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『こころ』の「上十一」
日本語を勉強中の中国人です。夏目漱石の『こころ』を読んでいます。「上十一」の中に理解できないところがありますので、お伺いしたいと思います。次は参考ページです。 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html 1. ・これは始めから私に知れていた。 ・先生はまるで世間に名前を知られていない人であった。 次の二文は上の二文との意味は同じでしょうか。 ・これは始めから私に知られていた。 ・先生はまるで世間に名前が(の)知れていない人であった。 自分でまとめてみたのですが、「(事)を(人)に知られる」と「(事)が(人)に知れる」は正しいのでしょうか。 2.だから先生の学問や思想については、先生と密切(みっせつ)の関係をもっている私より外(ほか)に敬意を払うもののあるべきはずがなかった。 「もののある」の「もの」は人でしょうか。なぜ後ろに「いる」ではなく、「ある」を使うのでしょうか。 3.先生はまた「私のようなものが世の中へ出て、口を利(き)いては済まない」と答えるぎりで、取り合わなかった。 「口を利(き)いては済まない」はどういう意味でしょうか。 4.私が奥さんと話している間に、問題が自然先生の事からそこへ落ちて来た。 (1)「先生の事からそこへ落ちて来た」の「先生の事」はどういうことを指すのでしょうか。 (2)「そこ」は何を指すのでしょうか。 (3)「落ちる」はここではどういう意味でしょうか。 (4)「て来た」の「くる」は下記辞典の「(17)(補助動詞)」の何番目の使い方にあたるのでしょうか。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%AF%A4%EB&kind=jn&mode=0&base=1&row=1 5.丈夫ですとも。 これは「もちろん丈夫です」という意味でしょうか。現在でも「丈夫ですとも」のようにしゃべるのでしょうか。 また、質問文に不自然なところがありましたら、ご指摘いただければありがたく思います。よろしくお願いいたします。
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1. ・これは始めから私に知れていた。 ・先生はまるで世間に名前を知られていない人であった。 次の二文は上の二文との意味は同じでしょうか。 ・これは始めから私に知られていた。 ・先生はまるで世間に名前が(の)知れていない人であった。 自分でまとめてみたのですが、「(事)を(人)に知られる」と「(事)が(人)に知れる」は正しいのでしょうか。 ーーーーーーーーー a.「知れていた」は下記の「(1)人に自然と知られる。」とお考えになって良いと思います。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%C3%CE%A4%EC%A4%EB&search_history=%C3%CE%A4%EB&kind=jn&kwassist=0&mode=0&jn.x=41&jn.y=12 b.一人称ですから「私に知られていた。」という表現は不自然です。 c.「先生はまるで世間に名前が(の)知れていない人であった。」 という表現は自然です。 ただ、ニュアンスは原文と微妙に違ってきます。 原文の場合は「(何も表立った活動をしていないので)世間の人が名前を知ることのできない人」というニュアンスであるのに対して、 「(一応の活動はしているが)世間的に広く名前を知られるほど有名ではない人」 というニュアンスになると思います。 2.だから先生の学問や思想については、先生と密切(みっせつ)の関係をもっている私より外(ほか)に敬意を払うもののあるべきはずがなかった。 「もののある」の「もの」は人でしょうか。なぜ後ろに「いる」ではなく、「ある」を使うのでしょうか。 ーーーーーーーーーー :この場合の「もの」は『存在自体/存在全般』とお考えになって良いと思います。 「敬意を払う人がいなかった」ということではなくて、 「敬意を払う存在そのものが無かった」という意図を表現したのでしょう。 つまり、「人自体」よりも「どのような人か、という中身」に重点を置いた表現だろうと思います。 3.先生はまた「私のようなものが世の中へ出て、口を利(き)いては済まない」と答えるぎりで、取り合わなかった。 :「口を利(き)いては済まない」は、『自分の主張を公にしたりしては申し訳ない』 といったような意味でしょう。 「世の中へ出て、口を利く」は「世間の人に自分の考え(思想など)を述べる」という意味になると思います。 4.私が奥さんと話している間に、問題が自然先生の事からそこへ落ちて来た。 (1)「先生の事からそこへ落ちて来た」の「先生の事」はどういうことを指すのでしょうか。 :「先生に関すること」です。 (2)「そこ」は何を指すのでしょうか。 :直前まで述べてきたような内容に関することです。 具体的にまとめたのが、直後にある、 「先生はなぜああやって、宅で考えたり勉強したりなさるだけで、世の中へ出て仕事をなさらないんでしょう」 という文ですね。 つまり、『そういったことに関連する事柄』を指しています。 (3)「落ちる」はここではどういう意味でしょうか。 :下記の(7)「(ア)ある所に落ち着く。」でしょうね。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%CD%EE%A4%C1%A4%EB&search_history=%C3%CE%A4%EC%A4%EB&kind=jn&kwassist=0&mode=0&jn.x=35&jn.y=13 (4)「て来た」の「くる」は下記辞典の「(17)(補助動詞)」の何番目の使い方にあたるのでしょうか。 :「(オ)事態が進行してある段階に至る意を表す。」だろうと思います。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%AF%A4%EB&kind=jn&mode=0&base=1&row=1 最初からそのような内容を話していたわけではなく、先生の話をしているうちに、自然にそのような話題に推移していったわけです。 その後は、あちこちへ話題が飛ぶこともなく、専らその話題で話すような状況に落ち着いた、という意味になるでしょう。 5.丈夫ですとも。 >これは「もちろん丈夫です」という意味でしょうか。 :そのとおりです。 >現在でも「丈夫ですとも」のようにしゃべるのでしょうか。 :今でも使う表現ですが、やや相手の理解不足を非難するニュアンスが強くなります。 「もちろん丈夫です」などのほうが無難な表現でしょう。 6、ご質問文の添削 A.<次の二文は上の二文との意味は同じでしょうか。> 「との」は下記の「(2)動作・作用の相手・対象を表す。」です。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%C8%A4%CE&search_history=%A4%AF%A4%EB&kind=jn&kwassist=0&mode=0&jn.x=32&jn.y=10 殆んど「(○と)△との」という形で使われます。 また、この場合は【作用】ですから、「意味」ではなく『違い』としたほうが良いでしょう。 『次の二文と上の二文との違いはなんでしょうか』 などとなります。 もっとも自然で、しかも原文の意図にも忠実に添削すると、 『次の二文は上の二文と同じ意味になるでしょうか』 となるでしょう。 B.<(4)「て来た」の「くる」は下記辞典の「(17)(補助動詞)」の何番目の使い方にあたるのでしょうか。> :間違いではありません。 十分通用する表現です。 ただ、「でしょうか」ではなく「のでしょうか」とすると、『あまり強く断定した回答を期待するのは難しいかもしれない』というニュアンスが込められることになります。 このように表現するほうが適切な場合もありますが、ニュアンスの違いは一応把握しておいたほうが良いでしょう。 C.<現在でも「丈夫ですとも」のようにしゃべるのでしょうか。> これも間違いとは言えません。 ただ、「しゃべる」という言葉は「ざっくばらん」な表現ですが、「話す/言う」などに比べると丁寧さにはやや欠ける表現です。 ここで使う分には特に問題ないでしょうが、公式の場では避けられたほうが無難でしょう。
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- hakobulu
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#3です。ご返事ありがとうございました。 1.「あまり強く断定した回答を期待するのは難しいかもしれない」の意味。 :単に選択すれば良いだけの質問ですから、よほどの場合でなければ、 「とても難しいと思うが」というニュアンスを含ませる必要はない、ということです。 2.『「でしょうか」=単刀直入に話す』、「のでしょうか=婉曲的に話す」のように覚える。 :そのように解釈していただいてよろしいと思います。 ◆awayuki_chさんは2本以上の櫂を漕いでいますから大変です。 日本語で冗談も言えるし、論理の道筋もきちんと把握している。 その上、あなたはとても素直で誠実な人格を備えています。 本当に立派なものです。 いつも重箱の隅を突くようなことばかり言っていますが、私も勉強になっています。
お礼
ご返事ありがとうございました。簡潔で理解しやすいと思いました。「もの」とほめていただき嬉しいです^^。私は自分は論理の道筋がない人だと思います。hakobuluさんに美しい日本語を教えていただいただけではなく、この世に一番書きにくい字「人」という字をどのように大きく書くのかも教えていただきました。「听君一席話,勝読十年書」(あなたの一回の話を聴くのは、十年の書を読むのにも勝る)。
