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家電メーカー各社が方法クレームを出願する理由は?
特許法第2条第3項の、「二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為」に関係する質問です。 少々長文になってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。 たとえばですが、以下のような特許があると仮定します。 クレーム1:移動平均フィルタリングするフィルタリング手段と、 ヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段と、 を有することを特徴とする画像処理装置。 クレーム2:移動平均フィルタリングするフィルタリング工程と、 ヒストグラムを算出するヒストグラム算出工程と、 を有することを特徴とする画像処理方法。 このクレーム2の文章は、クレーム1の"手段"という言葉を"工程"に置き換えて、さらに"装置"という言葉を"方法"に置き換えることにより作られています。 クレーム2は「方法の発明」であると思うのですが(自信がありません)、この方法を使用する行為とは、どのような事柄を指すのでしょうか。 クレーム2の画像処理方法を動作状態にする行為(たとえば、ユーザーがクレーム1の画像処理装置の電源をONにする等)を意味するのでしょうか。 もしもユーザーの関与が関係するのでしたら、なぜ家電メーカー(例としてデジカメ各社)は、クレーム1だけでなく、クレーム2のような方法クレームもクレームアップしているのでしょうか。
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確かに、方法クレームの場合には、直接侵害を主張することができる場合は少ないでしょう。 そして、挙げていただいた例のように、 単純に「手段」を「工程」に変えただけの場合には、 クレーム1とクレーム2の権利範囲は、実質的に同じである場合が多いと思います。 したがって、通常は、直接侵害でいけるクレーム1だけで十分だと思います。 しかし、物の発明としてではなく、方法の発明として規定した方が、権利範囲を広くできる場合があります。 そのような場合に、方法クレームの意義があるといえるでしょう。 もっとも、家電メーカーが方法クレームをクレームアップしている理由としては、単に、クレームの数を増やしたい(なぜか、クレームの数が多い方が良い発明と考えている会社が少なくない)という、社内的な事情によるところもあると思います。
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>私の疑問は、「なぜ方法クレームを出願するのか?」です。物の発明は、「その物の生産、使用、譲渡、貸渡し、...」をする行為を保護できます。保護が広範囲に渡っています。方法の発明は、「その方法の使用」をする行為しか保護できません。 一般論として、そんなことは考えずに、念のために発明を多面的に表現しておくということの方がはるかに多いでしょう。 物として特許を取得するに越したことはないけれど、審査の過程で物の新規性・進歩性を否定する拒絶理由をどうしても解消できないが方法の発明であれば特許を取得できる可能性があるという状況になった場合に、もしもその時点で最後の拒絶理由通知や拒絶査定になっていたら、物の発明を削除して新たに方法の発明をクレームすることはできないんです。 ぶっちゃけて言ってしまえば、発明者や企業の知財部にとっては、出願してしまった以上、特許を取得できないという結果に終わるよりも、方法発明でもいいから特許を取得できた方が「職務上の成績」になるという考え方もあると思います。 経営者側としても、せっかく費用をかけて出願したのだから方法発明でも取り敢えず特許を取っておきたいと考える可能性はあり得ます。極めてお節介なことに、特許庁では企業別に特許取得率を公表したりしていますので、この率が低いと企業に対する世間の評価にも影響が出るという恐れもあり得ます。(実際、2ちゃんではこれをネタに盛り上がったりもしています。) 従って、念のために方法発明もクレームしておくということになるのだろうと思います。 >特許は、お金がかかるものだと思っています。特許事務所に依頼するときや、審査時や、登録後の維持費など。クレーム数で諸費用が決まります。 物の発明として特許を取れたら、特許料(年金)を節約するために方法クレームを放棄することも可能です。でも、家電メーカーのような大手企業にとったら、そんなものはほんのはした金に過ぎませんよ。1クレームと2クレームとの差額なんて企業にとっては微々たるものです。一般人の金銭感覚と(大手)企業の金銭感覚は全く違います。
お礼
