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タイの経済成長について

タイは昔から外国資本の誘致に積極的で、日本企業の生産基地としても重要な役割を担っていると思いますが、何故か経済成長が遅い気がします。経済成長に必要な、資本投資、人口増加、技術革新、どれを取っても不足要素はないような気がするのですが、もう一人当GDPでは中国に抜かれてしまいました。 タイの経済が成長しない理由は何なのでしょうか?

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  • teigan
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回答No.1

タイの経済成長過程についてはいろいろな見方ができるかと思いますが、日本との比較で見たときに大きく特徴的なのは、 1.食料自給率が高く、長期間、経済成長が農林水産品頼みであったこと 2.「足るを知る経済」、つまり経済成長のみを是としない仏教的価値観があること の2点かと思います。 タイで工業製品の輸出額が農林水産品のそれを初めて上回ったのは1986年です。ちょうど日本がオイルショックを乗り越え、およそ30年にわたる高度経済成長を終えた時期にあたります。日本は第二・第三次産業を発展させて輸出をしない限り自分たちの食料もエネルギーも確保できなかったわけですが、タイでは少なくとも、人口が5千万人を超えて増加率も上がってきたこの頃までの間は、無理に工業化を推し進め、付加価値を自らの力で生み出さなくてもそれなりに食べてゆけたのだと言えるでしょう。 その後十数年間、タイはGDPの年率平均で10%前後という高度経済成長を遂げますが、1997年に発生したアジア通貨危機で、一気にGDP年率マイナス10%となり、経済はどん底に落ちてしまいます。2001年にタクシン首相が登場し、強力な輸出主導政策と外資の呼び込みでこれを回復させてゆくのですが、同時に貧富の格差の増大や環境問題、大都市への人口集中や交通渋滞といった負の側面も一気に噴出し、彼の失脚とその後の長期にわたる政治的混乱業を煮やした形の国王に「足るを知る経済を目指せ」と言わしめることになるわけです。 経済成長イコール国民の幸福、という考え方には日本人の私でも賛同しかねます。彼らには彼らの価値観も尊厳もあるのですし、高度経済成長を必要としない「最大多数の最大幸福」を実現する道は、期間限定であれ存在はすると思います。

kotaro18
質問者

お礼

非常に丁寧、且つ明快で分かりやすい説明どうも有難う御座います。 大変勉強になりました。

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