずれも位相不変性です。 ●(補助命題)X~Yとし、fをXとYの同相写像。AをXの任意の部分集合とする。 このときX\A ~ Y\f(A)。つまり同相な集合から同相な部分集合を除いたものも同相である。 証明は簡単なのでご自分で考えてみて下さい。同相や連続の概念の理解度を試すのに手頃な問題 だと思います。 さて証明の概要です。 (1)まずSはコンパクトかつ弧状連結(従って連結でもある)です。この証明はいいでしょう。 (2)これらの性質は位相不変量なので、Bもコンパクトかつ連結かつ弧状連結です。さてBの 適当な内点iを取ります。(Bに内点が存在しない場合は別に考えます。) (3)Bのある2つの異なる境界点sとtを選ぶと、sとtを結ぶ弧であって、iを通り、かつsとt 以外の境界点を通らないようなものが存在します。(*1) (4)さて、この弧をαとします。Bはαによって2つの領域に分けられます。(*2) つまりB\αは連結ではありません。 (5)ところで球面Sの点f(s)とf(t)(もちろんf(s)≠f(t))を結ぶ任意の(交点を持たない) 弧βを考えるとSはβで分割されることはありません。すなわちS\βは連結です。(*3) (6)f(α)もf(s)とf(t)を結ぶ弧なのでS\f(α)は連結です。(fは単射なのでf(α)は交点を 持ちません)しかし先に述べたようにS~Bならば B\α~S\f(α) でなければならないのでこれは矛盾しています。(B\α~S\f(α)ならば両方とも連結であるか、 両方連結でないかのどちらかである) [証明終] 証明のポイントは(4)(5)の部分です。つまり平面上のコンパクトな集合(有界閉集合)は、 適当な閉じていない、交点もない曲線で2つに分割することが出来るが、球面ではそういうことは できないということを示しているわけです。またそれが球面に特徴的な位相的性質の1つという わけです。(もちろんそういう位相的性質を持っている曲面は球面だけとは限らない。すなわち この性質は平面と球面の位相的区別には役立つが、球面と他の曲面の位相的区別に使えるとは 限らない。) この辺りの証明はきちんとやろうとすると結構面倒なのでまた後ほど。
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- ametsuchi
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Oodaiko先生、いやお恥ずかしい。ありがとうございました。 >この論理が正しいならば、球面でなくてもコンパクトな集合 >例えば(境界を含む)円盤は平面上にそれと同相な図形を持たないことになってし>まいます。 >つまりこの推論は間違いです。 恐れ入りました。そのとおりです。 >このように、ある集合が開集合か閉集合かということをいうのには、どの位相空間>の中で話を しているのか、ということを明確にしておく必要があります。 >........ >このように距離によって位相を定めた位相空間のことを距離空間と呼びます。 恐れ入りました。一応知識としては存じ上げており、昨日電車の中で、この辺の杜撰さに気付きました。 ■「測地線距離」で量った距離での距離空間 と断わるべきでした。「コンパクト」云々も、3D Euclid空間は全く想定しておらず、上記測地線距離空間です。 >位相空間Xから位相空間Yへの写像fが連続であるとは >(A)Yの任意の開集合Uのfによる逆像f^{-1}(U)がXの開集合であること。 勿論知識としては知っております。一番簡単な連続関数のε-δ論法のとおりですから。身に付いているか否かは分かりませんが...。 いずれにしても勉強になりました。ありがとうございます。ン十年前に聞きかじった知識を振りかざしても恥かくだけですね。
- oodaiko
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ametsuchiさん< 論理の流れをみると 球面がコンパクト集合→平面に球面と同相な集合Bがあるとする →Bもコンパクト集合→そこから矛盾を導く とおっしゃりたいようですが、この論理が正しいならば、球面でなくてもコンパクトな集合 例えば(境界を含む)円盤は平面上にそれと同相な図形を持たないことになってしまいます。 つまりこの推論は間違いです。証明のためには球面に特有の性質を使う必要があります。 また途中にも定義の誤解や不明瞭な部分などが多く、失礼ですが(特に最後の部分などは) 全く論証になっていません。 推論自体が間違いなので、細かく見る意味はないのですが、ametsuchiさんの誤解されている 部分や不明瞭な部分は、位相数学初心者の方も同じように間違える可能性の高い部分でもある ので、申し訳ないがametsuchiさんの回答を厳しくチェックさせていただきます。 (1)・平面とは、2次元Euclid空間であること: (2)・球面は、2次元多様体であること: ここまではOK (3)・ 球面が開且つ閉集合であること: 球面を位相空間としての3次元Euclid空間の部分集合とみなせば閉集合です。(補集合が開集合だから) このように、ある集合が開集合か閉集合かということをいうのには、どの位相空間の中で話を しているのか、ということを明確にしておく必要があります。 また、ある空間に定義される位相は一種類とは限らないので、どの位相についての話か ということも、明確にしておく必要があります。 