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WAIS-IIIの検査結果について教えてください
21才女性、現在大学生です。 先日WAIS-IIIを知人の勧めで受診(受検?)したのですが、 渡された「検査結果上の特徴」の内容がピンと来ず、 医師からは口頭で「(結果は)あまり気にしなくていい」と伝えられました。 しかし受診を薦めた知人に結果を見せるとディスクレパンシーがかなり大きいと指摘され、 ネット上などで調べてみても確かに数字の開きが多いように思います。 ただ生活上の困難は感じたことがありません。 発達障害の方々が仰ることがかなり自分に当てはまりはするのですが、 それが誰にでもあてはまる当然のことだと思っていたため、 発達障害を自分で疑ったことや、 それを理由に今困難を覚えていると感じたことがありませんでした。 知人からは発達障害だと思われているようですが、 私は作動記憶が高いのでしばしば拝見した診断持ちの方々の例とは異なっており、 それゆえ私は(困難を感じたとしても)発達障害ではないのだとも考えています。 (日常生活での困難があるか否かだというのは承知しております……) 以下に検査結果の数値を記載しますので、 「よくある」レベルなのかご教示いただけましたら幸いです。 もしそうでないとすれば、日常生活でどんなことが考えられるかなどのご指摘を頂けると嬉しいです。 言語性IQ 139 動作性IQ 98 全検査IQ 122 言語理解 133 知覚統合 97 作動記憶 132 処理速度 107 単語19 類似17 知識11 理解15 算数18 数唱15 語音13 配列8 完成9 積み木10 行列10 符号12 記号11 組合8
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- vzb04330
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dororodororoさん、こんにちは。 臨床心理士です。 WAIS-IIIは、成人用の知能検査で、現在もっとも良く用いられているものです(ただし、最新版はWAIS-IVが出版されています)。 1.検査結果の見方 1)IQ、群指数(言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度) IQの数値は、同じ年齢の集団の中で平均的な能力であったとき、100になる、相対的な数値です。 理論的には、90~109の間に50%の人が含まれます。 2)下位検査(単語以下のもの) 同じ年齢集団の中で平均的な成績であったとき、10になる、相対的な数値です。 2.dororodororoさんの結果 1)IQの数値 全検査IQは、全体的な知能の高さを示しています。 122は、測定誤差を考慮に入れても、平均の上~高い水準にあります(本来は、測定誤差を含めて説明しますが、繁雑になりますから、以下では割愛します)。 したがって、全体としてはとても高い知能をお持ちと考えられます。 なお、言語性IQと動作性IQは、近年の研究で理論的、実証的根拠がないことが明らかにされましたし、群指数を解釈する際にはこれらは解釈しないことになっていますので、説明を割愛します。 2)群指数 もっとも低かった知覚統合(97)も平均的な高さで、言語理解(133)や、作動記憶(132)は、高い~非常に高い水準でした。 このように4つとも群指数は高いのですが、4つの群指数の間には大きな差が認められました。 もっとも高かった言語理解ともっとも低かった知覚統合の間には、36の差があります。 これだけ大きな差は、1%あまりの人にしか見られないものです。 また、4つの群指数の間には、統計的に見て意味のある差(有意差)も認められました。 これらから、dororodororoさんの群指数には、次のような得意・不得意のパターンがあるといえます: 言語理解≒作動記憶>処理速度≒知覚統合 4つとも平均以上の能力はお持ちですが、このように大きな差があり、しかも統計的な有意差が認められましたので、dororodororoさんご自身の中では、言語理解と作動記憶は得意である一方、処理速度と知覚統合は苦手を考えられます。 言語理解は、語彙の豊かさ、ことばの理解力や説明力、ことばで考える力を測定しています。 また、作動記憶は、ワーキングメモリー(暗算をするなど、何をするのかという目的とそれに必要な情報を記憶し、その作業をする記憶力)や、注意の集中、計算能力を調べています。 群指数から見ると、これらは得意と思われます。 一方、知覚統合は、視覚的な情報の理解力、表出、また、視覚的な情報をもとに考える力を見ています。 処理速度は、作業を速やかに進める力や、段取りのよさ、単調な反復作業において集中力ややる気を維持する力、筆記技能などを測定しています。 言語理解や作動記憶に比べ、これらは苦手であると考えられます。 3)下位検査の結果 4つの群指数は、それぞれ2~3の下位検査の結果を基に求められています。 それらを見ますと、知覚統合と処理速度の下位検査の結果は、どちらも大きな差はありませんでした。 それに対し、言語理解と作動記憶では、下位検査の結果に大きな差が認められました。 このことは、言語理解と作動記憶については、詳しく見る必要があることを示しています。 まず、言語理解では、語彙力やとても豊かで、ことばで考えることは得意と考えられますが、社会・理科などの教科的な知識は少ないと思われます。 また、作動記憶では、計算能力は非常に高く、機械的な記憶も良くできるものの、本来のワーキングメモリー(上記の説明をご覧ください)は、苦手ではないかと思われます。 4)まとめ 全体として高い知能をお持ちですが、群指数や下位検査の結果を見ますと、大きな差があり、認知能力にアンバランスがおありだと考えられます。 本来は、学業の様子や、日常生活の状況なども拝見して、それらと検査結果とを照合して解釈する必要がありますが、これだけ認知能力にアンバランスがおありですと、いろいろと困難を抱えていらっしゃるのではないかと推測されます。 したがって、医師が「(結果は)あまり気にしなくていい」とおっしゃったという点は、心理士からするとどうかと考えます。 5)今後のことについて 上記の説明は、検査結果の数値だけに基づいて考えられること、すなわち、dororodororoさんの知能や、認知能力について、WAS-IIIの結果から考えられる「仮説」です。 ご自身で思い当たるところがおありか、お考え下さい。 日常生活や学業で、他の多くの人たちと比べ、苦手であったり、苦戦したりすることがおありでしょうか。 もしそういうところがおありなら、専門医や、知能検査に詳しい心理士に、苦手なこと、苦戦していることと、検査結果との関連や、対応策についてご相談になることをお勧めします。 精神科医や心療内科医の先生は、かならずしも知能検査の解釈に詳しいとはいえませんので、心理士に相談される方が良いと思います。 3.発達障害と知能検査 発達障害の診断を行う際、知能検査の結果はあくまでも参考とするデータに過ぎません。 つまり、知能検査の結果や、群指数のパターンと、特定の発達障害の診断との間には、直接の結びつきはありません。 この点、世間では誤解があります。 発達障害の診断は、生育歴と、現在の心理・行動上の特徴、またそれらの特徴によって日常生活にどの程度支障が出ているかといったことに基づいて行われます。 「発達障害の方々が仰ることがかなり自分に当てはまりはするのですが、それが誰にでもあてはまる当然のことだと思っていたため、発達障害を自分で疑ったことや、それを理由に今困難を覚えていると感じたことがありませんでした」と書いていらっしゃいます。 最近では、「自閉スペクトラム症」のように、発達障害は、「発達障害であるかないか」という2分法的な判断ではなく、スペクトラムとして捉えられるようになっています。 つまり、程度の問題と考えられています。 ご自身、あるいは周囲の方がお困りになることがよくあるということでしたら、きちんと診断をお受けになった方が良いかも知れません。 以上、ご参考までに。