- haru84
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質問者さまが日本語をとても良く理解していることに驚きました。少なくても書き言葉に関してはまったく問題ないように思います。以下勝手な意見ですがご参考までに。 1. ・これは始めから私に知れていた。 =(意味)私はこれを初めから知っていた(分かっていた)。 ≠これは始めから私に知られていた。 自分が得た情報は「知る」ですが、それが他人(Aさん)に渡ったときは「Aに知られる」のように受身になります。ここでの「知れる」はやや特殊な用法で、Knowよりもunderstandの意味で、分かっていたという意味になります。たとえば「たかが知れている=どの程度か分かっている」というように使われます。 ・先生はまるで世間に名前を知られていない人であった。 ・先生はまるで世間に名前が(の)知れていない人であった。 下段の使い方は厳密には誤りです。「名前を知る」はknowであって、知れるunderstand(分かる)ではありません。よって「名前を知られていない」は「知る」knowを他者への受身にして、否定しているだけです。「知れるunderstand」という表現は特殊なものです。あまり使いません。 2.だから先生の学問や思想については、先生と密切(みっせつ)の関係をもっている私より外(ほか)に敬意を払うもののあるべきはずがなかった。 「もののある」の「もの」は者つまり人の意味です。なぜ「者」ではなく「もの」とひらがなで表記したかと言えば、「者=人間」、「もの=人間+物」となり、後者の方が否定される対象が広く、「まったくそのような存在がなかった」という強い否定を意味します。なぜ後ろに「いる」ではなく、「ある」を使うのかといえば、「居る(いる)」は特定の場所を指す場合が多く、「在る(ある)存在する」は場所を問わない場合が多いからです。しかし、この区別はそれほど厳密になされるものではありません。 「口を利(き)いては済まない」=「話をしては他人に申し訳ない」の意味です。 4.私が奥さんと話している間に、問題が自然先生の事からそこへ落ちて来た。 (1)「先生の事からそこへ落ちて来た」の「先生の事」は「先生の話」 (2)「そこ」は先生の話の後の話 (3)「落ちる」は話の流れが自然に行き着く、の意味。 (4)は分かりません。このように用法を分類することにどれほど意味があるのかも分かりません。意味としては、eventually, It become a topicといった感じでしょうか。 以上、自信はありませんが、日本人のうち頭がそれほど良くはない人の一サンプルとしては参考になるのではないでしょうか。
お礼
ご丁寧に教えていただき誠にありがとうございます。「知れる」と「知られる」の違いは「捕れる」と「捕られる」の違いに似ているような気がします。なんとなくおっしゃる感覚はわかりました。いろいろ大変参考になりました。日本語はまだまだ下手です。がんばります。本当にありがとうございました。
補足
>は分かりません。このように用法を分類することにどれほど意味があるのかも分かりません。意味としては、eventually, It become a topicといった感じでしょうか。 自分でも「てくる」で文を作りたいので、外国人にとっては意味があると理解していただければありがたく思います。申し訳ありませんが、「eventually, It become a topicといった感じ」はまだよく理解できません。
- tongrong
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日本近代文学を勉強している大学生(日本生まれ・育ちの日本人)です。 これはあくまでもわたしの解釈です。 日本語はとてもあいまいなものですので、ニュアンスでとらえてしまいます。 母国語が日本語でない方からの質問は良い意味でびっくりしますね。 勉強がんばってください! 1.・これは始めから私に知れていた。 ・先生はまるで世間に名前を知られていない人であった。 次の二文は上の二文との意味は同じでしょうか。 ・これは始めから私に知られていた。 ・先生はまるで世間に名前が(の)知れていない人であった。 自分でまとめてみたのですが、「(事)を(人)に知られる」と「(事)が(人)に知れる」は正しいのでしょうか。 →「られる」というこの言葉を使うのはおそらく先生に対して「尊敬の意味」があるのではないかと思います。 →わたしに知られていた というのは、わたし>先生 になってしまいますので、「私に知れていた」でいいと思います。 →先生は世間に~知られ… というのだと、わたしが思う世間<先生 になると思います。 →まとめられた結果はその通りだと思います。 ~れる と ~られる には似てますが、違いますよね。 知れる…わたし、わたしより表現的には同等かそれ以下の者 知られる…わたし以外 みたいな感じでしょうか?(わけがわからなくってすみません) 2.だから先生の学問や思想については、先生と密切(みっせつ)の関係をもっている私より外(ほか)に敬意を払うもののあるべきはずがなかった。 「もののある」の「もの」は人でしょうか。なぜ後ろに「いる」ではなく、「ある」を使うのでしょうか。 →「ある」の主語はなんでしょうか。「もの」です。 この文の「もの」は「人でないもの」のようではありますが「人でも物でも事でもあるもの」です。 ええと、つまり 物事人 すべてを「もの」にしているんです。 あいまいな日本語の典型的な表現ですね。 →「いる」だと、場所や存在が確定しているように感じるので、「ある」にすることにより 存在さえもあいまいにしているんだと思います。 あいまいなものは、大体「ある」にしていると思います……。 3.先生はまた「私のようなものが世の中へ出て、口を利(き)いては済まない」と答えるぎりで、取り合わなかった。 「口を利(き)いては済まない」はどういう意味でしょうか。 →「(一人前に)話をしてはいけない」という意味でしょう。 先生はとあることをきっかけに自分が駄目な人間であると思っています。 なので、ちゃんとした人間でない者が意見や思想を語ったりしては世の中のためにならない…「(大勢の人に対して?)話をしてはいけない」といったのではないでしょうか。 5.丈夫ですとも。 これは「もちろん丈夫です」という意味でしょうか。現在でも「丈夫ですとも」のようにしゃべるのでしょうか。 →その通りで大丈夫です。 この表現は「同意」ですから、今も昔でも使って大丈夫です。 ただし、若い人は「丈夫」より「健康」「元気」を使うんじゃないかと思います。 4の質問はお答えできませんでした。すみません。。。 夏目漱石『こころ』は大好きな作品の一つです。 表現は古さもありますが、奥深さは非常にレベルが高いと思います。 つたない意見ですが、参考になれば幸いです。
お礼
ご親切に教えていただき誠にありがとうございます。いろいろ大変参考になりました。5に関してですが、「丈夫ですとも」の「丈夫」という箇所ではなく、「とも」という言い方が気になります。本当にありがとうございました。日本語の勉強、がんばります。
補足
>ただし、若い人は「丈夫」より「健康」「元気」を使うんじゃないかと思います。 お聞きしたかったのは「丈夫ですとも」の「とも」が現在で使うかどうかということです。よろしくお願いいたします。
お礼
ご回答ありがとうございます。「知れる」と「知られる」の分析は大変助かりました。なんとなく「捕れる」と「捕られる」の違いに似ているような気がします。「もの」は「人自体」よりも「どのような人か、という中身」に重点を置いたことに注目します。「口を利(き)いては済まない」の意味はよくわかりました。「先生の事からそこへ落ちて来た」という文もすっきりいたしました。「てきた」が含まれている「推移」というニュアンスを覚えておきます。「丈夫ですとも」に含まれる「相手の理解不足を非難するニュアンス」を心がけます。使わないようにします。また、質問文の添削に感謝いたします。「(○と)△との」という形は非常に助かりました。このように覚えておきます。また練習してみます。「の」の有無はやはり難しいですね。「しゃべる」、「話す/言う」の丁寧度は大変参考になりました。「フローベールは言っている。ペンとは何と重い櫂なのだろう、と。漕いでも濃いでも進まないのだ」は今日繰り返し目で追った活字です。
補足
> B.<(4)「て来た」の「くる」は下記辞典の「(17)(補助動詞)」の何番目の使い方にあたるのでしょうか。> :間違いではありません。 十分通用する表現です。 ただ、「でしょうか」ではなく「のでしょうか」とすると、『あまり強く断定した回答を期待するのは難しいかもしれない』というニュアンスが込められることになります。 このように表現するほうが適切な場合もありますが、ニュアンスの違いは一応把握しておいたほうが良いでしょう。 申し訳ありませんが、「あまり強く断定した回答を期待するのは難しいかもしれない」の意味はよくわかりません。 いまのところはこのような感じです。『「でしょうか」=単刀直入に話す』、「のでしょうか=婉曲的に話す」のように理解してよろしいでしょうか。 「の」の有無は私にとってとても難しいです。「上十」でも同じような問題がありました。ご説明は「上十」で結構ですので、よろしくお願いします。こちらで次の二つの追加質問を答えていただければ嬉しいです。 1.「あまり強く断定した回答を期待するのは難しいかもしれない」の意味。 2.『「でしょうか」=単刀直入に話す』、「のでしょうか=婉曲的に話す」のように覚える。