点(a,b)を通る接線の本数
関数y=f(x)をR上の区間(α,β)で考えます。ただし-∞≦α<β≦∞とします。このときxy-平面上の点(a,b)からy=f(x)へ異なる接線が何本引けるかを問う問題が大学入試等でよく出題されます。通常、接点を(t,f(t))を置いて、接線の方程式をy=f'(t)(x-t)+f(t)とし、これが点(a,b)を通るから
f(t)-tf'(t)+af'(t)-b=0
が成り立てばよいが、この左辺をtの関数とみて、その実数解の個数が異なる接点の個数を与えます。ややこしい、という理由から、多くの高校、予備校では、異なる接線の本数=異なる接点の個数、と教えることが多いと思いますが、厳密には一つの接線が異なる二個以上の接点を持つこともありえるので、もう少し議論する必要があります。たとえば90年京大理系後期でそのような考察が必要な問題が出題されました。
一般に変曲点が高々1個の曲線ならば、接線の本数=接点の個数としてよいですが、変曲点が2個以上の場合はそうはいきません。特に4次関数がよい例です。簡単のため、f''(c_1)=f''(c_2)=0として、c_1>xのとき、f''(x)>0とします。つまり上に凸→下に凸→上に凸、のような曲線を考えます。もし二接点を持つ接線が引けるなら、上に凸になるところで二接点を持つ必要があるので、f'(α)<f'(β)は必要です。でないと上に凸になる部分で等しい傾きを与える点が存在しないからです。逆にf'(α)<f'(β)があれば、必ずuniqueな接線があって、二接点を持つと思うのですが、このことがうまく証明できません。中間値がらみの議論で済みそうですが、どうにもうまい証明にならないのです。どなたかご助力お願いできませんか。
ちなみにf(x)が最高次係数がcの4次式なら、y=f(x)が二個の変曲点を持つことと、あるuniqueな実数a,b,p,q(p≠q)が存在して、
f(x)-(ax+b)=c(x-p)^2(x-q)^2
と変形できることは同値なので、議論がやや簡単になります。