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WAIS-IIIの検査結果と今後について
発達障害の心理テスト WAIS-IIIをしたのですが、どのような結果になっているか教えていただけますでしょうか。 全検査IQ:78 言語性IQ:77 動作性IQ:83 言語理解:84 知覚統合:87 作動記憶:83 処理速度:78 今は事務をやっていますが、今後どんな仕事に就いたらいいかわかりません。 先生にはADHDの傾向があると言われました。
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- vzb04330
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lila2さん、こんにちは。 心理士をしています。 ADHDの傾向がおありで、WAIS-IIIを受検されたということですが、検査結果は、本来は、検査場面でのご様子や、普段の生活、お仕事での状況も踏まえて解釈するものです。 そのため、できれば、検査を受けた医療機関で、担当した心理士の方に説明していただくのがもっとも良いと思います。 今回は、お示しいただいた数値的な結果だけにもとづいて説明をしますので、以下の内容は、質問者様の特徴を正しく捉えていない可能性もありますので、ご了承ください。 受検されたWAIS-IIIは、日本だけでなく、世界でもっともよく用いられている大人用の知能検査です。 お書きになっているような「発達障害の心理テスト」ではありません。 発達障害の診断にはあくまでも、WAIS-III の結果は、参考資料として用いられますので、お示しになった結果から発達障害にあたるかということや、どの発達障害に該当するかは、分かりませんので、ご了解ください。 1.結果の見方 3 つの IQ と、言語理解~処理速度の 4 つの群指数の標準得点は、ある年齢のグループの中で平均的な成績を取ったとき、IQ(標準得点)=100 となる、相対的な得点になっています。 IQ、標準得点ともに、90~109 が「平均」と判断されます。 80~89は「平均の下」、70~79は「低い」となります。 IQ も、標準得点も、「誤差範囲を考えて解釈する必要がありますが、煩雑になりますので、今回の説明では割愛します。 2.IQ 全検査 IQ=78 ですので、この検査が正しく実施されているとすれば、質問者様の全体的な知能の高さは、「低い」になります。 測定誤差を考えますと、「低い」~「平均の下」になります。 言語性 IQ=77 は、「低い」、また、動作性 IQ=83は「平均の下」と考えられます。 言語性IQと動作性IQとの間には、有意差(統計学的に見て、意味のある差)はありませんでした。 質問者様は、言語的な能力と、視覚的、空間認知の能力の間に差はないと考えられます。 なお、言語性 IQ は、言語的な能力(言葉を用いて考える、言葉を理解し、言葉で表現する能力)や、学校で学ぶような知識の高さを表しています。 また、動作性 IQ は、視覚的な情報の処理能力や、視覚的(非言語的)な思考力、視覚-運動能力(視覚情報に基づいて操作をする能力)を示しています。 3.群指数 言語理解から処理速度の4つの結果は、「群指数」といいます。 群指数は、言語性 IQ や、動作性 IQ よりも詳しい認知能力を測定しています。 IVつの群指数は、それぞれ次のような能力を測定しています: ・言語理解……言語理解と言語表現の両者を含む、言語能力の水準、言語的な思考力の高さを示します。 ・知覚統合……視覚や、視覚運動に基づく知覚や認知能力。とくにものとものとの関係を捉えたり、細かい部分を全体にまとめて理解する能力、イメージを用いる思考能力を示します。 ・作動記憶……情報や、刺激を数秒~数分の短時間、記憶に留めておき、さらに、それらの情報に基づいて、計算や思考など心理的作業をする能力。ここでは、主に聴覚的な短期記憶に基づく。 ・処理速度……⼼理的作業のスピードや、視覚的な短期記憶、視覚的な作動記憶の能力を意味します。 質問者様の群指数の結果は、処理速度=78が低く、これは「低い」にあたる能力でした。 一方、知覚統合=87がもっとも高く「平均の下」と判断されます。 4つの群指数の間には、統計学的な有意差はなく、見かけの数値では差はありますが、これらは意味のある差とはいえませんでした。 4.まとめ 質問者様の知的能力は、WAIS-IIIが正しく実施されたとしますと、全体的には「低い~「平均の下」のレベルにあると考えられます。 ただし、検査場面でとても緊張していたとか、注意が集中しなかった,あるいは、体調が悪かったなど、能力うまく出せないような条件があったならば、結果は変わったかも知れません。 このように、群指数の結果から見ますと、質問者様の場合、認知能力のバランスも取れています。 発達障害と診断される方の多くには、認知能力のアンバランスが見られます。 しかし、質問者様の場合、言語性IQと動作性IQの差、また、群指数の比較から見て、認知能力のアンバランスはありませんでした。 ただし、認知能力のアンバランスがあるからただちに発達障害であるとはいえませんし、どういうパターンのアンバランスがあるから、ある発達障害の診断が下されるということはありませんので、この点は正しくご理解ください。 また、質問者様のように、認知能力のアンバランスがないからといって、発達障害ではないともいえません。 したがって、主治医の先生からは、「ADHDの傾向がある」と言われたと言うことですが、その点については、WAIS-IIIの結果からは何とも言えません。 発達障害の診断は、生育歴や、現在の心理・行動の特徴に基づいて行われます。 最初にも書きましたように、WAIS-IIIなどの知能検査の結果はあくまでも参考データとして用いられます。 現在、事務職についていらっしゃるということですが、WAIS-IIIの結果だけからは、これが質問者様に合っているかどうか判断するのは難しいところです。 お仕事の上でお困りのことや、日常生活がスムーズに送れないようなことがあれば、今後どのようにしていけば良いか、考えて行くことが必要になります。 その際、WAIS-IIIのさらに詳しい結果(知識、単語、算数など下位検査の結果)を分析してみると、何か参考になる結果が出てくるかも知れません。 以上、お示しいただいた数値的な結果に基づいて、説明、多少の助言を書かせていただきました。 最初に書きましたように、本来は、検査を実施してもらった医療機関で、担当の心理士の方に詳しい説明をお受けになり、また、お困りのことや、仕事、日常生活などについてご相談になる方がよろしいと思います。