_bambino_様、回答をありがとうございます。 > 一般論として、そんなことは考えずに、念のために発明を多面的に表現しておくということの方がはるかに多いでしょう。 > 発明者や企業の知財部にとっては、出願してしまった以上、特許を取得できないという結果に終わるよりも、方法発明でもいいから特許を取得できた方が「職務上の成績」になるという考え方もあると思います。 はい。発明を多面的に表現しておく方が良いことは、分かります。 しかし、クレーム1とクレーム2は、単純に「手段」を「工程」に変えただけです。これで、発明を多面的に表現していると言えるのかどうか(私には)分かりません。 また、"方法発明だけでもいいから特許を取得する"という考え方がよく分かりませんでした。クレーム1とクレーム2は、単純に「手段」を「工程」に変えただけですが、「クレーム1(物の発明)は、特許成立しない。クレーム2(方法の発明)は、特許成立する。」という事が、起こりえるのでしょうか。もしかしてですが、実務上、実施例の書き方が悪いケースがあり、「物の発明としては不十分な説明であるけれど、方法の発明としては十分説明されている」というケースが多々あるということなのでしょうか。 > 家電メーカーのような大手企業にとったら、そんなものはほんのはした金に過ぎませんよ。1クレームと2クレームとの差額なんて企業にとっては微々たるものです。一般人の金銭感覚と(大手)企業の金銭感覚は全く違います。 はい。家電メーカーは出願件数が膨大ですし、登録件数も多いです。メーカーにとって、1件あたりの差額なんて大した問題ではないと容易に想像できますが、全体としても金額を気にしていないとは驚きです。そんな金額よりも、特許として成立する数とか特許取得率が重要であるという訳ですね。 お礼が遅くなりまして申し訳ありませんでした。 本当にありがとうございました。
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> メインコンテンツ > 法律・条約 > 基準・便覧・ガイドライン > 特許・実用新案審査基準 2007.3.23 > 第VII部 特定技術分野の審査基準 > コンピュータ・ソフトウエア関連発明(PDF 317KB) の解釈の仕方に問題があると思います。 「(2)物の発明」の例を見てください。 (a)の例では、すべて末尾に記録媒体とついています。(b)の例では、末尾にプログラムと書いています。つまり、ここでいう物は、 ある一連の動作をするもの記録した記録媒体やソフトウエアそのものです。要するに、ソフトウエアをパケージ販売した場合のCDや、ダウンロード販売した場合のソフトウエアそのものを物としてクレームできると言っているのです。 クレーム1は、回路自体のクレームあり、方法については言及していませんので、No.1で言ったとおり、CPUを搭載して、そこで処理された場合は権利主張できません。 実務的に特許をやった人ならわかると思いますが、クレームは、一般的にそれを説明する図面と対応します、クレーム1は対応図面はブロック図であり、クレーム2は対応図面はフローチャートとなります。 ---------------------------- 「方法を使用する行為」はソフトウエアに記載されている処理手順です。ご指定の文献のソフトウエア関連発明のカテゴリーにも「方法の発明」とあります。 それで、家電メーカが方法発明をクレームする理由ですが、上記の理由もあるのですが、CPUのソフトウエア自体を他社に売る場合も珍しいことではありません。A社のカメラの画像処理がB社のカメラに搭載されることもあります。この場合、両者のCPUが違ったり、CPUが同一でも他の処理との兼ね合いがあるので、考え方だけを売る場合もあります。
お礼
あれから、いろいろ考えてみたのですが、 方法クレームは、 「ユーザーが直接侵害したときに、その侵害行為を助長・促進した責任を問う。」 ことを目的としているのではないでしょうか。 また、世の風潮として、 「権利取得した方法クレームをどのように戦略的に活用するのか現時点ではよく分からない。 しかし今後の裁判所の判決によっては、方法クレームの権利侵害の基準が活用しやすくなる方向へ変わる可能性もありますので、書いておいた方がよい。」という考え方が背景にあるのではないでしょうか。 ありがとうございました。
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kuma_2008様、回答をありがとうございます。 こういうことでしょうか。 (1) 発明として認められるか? という観点から考えますと、 ・クレーム1のような書き方では、「ソフトウエアで実現した画像処理装置」は除外される。 ・「ソフトウエアで実現した画像処理装置」を保護したい場合は、クレーム2が必要となる。 ・だからクレーム2を出願する意味がある。 ここで、ソフトウエアで実現した画像処理装置とは、たとえば、「PCにインストールされたプログラムにより、移動平均フィルタリングする関数とヒストグラムを算出する関数とが動作するようになっている、Vista搭載PC」のことです。(一例です) (2) 権利範囲の観点から考えますと、 ・クレーム2のような方法クレームを、他社へライセンスしたり、売ることができる。つまり収入を期待できる。すなわち、クレーム2を出願する意味がある。 ここで、A社がクレーム1とクレーム2の特許権者であるとし、B社へクレーム2に関してライセンスを与えたとしますと、 ・B社は、クレーム2の方法を使用する行為が許される。"