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『こころ』の「上十五」1

 日本語を勉強中の中国人です。夏目漱石の『こころ』を読んでいます。「上十五」の中に理解できないところがありますので、お伺いしたいと思います。結末部分はまだ読んでいないので解答の際には触れないでください。次は参考ページです。 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html 1.先生は奥さんに対しても始終こういう態度に出るのだろうか。 「態度に出る」はフレーズでしょうか。「態度をとる」に変えたら、ニュアンスは変わるのでしょうか。 2.それから奥さんは私に会うたびに尋常であったから。 ここの「尋常」はどういう意味でしょうか。 3.火に焼けて冷却し切った石造(せきぞう)家屋の輪廓(りんかく)とは違っていた。 (1)「火に焼ける」はどういう意味でしょうか。その中の「に」の役割は何でしょうか。 (2)「火に焼けて冷却し切った石造(せきぞう)家屋の輪廓(りんかく)」とはどんなことなのか想像できません。また、なぜ先生の覚悟はその場面と違うのでしょうか。 4.私の眼に映ずる先生はたしかに思想家であった。 「眼に映ずる」の「映ずる」は現在でも使われるのでしょうか。「眼に映ずる」は「眼に映る」と比べて、より文学的な表現になるのでしょうか。 5.これは私の胸で推測するがものはない。 上の文はよく理解できません。「がものはない」はどういう意味でしょうか。    また、質問文に不自然なところがありましたら、ご指摘いただければありがたく思います。よろしくお願いいたします。

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  • hakobulu
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回答No.3

1、 「態度に出る」はフレーズでしょうか。「態度をとる」に変えたら、ニュアンスは変わるのでしょうか。 :微妙ですが変わります。 「態度に出る」は、相手に対する能動的姿勢を意図しています。 「態度をとる」は、そういう姿勢を見せているというニュアンスになるでしょう。 (EX) ・彼があのような態度に出たので、彼女としても引っ込みがつかなくなって喧嘩が始まったんだ。 ・無作法な振る舞いをしている若者などに対して、 「そういう態度をとっていると印象が悪くなるよ。」 などと忠告する場合。 2、 {それから奥さんは私に会うたびに尋常であったから。} >ここの「尋常」はどういう意味でしょうか。 :「特に不満があるようでもなく、いつも穏やかで【平静(な精神状態)】に見えた」ということです。 3、 {火に焼けて冷却し切った石造(せきぞう)家屋の輪廓(りんかく)とは違っていた。} (1)「火に焼ける」はどういう意味でしょうか。その中の「に」の役割は何でしょうか。 (2)「火に焼けて冷却し切った石造(せきぞう)家屋の輪廓(りんかく)」とはどんなことなのか想像できません。また、なぜ先生の覚悟はその場面と違うのでしょうか。 :「に」は下記の(一)「(7)動作・作用の起こるみなもとを表す」でしょう。 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%CB&kind=jn&mode=0&base=1&row=9 煉瓦の建物を想像されるといいかもしれません。 煉瓦は焼かれてできると思いますが、建物になる時点では冷たくなっていて、もはや中に熱は含んでいません。 そして、煉瓦は固いので、できた建物の輪郭を眺めると頑丈そうに見えるでしょう。 しかし、地震などの揺れには案外脆いものです。 先生の覚悟というものが、机上の理論からだけ生まれた見せかけの冷たく脆いものではなく、内面に熱く燃える強い意志に裏打ちされているように思われた。 とうことでしょう。 4、 >「眼に映ずる」の「映ずる」は現在でも使われるのでしょうか。 :使われます。 >「眼に映ずる」は「眼に映る」と比べて、より文学的な表現になるのでしょうか。 :常にということはできませんが、そういう場合もあるでしょう。 「湖に映る山々の紅葉が鮮やかに目を射る」を 「湖に映ずる山々の紅葉が鮮やかに目を射る」など。 ただ、 「あの夜、あなたの目に映った月の影が今も印象に残っている」を 「あの夜、あなたの目に映じた月の影が今も印象に残っている」変えると逆に不自然になるかもしれません。 また、原作の場合のような心象に対しては文学的か否かという問題は別にして、 「映じる」という表現でなければ不自然になる場合が多いように思います。   5、 {これは私の胸で推測するがものはない。} :「~がものはない」は『~までもない』『~の必要はない』といったような意味になると思います。 「がもの」という連語があるようです。http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%AC%A4%E2%A4%CE&search_history=%A4%B9%A4%EB%A4%AC%A4%E2%A4%CE%A4%CF%A4%CA%A4%A4&kind=jn&kwassist=0&mode=0 「~の値打ちに相当するもの」という意味です。 ここから、 「~がものはない」 →「~の値打ちに相当するものではない」 →「~(本来意図すること)と同じではない」 →「~の必要はない」 →「~までもない」ということになると思います。 「私がわざわざ推測するまでもなく明らかになったことだ」という意味です。  

awayuki_ch
質問者

お礼

 ご回答ありがとうございました。「態度に出る」と「態度をとる」の例文を拝見して微妙な違いはわかるようになりました。「尋常」は理解できました。煉瓦の建物が想像できて含まれる深意もわかりました。「眼に映ずる」と「眼に映る」のご意見は参考になりました。「がもの」の解釈は大変助かりました。「紅葉が鮮やかに目を射る」は美しい景色ですね。十分満喫できました。お返しに白居易の『暮江吟』をお贈りします。お楽しみください♪。http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi2/rs142.htm

