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歴史を研究する意義について(ちょっとした疑問です)
過去の歴史を研究する意義について、どなたか明解なご回答をお願い致します。 「歴史を学ぶことは、歴史を教訓に過去の失敗を繰り返さないため」などと言うことをよく耳にします。 実際、現代社会において歴史学が本当に活かされているのでしょうか? 私も歴史小説や映画は大好きですが、そこまで深掘りして考えたことはありません。 実際歴史学を研究されておられる方や歴史を教えておられる方など宜しくお願い致します。
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歴史を最初に記述したのは、歴史の父と言われる古代ギリシアのヘロドトスだとされます。 彼が書いたその名も『歴史(羅・historiai)』が、世界初の歴史書とされています。 ペルシア戦争後、彼は各地を遍歴し、各地の話を集め、分析し、書に著わしました。 目的は、後生に残すべきモノを残し、子孫らが政治を行うのに役立つようにという思いからでした。 一見、ギリシアのみならずペルシアやエジプトなど当時としては広い世界を旅し、それらの伝聞・伝説・神話などを蒐集し雑然と並べられています。 しかし、それの膨大な『歴史』を分析すると、一つの大きなストーリーが現れてきます。 つまり、ギリシアがペルシア戦争に勝利したという彼の時代においては最大の出来事は、民族の優劣上必然であり、故にギリシア人と蛮族との間には大きな差があるのだという「イデオロギー」の固まりなわけです。(おそらく、彼は無意識下にこれを行ったと思われますが、こればかりは本人に聞かない限りわかりませんね) 蛇足ですが、「物語」を表す「story(ストーリー)」は、歴史を表す「history(ヒストリー)」から生まれた派生語です。 このことからも、「物語る」という行為に重きが置かれているのが伺われます。 因みに、語源である「hisutoriai」というのはギリシア語で「調べ・知り・語る」という一連の行為を指す言葉でした。 閑話休題。 歴史の父ヘロドトスの行為が、質問者様の「歴史を研究する意義」を物語っていると思います。 もう少し整理して書くと、 ・過去の出来事の中から、後生に役立つよう記録に残すこと ・過去の出来事を明らかにすることによって、自ら(及び自分の属する集団)のイデオロギーを確立すること の二つが浮かび上がってくることになります。 歴史研究では、どちらに重きが置かれるかというと、悲しきかな後者となりますね。 例としては余り適切でないかも知れませんが、考古学界を中心として「邪馬台国はどこにあったか?果たして実在したのか?」という大きなテーマを追求しているのも、「邪馬台国」に天皇家の根源を求めてるからだったりします。 つまり、天皇が国家元首であることの正当性を主張するためですね。 (もちろん、諸説様々ありますが、邪馬台国を天皇家の権威付けに利用したい輩もいるということです。) ただ、最近では上記の二つに以下のものが加わっています。 ・己を知り、彼を知り百戦危うからずにするため(と、孫子風に言ってみました・笑) 自分たちの国はコレコレだけど、相手の国はソレソレで、ココに違いが生じる。 ココを上手くつけば自分たちに有利に交渉が進められ、利益を増大させることが出来る。 そこで、この違いを知るために自国の歴史と相手国の歴史を比較するというのも一つの(有力な)手段となる。 グローバル化する世界情勢の中で、外交交渉(国家レベル・民間レベル問わず)で優位に立つには情報をいくつもっているかが重要な要素となります。 その要素の一つが歴史であり、故に歴史研究を進めることは国際社会で生き抜くために強力な武器の一つと成り得る訳です。 >「歴史を学ぶことは、歴史を教訓に過去の失敗を繰り返さないため」などと言うことをよく耳にします。 これは、「歴史を学ぶ目的」の一面にしかすぎません。 たとえ、歴史は科学であり故に「客観的」でなければならない!などと言ったとしても、そもそも歴史に「客観性」はあり得るのか?ということ自体が大きな「哲学的」テーマなわけで、「歴史学的に証明=客観的な真実」なんかではないんですよね。 むしろ、自分たちのイデオロギーを確立することの方に役立っていることが多いというのが私の実感です。 ちょっと纏まりがない文章になってしまいましたが、お役に立てれば幸いです。
