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マルティン・ハイデッガー
ハイデッガーの説く 「本来的な生き方」という考え方を どう思っていますか?
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アドルノが「本性性と言う隠語」という論文で、痛烈にハイデガーの「本来性」という考えを批判しています。 隠語というのは、表向きとは異なって、裏にホンネを隠している、ということ。 表向き、ハイデガーは本来的な生き方とは、死を先駆して覚悟し、死の不可能性の可能性を実存的に生きることにある、それに対して一般の人々の死なんて考えないで、ダラダラと生きているのを「頽落」と言って、それを非・本来的といっています。 人間の日常的な在り方を非・本来性と言って、それではいけない、死を覚悟して決断すること、それが本来性である、と。 では、ハイデガーは何を本来的と考えていたかと言えば、ナチスの総統ヒトラーに組してドイツを変革しろ、大学制度も、アーリア人の末裔であるゲルマン民族によって運営されなければならない、ユダヤ人は大学から追放しろ、ということです。 事実、ハイデガーはヒトラーが政権を取ると直ちにナチス党員として登録し、さらにフライブルグ大学の総長に昇り、学生に対してドイツ民族の優秀性とヒトラーの全体主義を賛美する就任演説をしました。 それこそが「本来性」と言って、隠していたことでした。 1927年に「存在と時間」を著わしたときはホンネを隠していましたが、ヒトラーが政権を取ると、ホンネを露呈しました。 要するにハイデガーのいう「本来性」とは、ドイツ民族主義の主張!
お礼
ありがとうございます。 政治的に見ると、そういう意味があったんですね。