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ドイツ語 再帰動詞の問いです。
Sie haben falsch gewaehlt. (番号をお間違えです。)を言い換えると何故4格の sich が付く、Sie haben sich verwaehlt. になるのでしょうか。利害の3格の sich なら納得が行きますが。
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まさに御自身で質問文中にお書きのように、「再帰動詞」だからです。日本の文法書などではあまりはっきり説明していないようですが、狭義の再帰動詞(純粋再帰動詞)と、再帰的に使われる動詞(非純粋再帰動詞)を区別して考える必要があります。 たとえばerinnernは、「思い出させる」という他動詞なので、当然主語と違う人を目的語にとることができます。Ich erinnere ihn an~は、「私は彼に~を思い出させる」という意味になります。ihnの代わりに4格の再帰代名詞sichを入れると、sich erinnernという再帰動詞で「思い出す」という意味になります。辞書には「再帰動詞」として表示されていますが、後述の狭義の再帰動詞と比べると「再帰的用法」といえます。sich verwählenは狭義の再帰動詞です。 利害の3格の再帰代名詞sichは、「再帰的に使われる動詞」とともに使われます。たとえばsich erlauben(あえて~する)は再帰動詞として辞書に出ていますが、この場合のsichは、Ich erlaube ihm ~(許す)のように、他動詞erlaubenを使う場合の間接目的語と同様、利害を受けるものを示すsichと解釈できると思います。また、sichがなくても意味が成立する動詞にも、この利害を示すsichを使うことが可能です。 Ich schaue den Film an. 私はその映画を見る。 Ich schaue mir den Film an. 私はその映画を見てみる(自分のため、自分の興味により)。 一方、主語と一致する4格のsichのみを取る再帰動詞があります。Ich schäme mich.「私は恥じる」とは言えますが、Ich schäme ihn.とは言えません。こういうものが狭義の再帰動詞で、この場合のsichはもはや動詞の固定的な構成要素(語彙的な述語部分 Lexikalischer Prädikatsteil)にすぎず、目的語として理解するものではなくなります。先ほど「再帰的用法」として出したsich erinnernにしても、「自分に思い出させる」という意味に考えれば目的語に当たるとはいえますが、sich erinnernというひとまとまりで「思い出す」という自動詞的な意味になるので、目的語としての意識はそれほど強くないと言えるかもしれません。 ところで、非分離動詞の前綴りver-にはいろいろな意味があります。自動詞を他動詞化する役割(例:folgen→verfolgen)もするので、ver-で始まる動詞の大部分は他動詞です。名詞から動詞を派生させたり(例:Schuld→verschulden)、意味を強調したり(例:verlesen読み上げる;verschreiben医師が指示、処方する/文書で確約する)のほか、誤った方向、失策、錯誤の意味も付加します。特に、「誤って~する」という意味は、4格のsichをともなう再帰動詞としてのみ出てきます。 verlesen 読み上げる、(果物、野菜などを)選別する sich verlesen 読み間違える verschreiben 指示・処方する、文書で確約する sich verschreiben 書き間違える verspielen 賭け事で失う、(チャンスなどを)みすみす失う、(時を)遊んで過ごす sich verspielen (楽器演奏時に)弾き間違える verreiten 馬を乗り潰す sich verreiten 乗馬中に道に迷う sich verwählen(選び誤る)は、上のような再帰動詞に倣って作られた、電話の際の掛けまちがいの口語表現です。 上の例のように、同じ動詞が再帰的に使われると意味が変わることがしばしばあります。 Er stellt den Sthul an den Tisch. 彼はその椅子を机のところへ置く。 Er stellt sich krank. 彼は病気のようなふりをする(<自分を病気のように置く) 一般的な再帰動詞の組み立ては、他動詞+4格目的語(行為の対象)→ 他動詞+sich(4格)→ 再帰動詞と説明できるでしょう。sich verwählenも、verwählenを「番号をかけまちがえさせる」という意味の他動詞と仮定すると、sichはその行為の対象、直接目的語と論理づけられるのかもしれませんが、いずれにしてもこれらの再帰動詞は、結果的に自動詞的な意味になっており、sichはもはや純粋再帰動詞の単なる固定的構成要素にすぎないとするのがドイツの文法書での説明です。
お礼
懇切ご丁寧な御回答を誠に有難う御座いました。