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一つの前提から2つの結果は導けるのか
- a^0 を前提として求めることはできないと思います。しかし、他の人は a^0=0 とすることも正しいと主張しています。どちらが数学的に正しいのでしょうか?
- 2次方程式の根が2つあるように、ある一つの前提から矛盾する2つの結果が導けることもあります。しかし、矛盾する結果を導く過程の正当性に疑問が生じます。
- 質問文章で議論された例では、a^0 の値について意見が分かれています。数学的な正当性はどちらにあるのか、明確には決まっていません。
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前提Pから結論Q,Rが導けるとします。 P→Q P→R ただし、QとRは同値ではないとします。これ自体は別に特殊なことではありません。 たとえば、 P="nは6の倍数である" Q="nは2の倍数である" R="nは3の倍数である" とすれば、P→QもP→Rも成立しますが、QとRは同値関係にはありません。 つまり、Pを仮定すればQもRも言えますが、 QとRを単独で考えると、これらの間の論理関係については何も言えません。 では、もしQとRが矛盾していたらどうでしょうか。矛盾、というのはどう定義されているかといいますと、 「ある命題Xが矛盾する、とは、X→YかつX→¬Yとなる命題Yが存在することである」 が標準的です(本当は、記号論理学における矛盾というのはただの命題の一つです)。それならば、QとRが矛盾する、というのは上の定義でX=Q∧Rとした場合と考えればよいでしょう。 P→Q、P→Q、Q∧R→Yですから、P→Yです。同様に、P→¬Yとなりますので、そもそもの前提Pが矛盾していたことがわかります。 つまり、ある前提から互いに矛盾する結論が言えるならば、そもそもの前提が矛盾していた、ということです。 とすると、論理というのは、"結果を導く過程"、すなわち推論規則を骨格として、いくつかの記号群を言語とし、公理という"大前提"から様々な結論を導くおこないですから、そもそもの公理が矛盾していては困るわけです。ですから、公理が矛盾していない、すなわち、公理から出発して互いに矛盾する結論に至ってしまうことがない、ということを"証明"しなくてはなりません。 これが示されれば、公理から出発して結論を導いていく、という行為が正当であると保証されます。逆に、これが言えなければ、得られた結論が意味のあるものかどうか(その否定も同時に導けてしまわないか)が怪しくなります。 しかし、残念なことに、公理の無矛盾性は公理からは証明不可能であることがわかっています(厳密には、自然数の体系を含む帰納的に枚挙可能で無矛盾な公理系は、自身の無矛盾性を証明できない→『ゲーデルの不完全性定理』)。ただし、ほかの公理系からなら証明できることもあり、実際、ZFCという体系(集合の理論)の下、ペアノ算術(通常の自然数の理論)の無矛盾性が示されているそうです。というわけで、我々は安心して数学ができるわけです(ZFCの無矛盾性は?という問題はあります…それを証明する体系を作っても、今度はその体系の無矛盾性が問われ、という無限ループに陥ります…)。 で、お話にあった 私:「ある一つの前提からは、矛盾する2つの結果は導けない」 相手:「2次方程式の根が2つあるように、それは許されている」 ですが、相手の言っていることを命題にすると、 P="x^2+2ax+b=0∧a^2>b" Q="x=-a+sqrt(a^2-b)" R="x=-a-sqrt(a^2-b)" ということかと思いますが、これではP→QもP→Rも言えません。正しくは、 Q="x=-a+sqrt(a^2-b)∨x=-a-sqrt(a^2-b)" として、P→Qです。つまり、一つの結果しか導けてはいません。 次に、a^pの話ですが、上では面倒なので、定義域、値域というのを考えませんでしたが、今度はきちんと考えます。 power(a,p)=a^pとして、powerの定義域は、a∈R、p∈Nとします(Rは実数、Nは1以上の自然数の集合)。値域はRです。このとき、power(a,p)は、pについて帰納的に定義されます。 (1)power(a,1)=a (2)power(a,p+1)=a*power(a,p) この(2)を、以下のように変形します。 (2')power(a,p)=power(a,p+1)/a そして、p=0を代入すると、 (3?)power(a,0)=a/a=1 となります…なりませんね。 なぜなら、(2')(3?)の変形でa≠0を仮定していますし、p=0は値域に入っていません。 p=0が値域に入っていない、というのは、逆に考えれば、(2)がp=0でも成立するように、powerの値域を拡張した、とみることができます。 しかし、(2')(3?)でa≠0を仮定していますので、この拡張はa≠0でしか成功しません。というわけで、結局得られるのは、 (3)power(a,0)=1 (ただし、a≠0) です。こうして、定義域に、"a≠0∧p=0"も含まれることになりました。 では、 "a^1=0, a^2=0, a^3=0と続くから、a^0=0 とすることも正しい" を検証してみましょう。これは、power(a,p)=0とすることにあたります。…もうわかりますね。これは(2)は満たしますが、(1)は満たしません。つまり、power(a,p)の拡張とはみなせない、ということです。 よって、正しいのはpower(a,0)=1です。ただし、p=0のときはa≠0でしか定義されないことに注意しましょう。
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- birth11
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- 中村 拓男(@tknakamuri)
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>「ある一つの前提から」という条件で「2つの結果」を導いてください。 はいはい。 前提(x-3)(x-1)=0 結論 x=3 又は x=1 矛盾しません。以上。
お礼
#11と一緒に答えたいと思います。 回答ありがとうございました。
- Tacosan
- ベストアンサー率23% (3656/15482)
まず具体的な本件については「その人」がおかしい. この (1), (2) だけからは指数として正整数しか取れないし, それを置いたとしても 0, 0, ... と続くからと言って「最初も 0」とはならない. ただし, 一般的には「一群の前提から矛盾する複数の結果を導くことができる」という状況は存在する.