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>過去の歴史を研究する意義について 歴史学者はそれが面白いからやっているのでしょう。 意義と言うようなものはいちいち考えてはいないと思います。 彼らによって得られた情報を必要とするひとたちがいて、はじめて「役に立つ」場合があるのだと思います。もっともどんな役にたったのかはそれぞれでしょう。むしろ歴史を悪用したりする場合だってあるでしょう。 失敗とは何でしょうか。どんな状況で、どんな要因が失敗に結びついたのか?状況は沢山あって、それぞれ複雑です。人間の本質はあまりかえられませんから、失敗が100%直せるというものでもないとは思います。でも 世界大戦は2度行われましたが、以後半世紀以上にわたって起こっていません。これは人類が歴史にまなnでいるひとつの例ではないかと思います。大恐慌以後、おびただしい関連法律が作られましたが、リーマンショックを防げませんでした。経済というものは世界化することでますますコントロールが難しくなっているように思えます。 今の日本政治が史上最悪世界最愚だとは思いません。何もしないことが悪いことをはじめるよりもまだ悪くないこともあると思います。 原発は歴史をひとつ加えました。まだまだ紆余曲折はあると思いますが3/11以前へ戻ることはないと思います。 すみません。素人の妄想です。
お礼
ご回答誠に有難うございました。 「過去の歴史に学ぶ」ことが難しいことがよくわかりました。
- isa-98
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オイルショックで地獄を見ても、のど元過ぎれば「あー熱かった!」で終わりでした。^^; 人間は思いの他馬鹿で、同じ過ちを繰り返す生き物なんです。 獣は同じ過ちを決してしません。 ルールは人間以上に厳しい物があります。 どーせすぐに原子炉は動き出します。
お礼
ご回答誠にありがとうございました。
- 畑山 隆志(@deltalon)
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歴史は答えのないミステリー 視点しだいでどんな風にでも解釈できる。 その場にいたわけではないから、全部想像の産物。まして他人の頭の中など~。 おまけに資料が事実上ないか、偏りが極端。 だから今でも、いろいろな人がいろいろな解釈をする。 したがってすべてが想像の世界。人間自体、言葉を介してしか世界を認識できないのだから、結局われわれは永久に想像の世界からは抜けられない。 人の一生、夢うたかた。 でもね(豹変)、大掴みすると方向らしきものが見える。 組織は大きくなり。それに伴いリーダーの名前が消え、個性も消えていく。さまざまなシステムが世界をおおい、個人の独自性を生かす場がどんどん減っていく。←まあ、これが法則らしきものか?
お礼
ご回答誠に有難うございました。 なかなか難しいご提議だと思います。 歴史から学べるかどうかは、後の歴史が証明するということかもしれません・・・
- izuhara
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歴史を学ぶ意味としてよく使われる言葉ですが、実際に活かされているかというと難しいところです。 今回の大震災は、歴史を生かせた部分と生かせなかった部分が明確にあらわれたと感じています。 とくに政治史に関しては、歴史に学ぼうとしたとしても、果たしてそれが正しい歴史だったのか、という問題もあります。 政治家にしろ評論家にしろ、歴史に学んでいると言っても、歴史小説やエッセイをもとにしているのがほとんどで、研究者による歴史書が座右にあることなどまずないでしょう。 研究者が真実に近い歴史を研究することに専念するだけでは、一般の歴史認識と学会の歴史認識の乖離はひどくなる一方ですから、ここ最近は国内情勢・世界情勢とも絡む普遍的な問題をテーマに盛り込んだ研究も多く出ており、研究者の方から歴史を活かしてもらおうという取り組みもなされています。 結局は、歴史に学ぼうとする人間が、適切な教訓を探し出すことができるのかにかかっているのでしょう。問題意識を持っていれば、いくらでも教訓になる歴史が見えてきます。 権力争いに終始している現在の政治は、内部の権力争いに終始して、統治を疎かにして多くの流血の末に滅ぼされた過去の政治権力末期の様子と酷似しているように思えます。 「過去の失敗を繰り返さないためのに歴史を学ぶこと」はまだまだ市民権を得ていないようです・・・。
お礼
ご回答誠に有難うございました。 深く考えさせられる貴殿のご所見に感銘を受けました。
- Shin1994
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特に歴史を研究しているわけではないですが、歴史を学ぶことで十分実社会に生かされていますよ。 例えば、過去に戦争を抑制するために国際連盟が作られました。しかし、経済制裁しか出来なかったため結局は第2次世界大戦が発生してしまいました。この教訓を生かし、新たにできたのが現在の国際連合です。経済制裁からさらに、武力制裁も出来るという一歩踏み込んだ対応ができるようになってます。まだまだ、システムは甘いですが国際連盟と比べれば進歩しています。 昔に何が起きたか研究すれば、それと同じにならないように未来を変えようと努力します。歴史を知ることは、ある意味未来を作ることでもあるのかと…
お礼
ご回答有難うございました。 「歴史を知ることは、ある意味未来を作ることでもある」とはいい言葉だと感じました。
お礼
丁寧なご回答誠に有難うございました。 大変深いご所見に感銘を受けました。