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「老いにけらしめ老いさらめやも」の意味は?
くれなゐの雨降るこころ春乃雨老いにけらしめ老いさらめやも 中山智恵子 この歌の「老いにけらしめ老いさらめやも」の意味がとれません。 「老いにけらし」で「老いたらしい」の意味と思うのですが、「め」がわかりません。 「老いさらめやも」は「老い去る」だと思うのですがやはり「め」がわかりません。 「や」「も」はともに詠嘆の終助詞だと思いますが。 どなたか解釈をお願いします。
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山中智恵子(1925-2006)の歌集 「風騒思女集」 (1995 砂子屋書房) に、 くれなゐの雨ふるこころ夜半のゆめ老いにけらしも老いざらめやも が収められているようです。 http://www.izu.co.jp/~jintoku/yamanaka.htm ご質問の歌は、上の歌にもとづいて即興的につくられた可能性もあると思います。 http://www.uranus.dti.ne.jp/~ohta/newpage229.htm http://www.uranus.dti.ne.jp/~ohta/newpage33.htm ともあれ、 「~けらしも」 や 「~ざらめやも」 であれば、萬葉集などでみつけることができます。古今和歌集の仮名序は 「恋ひざらめかも」 で結ばれていますね。 けらし [過去(気づき)の推定の助動詞] も [詠嘆の係 (終) 助詞] ざら [打消の助動詞 「ず」 の未然形] め [推量の助動詞 「む」 の已然形] やも [詠嘆をこめた反語の係助詞 (文末用法)] 「風騒思女集」 の歌であれば、「いつしかすっかり老いてしまったんだなあ、でも、いつまでも老いないなどということがあろうか」 といった意味だろうと思います。 ご質問の歌の 「老いさらめやも」 は、「老いざらめやも」 と解釈してよいのではないでしょうか。 「老いにけらしめ」 の 「め」 は、用例がみつからなかったのでわかりません。辞書をひくと、係助詞 「も」 の上代東国方言なんていうのがありました。この場合、 「め」 は詠嘆の 「も」 と同じ意味になります。 吾妹子と二人わが見し打ち寄する駿河の嶺らは恋しくめあるか (萬葉集 4345)
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- usagisan
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No.1の方の回答でだいたいの方向は出ているように思いますし、上代東国方言についても興味深く拝読しましたが、ひとつ気になったのは、No.1の方が紹介くださっている http://www.uranus.dti.ne.jp/~ohta/newpage229.htm http://www.uranus.dti.ne.jp/~ohta/newpage33.htm の二つのURLのうち、たぶん質問者もご覧になった下側が「老いにけらしめ」となっているのに、上側は「老いにけらしな」となっている点です。 同じ人の同一サイトの中ですので、どちらかが勘違い、もしくはミスタイプの可能性があるのではないかと思います。 また、下側のURLの色紙の写真ですが、「め」の字ではなくて「な」(「奈」を非常に崩したもの)ではないかという気がします。 この色紙解読の参考になる「な」および「め」の画像をうまく見つけられなかったので、 すが、 http://teishoin.sakura.ne.jp/omikuji/kana.html の「な」(いろは順です。ページの真ん中あたり。)の三つめの書体が近いのではないかと思います。この書体を用いて、直前の「し」の字から「な」に移ってく最初の辺りを(勢いにまかせて急いで)詰めて小さく書けば、写真のようになるのではないでしょうか。 手元にある「くずし字解読辞典」(近藤出版社)には、「な(奈)」は十七書体が載せられています。その中には、漢字に近いものもや、現代の「な」と同じものもありますが、「る」と読み間違いそうな、「る」という字の書き始めのあたりが小さく詰まったような形のものがあります。色紙の字はそれと同じではないかと思うのです。(他に「那」「難」「南」「名」「菜」を崩したものが数字体ずつ載っていますが、形は異なります。) 一方で、同書の「め(女)」(「面」「免」などが元になった「め」は形が違います。)の項には、最後の辺りをだらんと下げた形のものは載っていませんし、一番最後を「る」もしくは「ぬ」のように丸めた書体も載っていません。その点からも「な(奈)」である可能性が高いのではないでしょうか。 「な」であれば、『伊勢物語』23段の有名な歌、 筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 過ぎに けらしな 妹見ざるまに の「けらしな」の「な」のように詠嘆の終助詞ですので、No.1の方が引用していらっしゃる「風騒思女集」 の歌同様に、 > 「いつしかすっかり老いてしまったんだなあ、でも、いつまでも老いないなどということがあろうか」 というふうに解釈すればよいと思います。