- ベストアンサー
動詞「知る」の使い方について
「知る」という動詞は変化動詞で、普通は「知る」という行為のあとの状態を表す「知っている」「知っています」というテイル形を使うということは分かります。また、動作動詞のマス形は未来や一般論を表すということも分かります。 ところが、そのマス形の「あなたはそれを知りますか」という質問や「私はそれを知ります」という表現は不自然なので使えません。この理由をご存知の方は解説をお願いします。
- みんなの回答 (7)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
「知る」はその基本形のままでは扱いが不明瞭で、当事者の中には無いような事項・知識を探索・獲得しようと目指す動作動詞の側面からは、そこでは「知り・たい」「知ろ・うとする」といった活用形を取ります。 さらに知見を獲得した段階となったらば、瞬間動詞・変化動詞としての側面から、「知っ・た」「知っ・ている」といった帰着を表す結果動詞・状態動詞に活用や助動詞形になります。 ですから「私はそれを知ります。」という基本形のままでの終止形としては時制が不明確で、一般には「私はそれを知りたい/知ろうとする。」といった助動詞でその未達性や達成希望を補わないと不自然となります。 もちろん、未達のままであることから、否定形での「私はそれを知りません。」ならば問題ありません。 そして、達成した結果以降の状態表現であれば「私はそれを知りました。」や「私はそれを知っています。」などが落ち着くことになります。
その他の回答 (6)
- Biolinguist
- ベストアンサー率69% (354/513)
奥田靖雄は相手にする甲斐もないが、奥田説で「知る」は説明できるの?
補足
私の質問内容は次の通りです。 「あなたはそれを知りますか」という質問や「私はそれを知ります」という表現は不自然なので使えません。この理由をご存知の方は解説をお願いします。 この質問に対する説明ではなく、逆質問することはおやめください。
- Biolinguist
- ベストアンサー率69% (354/513)
>状態動詞には「ている」形が使えるものがあります。 残念ながら誤解です。 >存在する → 存在している;存在していない 金田一の用語で言えば「継続動詞」です。 >分かる → 分かっている;分かっていない >困る → 困っている:困っていない 金田一の用語で言えば「瞬間動詞」です。 「わかった!」「困った!」は瞬間的に、状態が変化したことを表しますね。
補足
金田一春彦は「テイルをつけずにそのまま現在の状態を表す動詞」を状態動詞としています(1950)が、これに対して、奥田靖雄は「痛む、臭う、見える、聞こえる、冷える」なども状態動詞としています(1988)。
- marisuka
- ベストアンサー率38% (657/1685)
「知ります」が不自然ではない場面を考えました。 「ふん、あなたには何も情報源がないのに、どうやってそれを知りますか?」 「私はいつも現在の彼からの報告によって、元カレが元気に過ごしていることを知ります。」 今までがそうであった、と言う過去の場合には「知りました。」となるので、これは未来の話です。過去にそうであったから、この先もそうだろうと予想している言い方です。この先も何度も「現時点で元カレは元気」という情報を得ていくわけです。動作として連続しているわけではなく、何度もあって毎回新しい知見を得るわけです。 >到達動詞は終止形で未来のことを という回答があったとおり、上記二例は終止形でも同じ意味です。 というわけで、上記の例でなら「知る」もマス形で未来や一般論を表す、の範囲内に収まると考えましたが、いかがでしょうか。
お礼
私の言葉足らずだったのですが、一般論の場合は終止形もマス形も超時制になるので、「知ります」という表現は使えます。 私の問題意識では、具体的な行為や状態を表わすときには、時制がはっきりしない「知ります」という表現は使えないということです。具体的な行為を表す動詞は未来を表しますが、具体的な状態を表わす動詞は現在を表すので、時制がはっきりしない表現は具体的な事柄には使えないと思います。
- Biolinguist
- ベストアンサー率69% (354/513)
かつて金田一春彦は「知る」「知っている」「知らない」に関する問題を質問されて答えられず、考察を重ねて、国語学史に残る名論文を書きました。 ところがなんということか、肝心のこの問題に他する答えが十分ではないのです。 ご指摘のとおり、「知る」は瞬間的に状態が変化することを表す動詞(到達動詞、achievement verb)です。到達動詞は終止形で未来のことを、「ている」形で結果状態を表します。 ・(まもなく)東京駅に着きます。 ・(もう)東京駅に着いています。 ・(まもなく)政府は崩壊する。 ・(すでに)政府は崩壊している。 したがって、 ・あなたはそれを知りますか ・私はそれを知ります の不自然さは予言めいた言い方のせいです。 ・彼もそのうちそれを知るだろう ・あなたもそれを知るでしょう なら、不自然さはかなり緩和されると思います。 しかし、話はこれにとどまりません。最大の問題は否定形です。 ・彼はそのことを知りません。 これは未来のことではなく、現在の状態を表します。 しかも「ている」形が使えない。 ・☓彼はそのことを知っていません。 他の到達動詞とは振る舞いが異なります。 ・僕は死にません。 ・僕は死んでいません。 「ている」形が使えないのは状態動詞の特徴です。 ・彼は英語ができる ・☓彼は英語ができていない。 ・彼はフランス語ができない。 ・☓かれはフランス語ができていない。 このように「知る」は、肯定文では到達動詞、否定文では状態動詞になってしまうという、摩訶不思議な動詞なのです。
