- ベストアンサー
平滑末端(blunt end)のライゲーション成功率
ライゲーションを行ったのですが32個コロニーがあってやっとひとつインサートが入っているものが見つかりました。確率的には1/32ですよね。 ライゲーションの成功率ってここまで低いものなんですか? 上手な人がやればどのくらいで成功するのですか? 運なのでしょうか? インサートが入っていなかったものはベクターのセルフライゲーションが起こったものです。 ベクターの脱リン酸化も行ったのですが、 それが不十分だったのでしょうか? それともインサート:ベクターの混合比がまずかったのでしょうか? 平滑末端だったので難しい実験であることは間違いないですが。 大きさですが、ベクターが8000bp、インサートが 1500bpです。 ゲル抽出をした後の電気泳動のバンドの濃さを見て 同じ液料入れたのがまずかったのかもしれませんが。 モル比は1:1がいいんでしょうか?
- みんなの回答 (6)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
モル比を変えても、それほど劇的には変わらないと思います。1個が10個になるとか、せいぜいそんなものでしょう。それより、モル比が最適でなくてももっとたくさん取れるように改善する点はあると思いますよ。 インサートの入っていないものがセルフライゲーションで、脱リン酸が不十分だからとお考えですが、そうとも限りません。アルカリフォスファターゼは効きの良い酵素なので推奨条件下で反応して、脱リン酸が足りなくて起こるセルフライゲーションというのは案外多くないです。 しばしば問題なのは、消化されていないベクターが残っているということです。少量を泳動で見ても見えないかもしれませんが、大量に流してみればほとんどの場合、切れ残りが観察されます。これはアルカリ/SDSで精製したプラスミドなら避けられないことで、どうしても部分変性して制限酵素が効かなくなるプラスミド分子が生じてくるからです。目的どおりのライゲーションが十分効率よくできていれば、無視できるバックグラウンドですが、難しいライゲーションではそういうのばっかり取れてくるということになります。これを避けるには根本的に効率を上げるしかありません。もちろん、こういう切れ残りにはアルカリいくらフォスファターゼ処理をしても無力です。 アルカリフォスファターゼを熱失活しているところから考えるとCIAPでしょうか。CIAPは熱処理では完全に失活しないので、フェノール抽出をすべきです。楽勝なライゲーションなら少々活性が残っていても十分な成功をおさめられるでしょうが、歩留まりのわるいライゲーションのときは、ライゲーション反応中にインサートを脱リン酸してしまい、ますます取れにくくなる可能性があります。 ゲルからの切り出しをする場合は、バンドを切り出すレーンと、UVをあててバンドの位置を確認するレーンを分けるなどしてUVを極力(できれば全く)あてないでとったほうが良いです。これだけで少なくとも一桁は効率があがります。 ベクター全長が10 kb近く、かなり大きいですが、これくらいになると大腸菌に入る効率がかなり下がってきます(逆に空のベクターの8 kbくらいなら、それより小さいものとそれほど遜色ありません)。性能の良いコンピを使いましょう。 最後に、それだけ大きなコンストラクトでBlunt end ligationをやって、一発で1個あたりがとれたなら上出来ではないですか!!
その他の回答 (5)
- geneticist12
- ベストアンサー率67% (701/1045)
>ライげーションは反応液を作成後、 室温で15min反応後、形質転換しています。 これで操作自体は問題ないですか?> 室温で15min反応というのは簡略法です。 付着末端のライゲーション、コンストラクトのサイズが中庸の、楽勝な実験には十分でしょうが、ご質問の例のように困難が予想される(そして、実際歩留まりに問題があった)実験の場合は、低温(16℃、12℃、4℃など)でオーバーナイト反応させるのが正攻法でしょう。
補足
本来の方法はno4で示している方法です。 脱リン酸化ができているかどうかを知る方法はないのですか? 今回はライげーションしかしていません。
- Chicago243
- ベストアンサー率38% (401/1043)
>コロニーはいっぱいできていましたよ。 それならば、切れ残りのプラスミドか脱燐酸化が不完全なのかどちらかでしょう。他の方が指摘しているようにベクターは切断後、あるいは切断して脱燐酸化したのち、電気泳動し、切り出して切れ残りを除くという方法が一般的です。オーバーロードしないようにすれば切れ残りは完全に除けます。 ベクターをSmaIのような平滑末端をつくる酵素で切ってインサートを入れる場合でインサートをライゲーションしたあと、その酵素の認識配列がなくなる場合は、ライゲーションした後その酵素でもう一度処理してからトランスフォーメーションをするという手が取れることがあります。もちろんインサート内にその認識配列がないことが前提です。
- Chicago243
- ベストアンサー率38% (401/1043)
