1番の回答に一部、誤りがありました。申し訳ありません。自信なしにしておいて良かったと思います。
さて、特許法131条の2第1項は、「前条第1項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない」旨を定めます。
また、特許法131条第1項第3号は、「請求の趣旨及びその理由」を列記しており、特許法131条の2第1項の規定により、請求の趣旨については、要旨を変更する補正が認められません。
そこで、訂正審判における「請求の趣旨」は何かというと、通常は、下記のように記載します。
特許第○○○号発明の明細書及び特許請求の範囲を請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求める。
これは、図面を訂正しない場合です。
従って、訂正審判の場合は、請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲は、請求の趣旨の一部となります。すると、特許法131条の2第1項の規定により、訂正明細書、訂正特許請求の範囲についての補正が、請求書の要旨を変更するか否かの判断が求められます。
ちなみにこの判断基準は、審判便覧54-10の8に記載されています。なお、審判便覧は、特許庁の下記サイトで、「基準・便覧・ガイドライン」をクリックし、更に、「審判便覧」をクリックして、閲覧できます。
ところで、訂正明細書、訂正特許請求の範囲についての補正が請求書の要旨を変更する場合の特許庁における取り扱いについては、審判便覧54-06、4ページに記載されています。
「当該補正が請求書の要旨を変更するものであるときは、当該補正を採用せず、審理終結通知をした上で結審をする。この場合は、補正を採用しないこと及びその理由を審決の理由に記載する」
以下は、個人的な見解です。自信はありません。
法律は、実体法(例えば、民法、刑法)と、手続法(例えば、民事訴訟法、刑事訴訟法)とに明確に分離していることが多いです。
ところが、特許法は、実体法と手続法の双方を規定していることに特徴があると考えています。
特許法131条、133条、133条の2等は、審判請求書の記載事項、及び、手続の瑕疵があった場合の手続規定であり、権利の実体に関係する場合には当然に適用されるべきではないと考えます。
一方、訂正明細書、訂正特許請求の範囲の補正が要旨の変更に該当するか否かというのは、手続ではなく、権利の実体に関係する判断だと思います。そして、この補正が要旨の変更に該当する場合に、手続につなげる規定、例えば、補正を却下するというような規定がない以上、審判官は補正の却下という行政処分を行う法律上の権限がないと考えます。
お礼
どうもありがとうございました。 審判便覧54-06ではなく、54-05ですね。4ページにありました。 補正却下かなとも思っていましたが、それも違うんですね。 解決です!