補足
>>「ている」形が使えないのは状態動詞の特徴です。 状態動詞には「ている」形が使えるものがあります。 存在する → 存在している;存在していない 分かる → 分かっている;分かっていない 困る → 困っている:困っていない
- marisuka
- ベストアンサー率38% (657/1685)
コメントを読み、あらためて考えてみました。 日本語の「知る」は形の上では動詞ですが、動きのあるものではなく、「記憶の状態」とでも言うような、形容詞に近い、現状を言い表す言葉だと思えてきました。 「あなたはそれを知りますか」とは言いません。動作ではないから、状態であることを強調するために「テイル形」使うのでしょう。しかし「あなたはそれを知りませんか」は不自然ではありません。よく使います。「知る」のあとに「ます」は接続可能なのです。「私はそれを知りません」も普通に使います。 わからないのは、なぜここで否定形の疑問文にするのかです。 「あなたはそれを知っていますか」 「あなたはそれを知りませんか」 二つはほぼ同じ意味です。 これ以上は考えが進まないので、他の回答者に期待します。
補足
私たちは、見るや聴くなどの知覚作用で得た知識が頭に残っている状態を「知っている」と表現しますが、「知る」という動詞の動作内容について具体的に把握できているわけではないので、「知る」という動詞の辞書形やマス形を使うと不自然になると思います。 また、初めから知識が得られていない状態は、結果状態を表すテイル形で表すのはおかしいので、動詞「知る」の辞書形やマス形の否定形が使われるのだと思います。 したがって、すでに知識がある肯定表現では、「知っている」とテイル形が使われ、知識がない否定表現では「知らない」や「知りません」が使われるのだと思います。 ただし、否定表現は「知識がない」という意味ではなく、「拗ねる」場合や「あなたに関係ない」という意味でも使われますね。
- marisuka
- ベストアンサー率38% (657/1685)
おもしろい問いですね。考えてみました。 まず「知る」は瞬間的な動作であること。知ってしまえばそのあとは「知っている」という状態になるので、動作ではなくなるんですね。日本語にはこの「知っている状態」を表す言葉がないのではないかと思います。「存じる」は和語でしょうか? 元は「存ず」だから和語でいいのかな。とにかく、一瞬で「知る」という動作は終わり、あとは状態になるので「知っている」となるのでしょう。 「あなたはそれを持ちますか」「あなたはそれを考えますか」ならいいのは、「持つ」「考える」という動作が持続的なことだからでしょう。 もう一つは「知る」は自分の意志でもできるが、自分の意志にかかわらずともできるということ。だから「知りますか?」と問われても、それって自分の意志で決められないじゃん、と思ってしまうし、「私はそれを知ります」と宣言されても、教えてやらないよーと思ってしまう。 かなり特殊な場面、たとえば医者が、 「私の見解では、あなたの余命は……知りますか?」つまり知りたいですかということですが、自分の意志で知る・知らないを決める場面でなら使えるかもしれません。それでも不自然さは残りますが。 というわけで、瞬間的な動作であること、自分の意志でなくてもその動作ができること、この二つが理由のような気がします。ほかのかたの解答が楽しみです。 外国人に日本語を教えている方ですか?
補足
コメントありがとうございます。 変化動詞(瞬間動詞とも呼ばれる)の「行く」、「来る」は「行きます」、「来ます」と言えますし、無意志動詞で変化動詞の「枯れる」、「落ちる」は「あの草は1週間後に枯れます」、「彼は試験に落ちます」と表現できます。 したがって、変化動詞(瞬間動詞)や無意志動詞ということが「知ります」や「知りますか」が使えない理由ではないと思います。 多分、意味や内容の問題で使えないのではないかと思います。 なお、私は外国の大学で日本語を教えていました。
お礼
素晴らしいご説明ありがとうございます。
補足
素晴らしいご説明、ありがとうございます。 つまり、知識がある状態は、変化動詞(瞬間動詞)としての行為の結果状態を表す「知っている」または「知った」という表現を使うけれども、知識がない状態で知識を得る行為は「見る」「聴く」などの意志動詞だけではなく、「見える」「聞こえる」などの自発動詞も含んだいろいろな知覚行為を含み具体的な行為の内容や時制などが不明確なので、「知ります」という表現は使用できないという訳ですね。