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万葉仮名の甲乙の違い
たのしい万葉集のサイト(http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/) を、見ていたところ、仮名(まんようがな)一覧表がありました。 【き】の例では 甲 : 支、伎、岐、企、棄、寸、来、杵、服、刻 乙 : 貴、紀、記、奇、寄、忌、幾、木、樹、城 と成っています。 この、甲類と乙類には当時の音韻上の違いがあるのでしょうか? あるとすれば、どのような違いでしょうか? ないとすれば、何のための分類でしょうか? 詳しい方よろしくお願いします。
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こんにちは。 推測による仮説です。 1. その昔には 音韻として / オ ウムラウト( o Umlaut )/ つまり / オ / と / ウ / の合いの子の母音がありました。いま oe とつづりますが それらは あいまい母音のままに留まり得ず どちらか一方になってしまいました。その内いくらかは ふたつの音に分かれて残っています。 (α) oenoe : 己= おの / うぬ〔 うぬ(己)‐惚れ=自惚れ〕 (β) noegoehu: 拭ふ= のご‐ふ / ぬぐ‐ふ (γ) moe: 身= も 〔 も(身)‐抜け= 蛻〕 / む 〔 む(身)‐くろ(殻)=骸〕 (δ) koe: 木= こ 〔こ(木)‐すゑ(末)= 梢 〕 / く 〔 く(木)‐だ‐もの= 果物〕 2. いま / イ / の音を取り上げます。そうすると この音は 二つの種類に分かれます。 つまりあらかじめこれらが 甲乙の分類のことです。 【甲類の イ】: 母音として / ア / や / oe / との直接的な(第一次的な)音韻交替によって出来た / イ / 。 【乙類の ゥイ】: そうではなく(=他の母音との交替によってではなく) 間接的に(第二次的に)一つの母音から派生して出来た / ゥイ /。 3. 【乙類の ゥイ】の出来方=派生形式。(1)の語例で示します。 (δ) 木: koe > koe- i > kui (乙類) > ki (→現代) (γ) 身: moe > moe- i > mui (乙類) > mi (→現代) 4. 前項の註: oe に添える -i は 《或るいは = 有る‐い(事)‐は》のイです。《こと・もの》の意味ゆえ 語( koe や moe )を確実に概念化し 名詞化します。例示しますと。 (ε) : ma (目)→ ma- i > mae(乙類) > me (目) (ζ) : ta (手)→ ta- i > tae(乙類) > te (手) 5. 【甲類の イ】の出来方=第一次的な母音交替。 (ε) 目 ma ∽ mi- ru 見る ・(参照) 次は 【乙類の トゥ】ですが 直接の母音交替の形式です。 (ζ) 手 ta ∽ toe- ru 取る 6. このように考えますと 【甲・乙】の分類は 必ずしも合理的なものではないように思われます。オ列では 甲乙を互いに入れ替えればよいわけですが。 エ列は 【甲乙】とも 派生形式の乙類になります。 ・口を広く開けて出すエ: (ε): ma (目)→ ma- i > mae(メ) ・口を狭くして出すエ: (γ): moe (身)- ki (移行を表わす) = muki (向き) ―― この muki (向き)は 動詞《向く》の連用形=名詞形です。 → muki (向き)- a (主観指定) > mukia > muke (向け=命令形) 7. まとめます。母音として。 ・ 基本母音: a, i, oe ・ 派生母音(1): エ= ae < a- i // e < i- a ゥイ= ui < oe- i ・ 派生母音(2): ウ= u < oe- oe ・ 派生母音(3): オ= o < oe- a, a- oe, u- a, a- u ・ あいまい母音 / oe / の変化: > / ウ / または / オ /
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- bakansky
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これらは万葉仮名の一部で、甲類と乙類の区別がされているものですね。 「イ段のキ・ヒ・ミ、エ段のケ・へ・メ、オ段のコ・ソ・ト・ノ・(モ)・ヨ・ロ及びエ」の音が、上代には2種類あったとされました。 元々は本居宣長などが「発見」していたのですが、大正6年に橋本進吉が「再発見」して論文にしてから注目されました。 音韻上の違いがあったとする考えですが、実際の音がいかなるものであったのかという実証はありません (その「音」を引き継いでいる人がいないので)。 ネット上でも紹介されているサイトがいくつかあるみたいです。一例として、下記に Wikipedia [上代特殊仮名遣] のURLを貼りつけておきます。
お礼
早速のご教示、ありがとうございます。 教えていただいた、Wikipedia [上代特殊仮名遣] をみました。 音韻に関係有りそうだが、実証できないことがわかりました。 日本人ですので、日本の古典の文献を読めるように成りたいと、 思っています。
お礼
ありがとうございます。 音韻にどのような違いがあったか断定できないにしても 違いがあったと推定するのが自然な発想でしょうね。 よく納得できました。