お礼
> 一般的には「一群の前提から矛盾する複数の結果を導くことができる」という状況は存在する. もう少しヒントはもらえませんか? 不完全性定理に関することかもと思ったりもしましたが、これだけでは分かりません。 > まず具体的な本件については「その人」がおかしい. この (1), (2) だけからは指数として正整数しか取れないし, それを置いたとしても 0, 0, ... と続くからと言って「最初も 0」とはならない. 回答ありがとうございました。
- 178-tall
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a^p … a ∈ {実数全体}, p ∈ {非零の正整数} だとして、 >(1) a^1 = a >(2) a^(p+1) = a^p * a ただし p は正の整数 から、「定義域が前提に含まれていない a^0 求めることはできない」と推論するのは、当然といえば「左様、ごもっとも」です。 常用の算数では、a≠0 の場合について p ∈ {整数} へ拡張しており、それはそれで妥当らしい。 その範囲では「a^0 を求めることができない」ともいえません。 けど、貴方の論旨とは微妙にズレてるような気もします。 もう少し、パラフレーズしてみれば…。
お礼
> 常用の算数では と前提を変えてしまってますね。 常用してるべき乗と、(1)(2)だけからなる前提とを混同してませんか? 指数を整数へと拡張してる場合には、拡張するための前提が加えられてる筈です。 (3) a^0=1 ただし a≠0 (4) a^-p=1/(a^p) ただし a≠0 とする場合が多いですね。 これでもまだ 0^0 を求めるには足りませんが、さらに何かを加えて a^0=0 という結果を得たとする。 果たしてこれで「一つの前提から」と言えるでしょうか? 私も前提を増やせば結果が変わるのは理解していますよ。 回答ありがとうございました。
- 中村 拓男(@tknakamuri)
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簡単です。例を示します。 x=1 かつ x=3 は真 ⇒ 矛盾 x=1 ならば x=3 は真 ⇒ 矛盾 x=1 または x=3 は真 ⇒ 矛盾ではない。 結論が2つあるだけでは矛盾ではないのです。
お礼
「x=1 かつ x=3 は真」は偽 「x=1 ならば x=3 は真」は偽 「x=1 または x=3 は真」は真 だと思います。 「ある一つの前提から」という条件で「2つの結果」を導いてください。 その上でなければ、例にはなりません。 回答ありがとうございました。
- Tacosan
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「前提」をどうやって数えるのかが分からんのだけど.... 「一群の前提から矛盾する複数の結果を導くことができる」という状況は, 数学的には存在します... というか, 存在してくれないと困る.
お礼
> 「一群の前提から矛盾する複数の結果を導くことができる」 その場合、数学的な正しさとはどういう意味になりますか? 一群の前提から結果Aを導いたとして、それは結果Bが存在しないという意味にはなりません。 では結果Cは?結果Dは?と続いていき、結局何も証明していない気がしますが。 もちろん、「前提」を実数解を求めることから複素数解を求めることに変えたりすれば、 別の結果を導くことはできます。 でも質問した内容の場合、(1)(2)には何の変更もなく、それ以外の何かを変えたという記述もありません。 そういう場合にも、複数の結果が導かれることはあるんでしょうか? 回答ありがとうございました。
- itshowsun
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定義域の問題ではないでしょうか? a^0 = 1 であるような実数 a の定義域には 0 は入らない。 a^0 = 0 であるような実数 a は 0 のみの定義域である。 前提にこの定義域が入っているはずだと思います。
お礼
# a の定義域は実数全体と考えてください。 a^0=1 であるとか、a^0=0 であるとか書いてありますが、 そもそも、この関数の定義域は指数が正の整数ではないですか? だから私は、a^0 を求めることができないと考えたのですけれど、 a^0 という定義域が前提に含まれているはずだというのはおかしくないですか? 回答ありがとうございました。
お礼
素晴らしい回答ありがとうございました。 分かりやすさも程度も、申し分ありません。 > 結局得られるのは、 > (3)power(a,0)=1 (ただし、a≠0) power(*,0)=0 という形のものは結局出てきませんね。 ところで、今更ながら、質問文に訂正があります。 相手の人が >"a^1=0, a^2=0, a^3=0と続くから、a^0=0 とすることも正しい" といったのは事実ではありません。私の記述上のミスです。 正しくは 0^1=0, 0^2=0, 0^3=0と続くから、0^0=0 とすることも正しい と書くべきでした。お詫びして訂正致します。 それに従って分析を続けると > これは(2)は満たしますが、(1)は満たしません。 > つまり、power(a,p)の拡張とはみなせない、ということです。 これは(1)(2)を満たします。 でも、0^0を求めるのに(1)と(2)のどちらも使っていないので、 つまり、power(a,p)の拡張とはみなせない、ということです。 となります。(私見です) 私のミスの訂正で少し長くなってしまいましたが、 本当にありがとうございました。