なるほど・・・これは終助詞の問題ですね。まずはそれぞれの意味を説明します。
ポイント(1)・・・「ばや」と「なむ」について。
未然形+なむ・・・(他者への願望 ~してほしい(なあ))
+ばや・・・(自己への願望 ~したい)
ポイント(2)・・・願望の終助詞(~たいものだ)
(しか)←これは覚えなくてもいい。
(てしか)←これは覚えなくてもいい。
(にしか)←これは覚えなくてもいい。
てしかな(てしがな)
にしかな(にしがな)
ポイント(3)・・・詠嘆の終助詞(~だなあ)
かな
かも
な
ポイント(4)・・・実現不可能・困難な願望の終助詞(~だったらいいなぁ)
もが
もがも
もがな
がな
ポイント(5)・・・念を押す終助詞「かし」(~だよ!・~だね!)
文末強調の終助詞「ぞかし」(~だ!)
文末強調「ぞ」(連体形・体言に付く)
ポイント(6)・・・禁止の終助詞(~するな!)
「な――そ」←「な~そ」の間に入るのは連用形・カ変・サ変(サ変は未然形)
というのがあります。これらを見ると一目瞭然ですね。今回のポイントは(1)、(2)、(3)、(4)、((6))ですね。とりあえず解説をしてみます。
(1)行く末に、この御堂の草木となり(にしがな)と思ひ侍り。
(行く末はこの御堂の草木になり(たい)と思います。)
さぁ、文脈からこれは誰かの願望を表す言葉が入るというのは分かると思います。そこで、願望を表す終助詞は「ばや」・「もがな」・「なむ」・「にしがな」に選択肢が絞れます。ですが、ポイント(1)で指摘しているとおり「ばや」と「なむ」は未然形に接続する終助詞です。()の前には「草木となり」の「なり」、これは「ナ変」の「連用形」の形です。よって「ばや」・「なむ」はアウト。残ったのは「もがな」・「にしがな」なのですが・・・
ポイント(4)で指摘している「実現不可能」というのは過去から今にかけてのことを指します。例えば「今日は雨だ。天気がよかっ“たらいいのになぁ”」という風にいうときに使うのが「もがな」です。ですが、ここでは「行く末に」という未来を示す言葉があります。よって、これは単なる登場人物の「願望」よって、答えに「にしがな」と入るのです。
草木になるなんて実現不可能なんじゃないの?と思うかもしれませんが、当時の人は全てのものに霊力が宿っていると考えていました。なので「行く末」というのは「死ぬ」という意味、そして自分の魂は「草木になりたい」といっているので、決して実現不可能とはいえないのです。
(2)いかでとく京へ(もがな)と思ふ心あれば、
(なんとかして早いうちに京へ行けたらいいのになぁと思う心があるので・・・)
これは問題が悪いですね。この一部分だけではなんともいえません。何か長い文章から引用したものだとは思いますが、この日と一部分だけでは「にしがな」でも「もがな」でもどっちでもいいように思えます。これは間違えても仕方ない。想像を働かして答えを導き出すしかないのですから。この登場人物は何らかの事情で京に行くことができないでいる。(例えば何か道中でトラブルにあったとか)そういった理由で、早く京に行きたいのに行くことができない。「早いうちに京に行けたらいいのになぁ」といっているのでしょう。ただ、ここで「にしがな」と入れても「早く京の都に行きたい」と言っても意味は通りますので、これは問題が悪いとしかいいようがありません。
といった具合でしょうか?この辺の終助詞はちょっと紛らわしいですが、僕が上にあげたポイントしっかり抑えれば大丈夫。あとは問題量をこなすだけ。でも・・・「な」と「そ」を選んでしまったらちょっと・・・これは「な~そ」で一つの意味を成すので、単体だけでは意味は成しません。でもたとえばこのように
こなたに()来そ・・・
のような問題なら、()には「な」が入るので迷わず選択肢を選びましょう。勉強がんばってください!
お礼
回答ありがとうございます! な~そは参考書でもよく触れられていたので把握しました。 「にしがな」と「もがな」の区別がわかりました。