その他の回答 (2)

回答No.2

1 「態度をとる」と表現しても、ニュアンスはほとんど変わりません。「(~に)出る」という動詞に「(或る態度を)とる」という意味があるんです。「下手に出る」などとも使います。個人的な意見ですが、「態度をとる」にくらべて「態度に出る」には、かけひきのニュアンスが強いように感じられます。「相手がこう出たら、自分はこう出よう」みたいに使われることが、比較的多いです。 2 「普通」という意味です。なにも異常な点が見つからないということです。「尋常でない雰囲気」などと、否定語と共に使われるのが一般的です。 3(1) 「火によって焼かれる」という意味です。「に」は格助詞で、Infoseek の辞書(http://dictionary.www.infoseek.co.jp/)には『動作・作用の起こるみなもとを表す』というふうに載っています。 (2) 文学的な修辞ですね。石造家屋を建てる場合に、石を焼くのかどうかは知りませんが、なにしろ「一度は焼かれたことがあっても、現在では冷え切ってしまっているような石とは違う」という意味です。石というものは燃えないわけですが、「先生」は今でも燃えているのです。冷たい眼で「他人の事実」を分析しているような思想家とは違い、「先生」は今でも自分の苦しみのなかにおり、その思想は生きた覚悟であり、痛切なのです。つまり熱いのです。 4 現在でも使われます。書き言葉的な表現です。話し言葉では「映る」を使うことが多いです。書き言葉では「映る/映ずる」どちらも使われます。「映じる」という言葉もあり、これは「映ずる」が上一段活用に変化したものですから、同じ言葉だと見なせます。使用頻度もニュアンスも「映ずる」と変わりません。「映ずる/映じる」の方が、「映る」よりも、確かに多少文学的です。大人びた、学のある人が使うような感じです。 5 自分も初め、理解できませんでした。入力した人が打ちまちがえたのかと思い、岩波文庫版『こころ』でも確認してみましたが、やはり「これは私の胸で推測するがものはない」になっています。ということは、これが正しい文なのでしょう。ここからは推測してみるしかなく、確言はできませんが、この「もの」は「物的証拠」という意味だと思われます。「自分自身が痛切に味わった事実、血が熱くなったり脈が止まったりするほどの事実が、畳み込まれている」ということを、「私」は推測することができるけれども、物証はないのです。多分そういう意味だと思われますが、なにしろ、日本人が読んでも意味の分かりにくい文章であることは、まちがいありません。

awayuki_ch
質問者

お礼

 いつもお世話になります。ご丁寧に回答していただき誠にありがとうございました。大変わかりやすいと思いました。「相手がこう出たら、自分はこう出よう」のようなニュアンスを教えていただき助かりました。石造家屋のたとえも理解できるようになりました。いろいろ参考になりました。本当にありがとうございました。

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回答No.1

昔読んだのですが今は殆ど内容を覚えていないので、間違っていたらごめんなさい。参考程度に見ていただければ幸いです。 >1.先生は奥さんに対しても始終こういう態度に出るのだろうか。 「態度をとる」でも意味は変わりませんが、ニュアンスとしては 「態度に出る」の方が先生が奥さんに対して強く押し込むように接している感じです。 >2.それから奥さんは私に会うたびに尋常であったから。 【尋常】 ― 特に変わった点のない・こと(さま)。あたりまえ。並み。普通。 要するに普段となんら変わらない仕草で接してくるので、 果たして奥さんが不満に思っているのか、満足なのか、が読み取れないんですね。 >3.火に焼けて冷却し切った石造(せきぞう)家屋の輪廓(りんかく)とは違っていた。 すいませんちゃんと内容を覚えていないので分かりません… 「に」は火によって焼かれる、の「に」ですかね。 「火に焼けて冷却し切った」と言うのはニュアンス的にもう一度栄えて終わりを迎えた感じがするので、 =死んでいる、生きていない覚悟、と言う事ではないでしょうか。 >4.私の眼に映ずる先生はたしかに思想家であった。 その通り、まず今現在では口語としては使われませんね。 【映ずる】―目に、そのように見える。感じられる。 【映る】―人に、そのような印象を与える。映ずる。 >5.これは私の胸で推測するがものはない。 「推測するが 物(で)は無い」と区切って読むと良いかもしれません。 つまり「推測した物ではない」「推測できる物ではない」と言う意味でしょうか。

awayuki_ch
質問者

お礼

 ご親切に回答していただき誠にありがとうございました。大変参考になりました。本当にありがとうございました。

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