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「なに」、「去る所」
日本語を勉強中の中国人です。夏目漱石の「吾輩は猫である」の中の表現についてお伺いします。 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/789_14547.html 『「なに二人とも去(さ)る所の令嬢ですよ、御存じの方(かた)じゃありません」と余所余所(よそよそ)しい返事をする。』 1.「なに」はここでどういう意味でしょうか。 2.「去る所」はどういう意味でしょうか。 また、質問文に不自然な日本語の表現がありましたら、それも教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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こんばんは。ここのところ連続して回答していますが、実はわたくし子供のころから『吾輩は猫である』が好きなもので、ついついあれこれと書き込みたくなってしまいます。今回もお付き合いください。 1.この場合の「なに」は、間投詞(この用語、『吾輩は猫である』にも登場します)です。「ええ、」などと同様に遣われますが、「なに」は特に相手の意図を軽く否定する場合に多く用いられます。この会話では、苦沙彌先生が「それはどんな女性か?」と興味津々で寒月君に尋ねるわけですが、それに対して寒月君は「なに……」と答えています。つまり、「先生がご興味を持たれるような関係が、その女性と自分との間にあるわけではない」ということを婉曲に匂わせているわけです。 例えば「大変じゃなかったかい?」と聞かれて「なに、大したことはなかったよ」と応じるような場合もこのケースと同様です。 ご質問のケースとは別に、間投詞の「なに」にはもうひとつの用法があります。それは、相手の発言に対して問い返しをする場合です。時代劇などで「敵が我が領地に攻め込んで参りました」などと兵が報告すると、「なにっ、今なんと言った!?」などと武将が応ずる場面があったりします。意外な報告がすぐには飲み込めず、問い返しているわけですね。 いずれのケースも、現代口語ではあまり遣われない「時代がかった」表現となっているように思います。 2.漱石は「去る所」という漢字を書いていますが、これは独特の用字です。漱石独特の用字なのか、明治時代にはある程度遣われていたのかは残念ながらわたくしには分かりませんが、あえて漢字で書くならば、「然る所」となるべき言葉でしょう。意味としては「ある所」、または「とある所」で、はっきりと言わずにボカす場合に遣います。 日本の昔話には「昔むかし、ある所におじいさんとおばあさんがおりました……」といった始まりのものが多いのですけれども、これもやはり場所をボカしていますね。具体的にどこで起こった話なのかはどうでもいいからです。 寒月君は、苦沙彌先生に妙な興味を持たれたのがうっとうしくて、「なに」だとか「去る所の」だとか言って、ボカしているのでしょう。 以上、ご参考になれば幸いです。
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- 莽翁寒岩 一笠一蓑一杖(@krya1998)
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1mizuumiさん。転記が間違っていませんか?原文を今、確認はしていませんが。 “去る”っては書いていなかったと存じますが。 “さる”か、“然るべき”の“然る”ではなかったでしょうか? “きちんとした、出自の”ですね。 あぁご質問ね、“なに”は“なぁに”でも同じで、“あぁ”とか、そのことだけどね“、とか、“あの方のことだけどね”、“問題も疑問も必要ないよ”くらいの意味ですよ。 あれ、やはり“去る”もわかんなかったの?上記のとおりです。 あぁそれから、和服の女性の傘のことね。 一応参考になることは全部書いたのだけど、書き忘れたことがあったので。 日本人って、直接とかあからさまって、あまり性(しょう 心性)に合わないので、ちょいと視線をずらしてもらうとか、人物そのものをそれだけピックアップしてしまわないで、注意の焦点を散らすとかぼやかす効果が欲しいのですよ。 傘にも目と注意行って散らされて、それで和服の女性を見ると安心していられるという心理ですね。 背景や景色があっても、女性だけずぼっと立っていたら、日本人には気持ち悪かったり、異様な感じや違和感が出てくるのです。 あれ、1mizuumiさんの質問だったと思ったけど。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。参考になりました。日中対訳版の『吾輩は猫である』を読んでいます。中国の日本語の翻訳物の有名な出版社です。青空文庫でも、「去る」となっていますね。和服の女性の傘についてまた補足していただき心から感謝いたします。日本の方は目立つのがあまり好きではないようですね。本当にありがとうございました。
- hakobulu
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1.「なに」はここでどういう意味でしょうか。 :相手の気持ちを否定したいときに使う言葉で、「たいしたことのない」というニュアンスを表現しています。 「いや」でも同じ意味になります。 『「ふん、そしてその女というのは何者かね」と主人は羨(うらや)ましそうに問いかける。』 という文を受けています。 女性たちに関する主人の興味に対して、「興味を持つほどの女性たちではない」と否定しようとする意図があるわけです。 (ex1) 「この車高かったのでしょう?」 「なに、そうでもないよ」 (ex2) 「あそこのレストランおいしいらしいね」 「なに、この前、行ったけどそれほどでもなかった。」 2.「去る所」はどういう意味でしょうか。 :「ある所に住む」→「ある家」という意味です。 はっきり名前を出したくないので、このように表現したわけです。 「良い家柄のお嬢さん」という意味で「いい所のお嬢さん」などという言い方もよく使われます。 総合すると、 『(興味を持つほどの女性たちではないので詳しい名前などは教えませんが)二人ともある家のお嬢さんですよ』 といったようなニュアンスになるでしょう。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。わかりやすいです。よくわかりました。本当にありがとうございました。
NO.1です。 答えの追加。 文脈から考えると「ある有名なご令嬢」と言っても 「皮肉」で言っているのであって、お金持ちのお嬢さんという意味ではないと思います。 「御存知の方じゃありません」が「たいしたひとではありません」ともとれるので。 日本語へたですみませんでしたm(__)m
お礼
再びありがとうございます。参考になりました。
こんにちは。 日本語お上手ですね。 質問文は、とてもわかりやすいです。ご安心を。 1.この「なに」は、あいづちのようなものですね。 2.「去るところ」 遠まわしに「ある有名な」と言っています。 古い日本語なので、なおさら難しいかもしれませんね。 「ああ、二人ともある有名なところの令嬢ですよ」となります。 私の方が日本語通じなかったらごめんなさい。 お勉強がんばってくださいね。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。本当にありがとうございました。
お礼
連日私の質問に回答していただき誠にありがとうございます。子供のころから好きな小説なら、きっと大人になったいまの自分に何か役立つものがあるでしょうね。私は『吾輩は主婦である』というドラマを見て、ドラマの中に触れたこの小説『吾輩は猫である』と人物夏目漱石に興味を持ち出しました。つい読みたくなりました。以前『こころ』を少し読みました。この小説を読み終わったら、『こころ』に進みたいと思います。若いときできるだけたくさんの本を読みたいです。自分の好きな作家と作品に巡り会いたいです。これからもよろしくお願いいたします。今回のご回答も大変参考になりました。本当にありがとうございました。