使用をする行為"とは、画像処理を実行している状態のことである。 ・B社は、「ソフトウエアで実現した画像処理装置」に関して、「生産、使用、譲渡、貸渡し、...」をする行為が許される。 なぜならば、クレーム1のような書き方では、「ソフトウエアで実現した画像処理装置」が除外されるためである。 ・B社は、「ハードウエアで実現した画像処理装置」に関して、使用をする行為が許される。 なぜならば、クレーム2は、方法クレームであり、具現化方法を言及していないためである。ソフトウエアで実現してもよいし、ハードウエアで実現してもよい。 ・B社は、「ハードウエアで実現した画像処理装置」に関して、「生産、譲渡、貸渡し」をする行為は許されない。 なぜならば、クレーム1により、「ハードウエアで実現した画像処理装置」の「生産、譲渡、貸渡し」が保護されているためである。 という考え方でよいでしょうか。
手段は物理的に動作するものを表します。 いわゆる回路で構成する場合。 フィルタリング回路と、ヒストグラム算出回路がある場合です。 一方、最近はマイコンでソフト処理するケースがあります。 この場合は、実態としてフィルタリング回路と、ヒストグラム算出回路は存在せず、クレーム1だけだと他社がソフト実施した場合、権利行使ができません。 したがって、ソフト処理をしており、フローチャート上に、フィルタリング処理と、ヒストグラム算出処理がある場合に権利行使できるよう、クレーム2も必要となります。 個人的には、ソフト特許で「工程」という使い方あまり見たことがありませんが、明細書にフローチャートのこの部分がフィルタリング工程とか説明しておけば大丈夫です。
補足
kuma_2008 様、早々の回答をありがとうございます。 私は素人ですので、用語の使用方法や特許庁のガイドライン解釈が適切でない箇所もあると思いますが、どうか許してください。 > 手段は物理的に動作するものを表します。いわゆる回路で構成する場合。 クレーム1は、ソフトウエア特許の可能性もあるのではないでしょうか。 その理由ですが、特許庁のトップページ(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)の、 > メインコンテンツ > 法律・条約 > 基準・便覧・ガイドライン > 特許・実用新案審査基準 2007.3.23 > 第VII部 特定技術分野の審査基準 > コンピュータ・ソフトウエア関連発明(PDF 317KB) をダウンロードして読みますと、3ページ目に、「1.1.1 ソフトウエア関連発明のカテゴリー」という箇所がありまして、「ソフトウエア関連発明は、"方法の発明"としてクレームアップしてもよいし、"物の発明"としてクレームアップしてもよい」というような内容が記載されています。 ですから、家電メーカーの特許にクレーム1が記載されていても、これがハードウエア特許であるのか、それともソフトウエア特許であるか、という区分けを明確に判断できないのではないかと思っています。実施例を読んで、どちらかに限定している文言が見つかればよいのですが、そうでなければ、どちらなのかを断言できないような気がします。 ------------ 質問内容が曖昧だったかもしれません。すみませんでした。補足します。 私の疑問は、「なぜ方法クレームを出願するのか?」です。物の発明は、「その物の生産、使用、譲渡、貸渡し、...」をする行為を保護できます。保護が広範囲に渡っています。方法の発明は、「その方法の使用」をする行為しか保護できません。 特許は、お金がかかるものだと思っています。特許事務所に依頼するときや、審査時や、登録後の維持費など。クレーム数で諸費用が決まります。 すなわちクレーム数が少ない方が経済的によいはずです。しかし家電メーカーが装置クレーム(物の発明)だけでなく、方法クレーム(方法の発明)も出願している現状を考えますと、何らかのメリットがあるハズです。そのメリットが何であるか分からないため、皆様に教えていただきたく、質問致しました。 「方法を使用する行為」とは、どのような事柄を指すのでしょうか。
お礼
y-to-y様、回答をありがとうございます。 > 方法クレームの場合には、直接侵害を主張することができる場合は少ないでしょう。 なるほど。了解です。 > 単純に「手段」を「工程」に変えただけの場合には、 > クレーム1とクレーム2の権利範囲は、実質的に同じである場合が多いと思います。 > 物の発明としてではなく、方法の発明として規定した方が、権利範囲を広くできる場合があります。 > そのような場合に、方法クレームの意義があるといえるでしょう。 y-to-y様の回答を正しく解釈できているかどうか分かりませんが、つまり、 ・ "方法の発明"として表現した方が、権利範囲を広くできる。 ・ しかし、単純に「手段」を「工程」に変えただけの場合、権利範囲は実質的に同じである場合が多い。 ・ 権利範囲を広くするために、専門家に依頼してクレームを修正してもらう、またはアドバイスをしてもらう方が良いが、家電メーカーはクレーム数が多いということだけで十分満足している。 私の質問に、ピンポイントで回答していただき、本当にありがとうございました。