ある空間に位相を定めるというのは、その空間の開集合(族)を定義するということです。 通常、ユークリッド空間の部分集合では距離が定義できるので、εを任意の正の数として、 その部分集合の各点から距離ε未満(以下ではありません)の点の集合をその部分集合の開集合と 定義します。また開集合の公理より全体集合は開集合と定義します。 このように距離によって位相を定めた位相空間のことを距離空間と呼びます。 そこで球面それ自身を1つの位相空間(球面上の距離による距離空間)として考えた時にはじめて 「球面は開且つ閉集合である」といえます。 従って正確には ・ 球面は、それ自身を位相空間とみなした時、開且つ閉集合であること: と言わなければいけません。 (4)・ 球面がコンパクトであること: これも同様。確かに球面はそれ自身の位相でも、またこの場合は3次元Euclid空間の部分集合と みなしてもコンパクトになりますが(開集合だから)、やはりどこの位相空間で考えているのかを 明確にする必要があります。 (5)・球面上の全ての点を1:1且つ連続でEuclid空間に写像するとコンパクトであること。 >Euclid空間に写像する といっても2次元Euclid空間に写像するのか3次元Euclid空間かで話が違います。 次に書いてあることから考えると2次元Euclid空間に写像することを考えているのでしょうが。 また例によって写像したものがどこの位相でコンパクトなのかを言う必要があります。 もっともこの場合は2次元Euclid空間の部分空間とみなした場合でも それ自身を1つの位相空間とみなした場合でも’コンパクトである’と言う結論は正しいですが。 (6)・ 背理法による証明: ametsuchiさんの書かれている文を読むと 平面上のある部分集合Bと球面が同相ならば、球面からBへの1:1且つ連続な写像が存在し、 かつBはコンパクトである。しかしそのBは(平面上の)開集合ではない。 (W1)しかし球面は開集合であったからその連続写像による像Bは開集合でなければならない はずである。しかしBは開集合でないから矛盾する。 従ってそのような写像は存在しない。すなわち球面とBは位相同形ではない。 とおっしゃりたいようですが、これは全くの誤りです。 まず第一に連続写像の定義を誤解されているようです。(W1) 位相空間Xから位相空間Yへの写像fが連続であるとは (A)Yの任意の開集合Uのfによる逆像f^{-1}(U)がXの開集合であること。 であって (B)Xの任意の開集合Uのfによる像f(U)がYの開集合であること。 ではありません。 またこの2つの条件は同値でもないし、どちらかの条件が強いわけでもありません。 (B)の条件を満たす写像を開写像と言います。連続写像は開写像とは限らず、開写像も 連続写像とは限りません。 あるいはametsuchiさんは正しく理解されているのかも知れませんが、少なくとも下の回答では そういうふうに読めます。失礼しました。 私の回答は明日アップします。
- ametsuchi
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No.1の追加ですが、自信がないので専門家の方いらしたらフォロー願います。 ・ 平面とは、2次元Euclid空間であること: これは自明な前提としていいでしょう。 ・ 球面は、2次元多様体であること: これも自明の前提としていいでしょう。球面(回転楕円体でも構わない)は、局所的に「2次元Euclid空間」と同相であり、「2次元多様体」である。平面から球面への写像ルールは与えられているとする。球面上の2次元空間を「U-V空間」と称する。それは平面上の「X-Y空間」の点と1:1対応である。 ・ 球面が開且つ閉集合であること: 球面上「U-V空間」の任意の1点の近傍は全て球面内の点で構成されているので、球面は「U-V(2次元)空間」で開集合であると言える。且つ閉包も球面内であるから、球面の空間は「開且つ閉」なのである。 因みに、球面のみならず「トーラス」や、「クラインの壷」もまた「開且つ閉」である。 ・ 球面がコンパクトであること: 任意の有限個のε球(というより円)で球面を覆い尽くすことができるから「全有界」、且つ閉集合であるから、「コンパクト」。 ・球面上の全ての点を1:1且つ連続でEuclid空間に写像するとコンパクトであること。 球面上のεネットを平面上に写像し、ε’ネットを得る。閉集合だからコンパクト ・ 背理法による証明: 今、上の写像で球面上の全点のImageがコンパクトであることが分かったから、y方向に最大値を持つImageに属する点を一つ選ぶ。この座標をPm(xm, ymax)とする。任意のε’に対して、ε’近傍内の点(xm, ymax+ε’)はImageに属さない。だからImageは開集合ではない。元の球面上の空間は開集合であったから、「位相同形」の定義に従えばこれは矛盾である。
- ametsuchi
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先ず球面上の任意の点の適当なε近傍はすべて球面上の点だから開集合。有界であることも明らか。 次に球面の閉包を取る。これは閉集合。つまり開集合であり、且つ閉集合。 ところが、平面上の有界閉集合を考えると、境界点は自分以外の点を含むから開集合でない。 故に、同相ではありえない。 違うかな???30年前の知識で全く自信なし!!
お礼
いろいろと丁寧に教えていただきありがとうございました。