三角関数の置換積分
sin(x),cos(x)の有理関数の不定積分を求める方法で、多くの微積のテキストでは、t=tan(x/2)として、置換積分する方法が紹介されています。
ですが、私にはちょっとこの方法は論理的に少し強引に感じられます。
テキストによると、上の置換で、sin(x)=2t/(1+t^2), cos(x)=(1-t^2)/(1+t^2)
dt/dx=(1+t^2)/2と表され、tの有理関数の不定積分に帰着させることが
必ずできると紹介されています。
ですが、t=tan(x/2)とおいてsin(x)などをtで表すということは、tan(x/2)が定義されているような x については可能ですが、例えば、x=πではsin(x)はtでは表されないはずです。
簡単な具体的な例をあげると、sin(x)を不定積分するとします。普通は直接積分するでしょうが、あえてこの方法で置換積分するとして、次の式が(多くのテキストの主張では)成り立ちます。
Integral(sin(x)dx) = Integral((2t/1+t^2) * 2/(1+t^2)dt)……[1]
右辺は、-(1-t^2)/(1+t^2)+C (Cは積分定数)の形で求まり、
(1-t^2)/(1+t^2) = cos(x)……[2] だったので、-cos(x)+C と不定積分が求まったかに見えます。
ところが、良く考えると、[1][2]の式はx=(2n-1)π,(n:整数)ではtが定義されないので、成り立ちません。tの式をあえてtan(2/x)で書いてみるとよくわかると思いますが、ところどころ不連続な関数(sin(x)を切ったもの)を積分し、不連続な関数(-cos(x)を切ったもの)が得られているだけです。しかも不連続ということは、各開区間で積分定数を独立に取れるので、厄介なことになります。
このあたりの議論を厳密にするにはどうすれば良いでしょうか。
お礼
ありがとうございます