脱燐酸化について少しコメントします。 脱燐酸化すると、ライゲーションが起こらないのでからのトランスフォーメーションの効率が落ちます。ライゲーションが起こってないプラスミド(直線状のもの)は全く大腸菌をトランスフォーメーションできないわけではありません。したがって幾らかはでてくると思ってもいいとおもいます。32個のコロニーぐらいはできるかもしれません。また、1%が脱燐酸化されてないとしてそれがライゲーションされるとどうなるかというと、トランスフォーメーション活性が格段に上がりますのでさらにコロニーが増えるはずです。脱燐酸化は完全に行うのが理想的ですが0.1%残ったとか、0.3%残ったとかコントロールできないので私は先に述べたようにからのベクターのトランスフォーメーション活性以下の濃度でライゲーションとトランスフォーメーションをしています。 脱燐酸化はより完璧におこなうため、高い温度でやる人が多いようですBAPを使って56から65度で1時間ていどでしょうか。BAPは高温でも失活しませんので、phenolさらにCIAA処理が必要だと思います。より丁寧に失活させるためPK処理をする人もいます。私もした方がいいかなとおもいます。
- Chicago243
- ベストアンサー率38% (401/1043)
まず全部で32個というのはたぶん少ないです。コンピテントの効率、ライゲーションの酵素やATPなど疑う必要があるかもしれません。 からのベクターを10ngほどライげーション後掘り込んでもコロニーは幾らかできます。ですから当たりがその中に埋れるくらいの量であれば32こに1個という状態になってしまうわけです。わたしは、まずコンピテントの効率を10^7以上であることが確認できたものに、からベクターだけをほりこみ20 個のバックグランドがでたらその1/10量のからベクターでライゲーションするようにしています。そうするとあたりを引く確率がかなり高くなります。 たしかにそうしなくてもそこそこの確率で取れてきますが、やはりインサートとベクターの組み合わせは無限にあり全部が同じ確率ではないだろうと思います。 ベクターが8000bp、インサートが1500bpです。ということなので難しくはないですが3kbpsのベクターに300bpsのインサートを入れるよりは難しいのでふだんそのようなベクターを構築している方が少し大きめの物を使おうとすると壁にぶちあたることがあるようです. 比率は1:1くらいでいいと思いますが私は1:1、1:5、1:20など一応比率をふっています。トランスフォーメーションの効率がへってもインサートの比率が高いほうが当たりを比率が多くなるからです。 タンデムに入る可能性を気にする方がいますが、確率がはかなり低いのでそういうのがあった時は同時に必要な物が取れているでしょう。タンデムかどうかは、制限酵素で処理した時のバンドパターンやインサートとベクターのバンドの濃さの比率で察しがつきます。
お礼
コロニーはいっぱいできていましたよ。 しかし、ほとんどが空ベクターでした。 ネガコンとして脱リン酸化した空ベクターもライげーション、形質転換した方がいいかもしれないですね。 受託生産でやっているのでなかなかやらせてもらえないんですよね。
補足
タンデムってなんですか?
- MIYD
- ベストアンサー率44% (405/905)
ベクターのみで(インサートを入れないで)ライゲーションした場合ではどのくらいコロニーが出ていたのでしょうか? その操作を行っていないのでしたら、 用意したベクターがどの程度使い物になるのかわからないで、ライゲーションを行ったのですか? おそらく脱リン酸化が不十分です。 コロニーがまったくでないというのであれば、 平滑末端だから難しいという話になりますが、 単に脱リン酸化されていないベクターがセルフライゲーションしているだけだと思います。 モル比は気にするのならば、1:10~10:1くらいで振るのもいい対処法ですが、 質問者さんの状態であれば、比率は主要な問題ではないと思います。 ただ、質問者さんは >バンドの濃さを見て同じ液料入れたのが と書かれていますが、 ここでモル比としてはだいたいどの位になっているのかを説明していないのは問題です。 質問文を読んでも、モル比が1:1ではないということしかわからないので、 混合比に問題があるのか判断のしようがありません。 インサート無しと有りのサンプルをライゲーションして、 無しのものが有りと比較して十分に少ない状態でなければ、 セルフライゲーションがそれなりに含まれていることを認識して実験を進める必要があります。
補足
ベクターのみで形質転換はやってません。 脱リン酸化ができていればコロニーはできないはずですよね? 脱リン酸化が十分にできているか検証した方が よさそうですね。 話は変わりますが、ベクターの脱リン酸化を行わずにライゲーションを行った場合はライゲーションが成功することはあるんですか? ネガコンとしてインサートなしをやる必要があるみたいですね。 脱リン酸化がきちんとできていればほぼ100%成功するものなのですか? 脱リン酸化は37℃15min酵素反応を行い、その後65℃で30min煮て酵素を失活させたんですが。 操作自体は問題ないですよね。
補足
ゲルの切り出しはbiodynamicsのgel indicatorというものを使ってキアゲンのゲル抽出キットで抽出しています。 ttp://www.funakoshi.co.jp/h_news/BDL/050214_BDL01i.php その後、脱リン酸化は酵素溶液反応37℃、15min、 その後、65℃、30minで酵素を失活させています。 ライげーションは反応液を作成後、 室温で15min反応後、形質転換しています。 これで操作自体は問題ないですか? 先輩にはこう教わったのですが。