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ツォルンの補題:
ツォルンの補題:帰納的順序集合に極大元がある。 各所で使われますが、意味するもののイメージがわきません。証明はいらないがわかりやすいよう、なるほど成り立つというのが納得いくよう、意味するイメージをわかりやすく説明してほしい。
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こんなのなるほど成り立つなんて思わない方がいい。形式上は自明に見えるのに、とても危険なことをやっているからです。選択公理と同等なのだから、それは当たり前。ただ選択公理や整列可能定理の気持ち悪さより、ツォルンの補題の方がまだ自然さがあるから、ということにもなっているので、そのことを問うているのでしょうか。 むしろイメージよりもこれはその有用さを体感したほうがいいと思う。たとえば、「任意のベクトル空間には基底が存在する」、あるいは「任意のヒルベルト空間には完全正規直交系が存在する」、あるいは「任意の体には代数閉包が存在する」、あるいは関数解析で大変重要な「バナッハ空間の任意の閉部分空間上で定義された有界線形汎関数はノルムを変えずに全体の上で定義された有界線形汎関数に拡張される」、あるいは、「任意の環は極大イデアルを持つ」などなど。 僕の直感的なイメージをいうと、枝分かれした(枝は上に伸びていき、二つに分かれたり、あるところで合流したりする)木を書いて、どの一本をとっても(つまり下から順にたどっていく、もちろん枝分かれのところでは好きな方を選ぶ)好きなところで終わったら、その終わったところと同じか、あるいはそれより上に必ず一つは点がある、ということです。よく高校で不連続グラフを書くときに○(含まない)と●(含む)を使いますが、枝のいちばんてっぺんの部分がすべて●になっている、というのが帰納的(半)順序集合の(僕の)直感的イメージです。したがってその●たちはすべて極大元になっているということです。たとえば枝が一本だけのまっすぐな真上に伸びる木があるとして(実数直線を上下に伸ばす)と、これはいちばん上が∞で○になってます。だからこれは極大元を持たないのです。あるとすれば∞のはずだけど、それは○だからダメ。帰納的(=任意の全順序部分集合が上限を持つ)というのは枝のてっぺんが●ということを言っているのです、しかし、こういうことは人に教えてもらうよりも、実際、証明を追ったり(ツォルンの補題の証明自体は僕は重要とは思っていないので、一度ぐらい流し読みする程度でいいと思いますが)、実際に適用してみたりしてなんとなくニュアンスを体得されるのがいちばんとは思いますけどね。 もう一度コメントしておきますが、これは決して自明なものではなく、選択公理なしには出てきません。したがって、“成り立つと納得する”ものではなくて、“成り立つことにする”ものなのです。もちろん有限集合などでは自明ですが、無限集合になるとこれは通常の集合論の公理から導くことができるものではないのです。
お礼
よく考えてみます。 あなたのおっしゃることのイメージ図は志賀先生の集合論30講にでていたのでそれをよんでみるつもりです。ていねいな解説ありがとうございました。