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詩の翻訳は、意味を訳すべきか、気分を訳すべきか?
岩波文庫の「詩人・菅原道真 うつしの美学」という本を読んでいましたら昔の人の和歌から漢詩への翻訳が載っていました。 秋風にほころびぬらし藤袴 つづりさせてふキリギリスなく *ほころびぬらし:ほころびてひらく 藤袴:藤袴の花と着物の袴をかけている つづりさせ:当時のきりぎりす(コオロギ)の鳴き声と、ほころびを繕えをかけている 上の和歌の菅原道真もしくは道真の学舎のだれかの漢詩訳 商颷(しょうひょう)飄々(ひょうひょう)として葉軽々 壁蛬(へききょう)の流音数処に鳴く 暁の露に鹿鳴いて花始めて発く(ひらく) 百般攀じ(ももたびよじ)折る一枝の情 *商颷(しょうひょう):秋の意味らしいです。 壁蛬:壁のコオロギ 鹿鳴いて:秋の交尾期の鹿が牡鹿が牝鹿を求めてなく様子 百般攀じ:何度も何度も手をのばして 折る一枝の情:一本の枝を思いを込めて折り取った よくある英語から日本語への翻訳では、例え詩作品でもこのような雰囲気をだすために「藤袴→花」にしたり、勝手に時刻を「暁」にしたり、「鹿」を登場させるようなものを私個人では見た事がありませんが、個人的にはこういう翻訳をしてくれる人が出てきてもいいのでは思いました。 本では「気分」もしくは「もののあわれ」を訳していると書かれていましたがいや~粋な翻訳だな~と思いました。 質問(1):このような感じで大胆に英詩を日本語に訳した方はいらっしゃいますか? 質問(2):このような大胆な翻訳についてどのように思われますか? 質問(3):これぞ名訳と思われる英詩の日本語訳がありましたら、ご紹介ください。(私個人としては、上田敏の「海潮音」が一番だと思っていますが、あんまり大胆な訳という印象はありません。) よろしくお願い致します。
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お礼
ご回答ありがとうございます。 >>⇒なるほど、言われてみれば私の訳語・訳風は蒲原有明の文体に似ているかも知れませんね。 私は、まだ文体を似せる事すらできないレベルですから、羨ましいです。 >>以前採り上げておられたブレイクのTHE SICK ROSEなども私にとっては興味深い詩でした。心なしか、これにも象徴派、耽美派、高踏派に近いような香りを感じました。 私の個人的な好みの問題かとも思うのですが、象徴派、耽美派、高踏派、実に最高ですね!特に、象徴を用いての表現は、何故か好きです。 >>⇒こういう方々の詩に引かれるのは、心理的には、ある意味「正確さ偏重」とは間逆の抒情性であり、ゆらぎであり、遊びであり、修辞法的には、例えば、擬人法などではないかと思います。 まさにそうですね!正確な意味も大事だとは思うのですが、「当時の人はきっとこんな感じで味わったのだろう。」と余韻が心に残る程の訳というのもあってもいいものですのにね。 3つの引用された箇所のまさに、名文の中の名文ですね。本当に余韻が心に残ります。 今回もありがとうございました。 また、よろしくお願い致します。