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ドイツ語について

ドイツ語について vonについて、なかなか概念のイメージができません。 in aus auf durch über などはなんとなく掴んできてるのですが、vonはいろんなところにあるような気がして。 何か良い統一のイメージはありますか? よろしくお願いいたします。

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回答No.1

昨晩は時間が遅かったので、この質問だけ保留にしました。 von 以外の前置詞にも、それなりに多様な用法があります。 ただ、von はほかの前置詞に比べて使用頻度が多いので、 意味の広がりが余計に目につくのかもしれません。 私自身は von が特別難しいとは思わないのですが、 ドイツの古い辞書を見ると、「ドイツ語で最も意味が多様な不変化詞の一つ」 となっているので、やはり意味が特に多様であることには違いありません。 最近、英語の参考書などでは、 コア・イメージで単語の意味を根本から理解することの重要性を説いたものがありますが、 ドイツ語にはそういう参考書がありません。 白水社の「ドイツ語不変化詞辞典」がある程度役に立ちますが、 現在入手しにくくなっています。 von について、私がまず思いつく基本の意味は、「起点」です。 ドイツの古い辞書の詳しい原義の説明を見ると、 「起点」と同時に「距離」が挙げられており、 von で示されたものや場所から「去っている」という意味が含まれるとあります。 von の多様な意味は、互いの間に明確な境界を引けないこともあって、 用例の分類や説明の仕方は辞書によって異なりますが、 もっとも基本的な意味での用例から始めます。 まず、von Tokyo nach Osaka のように場所的な「起点」を示すと同時に、 von 8 bis 10 Uhr のように時間的な「起点」も示すことができます。 東京を「去って」、そことの間に「距離」が生じています。 8時という時点を「あとにして」、時間的な「距離」が生じています。 これが基本的なイメージといえます。 状態の変化の「起点」にもなります。 Ich erwachte vom Schlaf.(私は眠りから覚めた。) 場所的な「起点」の意味から、「分離する場所」を示すこともあります。 Ich nehme das Bild von der Wand.(私は壁から絵をはずした。) Gott scheidete das Licht von der Finsternis.(神は暗闇から光を引き分けた。) 「起点」のイメージから連想できる意味としては、「出所」「起源」「原因」があります。 Der Brief kommt von meinem Freund.(この手紙は私の友人からのものです。) 手紙の「出所」、つまり発送の「起点」は友人です。 手紙は友人のもとを去っており、手紙と友人の間には距離があります。 Sagen Sie ihm herzliche Grüße von mir.(私から彼にどうぞよろしくと伝えてください。) これも、挨拶を言う主体者は「私」で、「起源」=「起点」と考えることもできます。 挨拶が伝わるときは、「私」からはすでに離れたところにあります。 Ich danke Ihnen von ganzem Herzen.(心よりお礼を申し上げます。) お礼が「心から」発するという「起点」と言えます。 Seine Müdigkeit kommt vom Vitaminmangel.(彼の疲労はビタミン不足のせいだ。) 疲労の「原因」となるビタミン不足が、その現象の「起点」とイメージすることができます。 Ich bin müde von der Arbeit.(私は仕事で疲れている)も同じ用法です。 「起点」から連想できる「由来」の意味から、「作者」「行為の主体」を示します。 Ein Roman von Goethe.(ゲーテ作の小説) 小説の創作者、という作品の「由来」という意味で理解できます。 Der Roman wurde von Goethe geschrieben.(その小説はゲーテによって書かれた。) わかりやすいように、上の文の書き換えにしましたが、 受動態の文で、「行為の主体者」を示すのに von を使います。 小説を書くという創作行為の「起点」とイメージすることが可能です。 Die Idee stammt von ihm.(そのアイデアは彼のものだ=彼のアイデアだ。) アイデアの「出どころ」を表しています。 これと並行して、「所有者」を示すのにも使いますが、 これは、本来2格で表現するべきところを、 口語では von で代用することが多くなったという面があります。 der Hut von meinem Vater(私の父の帽子) これは、der Hut meines Vaters の方が本来よいとされます。 「由来」の意味から、当然「産地」や「出身地」も表します。 der Wein von der Mosel(モーゼル産のワイン) Mein Vater stammt von hier.(私の父はここの出身です。) なお、出身地に関しては、具体的な名前を挙げる場合は、 Mein Vater stammt aus Berlin. のように、aus を使うのが現代の標準です。 やはり「起点」と類似のイメージで、 「原材料」「素材」「手段の基盤となるもの」などがあります。 ein Ring von Silber(銀製の指輪) 指輪の原材料は銀なので、その「元のもの」≒「起点」と考えられなくもありません。 なお、この意味での von も現在はあまり使わず、aus を使った、 ein Ring aus Silber のような言い方のほうが標準です。 Menschen leben vom Brot.(人はパンによって生きている。) 生きるという行為、手段の基盤としてのパンは、 その行為が可能になる「起点」とイメージできるかもしれません。 「起点」からそろそろ離れた意味になってきますが、 「部分」について述べるときに、それが帰属する「全体」を von で表します。 特定のものを抜き出す「起点」と考えられなくもありません。 einer von meinen Freunden(私の友人の一人) しかし、「起点」からの連想がしにくい意味もあり、 これらは別の用法としてとらえる方がよいでしょう。 たとえば、あるものの数、性質、特徴を表したり、 説明のための言葉を並列したりして、 「同格」「同等」のような形の表現になります。 eine Frau von 30 Jahren(30歳の女性) eine Länge von 100 Metern(100メートルの長さ) ein Mädchen von schöner Gestalt(姿の美しい少女) Mutter von drei Kindern(3人の子の母親) ein Mann von Fach(専門の男=専門家) das schöne Wort von Demokratie(民主主義なる美しい言葉) 判断や叙述の適用範囲(~に関して)を限定する用法もあります。 Ich habe lange nichts von ihm gehört.(私は彼の消息を長いこと聞いていない。=彼に関する消息) das Wissen von Medizin(医学に関する知識) Er ist Lehrer von Beruf.(彼の職業は教師です。<職業に関して言うと教師です) ein Gemälde von Christus am Kreuz(十字架にかけられたキリストの絵画=キリストに関する絵画) また、先ほど「所有者」の項目で書きましたが、 2格の代用としての von の用法というのがよくあります。 たとえば、「父の代わりに」は statt des Vaters と2格支配の statt を使いますが、 Vater を代名詞で置き換える場合、2格が使えないので、 statt von ihm というような言い方をします。 話し言葉では、書き言葉よりも von を多用するので、 現代語ほど von が頻繁に出てきます。 ほかにも、慣用句の中で使われる von もあり、 すべてを最初から網羅的に把握するのは無理なので、 少しずつ慣れていくようにしてください。

namakemono420
質問者

お礼

起点、距離の概念。つかめた気がします。vonのausと共通な部分Genitiv的な使い方、他の概念と被ってくるところも多々あるのですね。大変に詳しい説明をありがとうございます。

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