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声門閉鎖と鼻腔開放
cotton や eaten では声門を閉鎖するのに sudden, student, didn't, wouldn't の発音では声門を閉鎖するには至らず鼻腔を開放するに留まるのはなぜですか?すごく不思議です!
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個人差はありますがtでは声門閉鎖が生じdでは生じないという傾向は米語にもイギリス英語にもあります。 鼻腔開放がからんでくると事象が複雑になるので後続のソナントが-N音ではなく、-L音の例を見てみましょう。(大文字を使ったのは小文字のlが見づらく紛らわしいのを避けるためで音声表記上の意味はありません) metalとmedalのペアでは本質的にはt/dの有声/無声の対立であるはずのところが後続のLの影響(逆行同化)により有声化していますね。t/dの弁別はこの破裂音自体が有声音か否かではなく先行する母音の長さによってなされます。先行の母音の長さが破裂音の有声/無声の弁別にかかわる点では【sat/sad】など語中または語末のあらゆる位置にあるt/dの対立と同様です。 tの前の母音はdの前に比べると短く発音されます。言い換えると後続の子音群はtの場合の方が素早く発音される必要があります。そのため調音点(この場合硬口蓋)の後の空間の気圧を急速に高める必要があるわけです。 ここまで説明すればtの発音に声門閉鎖が伴う理由はお分かりと思います。声門閉鎖はあくまでも副次的かつ音声(phonetic)上の現象であって音韻(phonological)の面で意義のあるものではありません。英語では声門閉鎖音は音素ではないのです。この点で声門閉鎖音の有無が意味の違いを生じるデンマーク語など北欧のいくつかの言語と英語は決定的に異なります。 なお、イギリスの南部で話される方言(Cockney、Estuaryなど)では語中のtの異音として声門閉鎖音が用いられます。(Cockney, glottal stop で検索すると容易に見つかると思いますので試してみてください) これらの方言での声門閉鎖音が発生した過程とも、今回rikeniumさんがお示しになった疑問は何か関係があるのかもしれませんね。言語史に関心を持つ者として興味を引かれました。
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- hakkoichiu
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難しいことは分かりませんが、 「T」は無声音、「D」は有声音だからと言うことで解決できないでしょうか。 T:-耳に掌を押し付けて発音すると息を吐き出す音しか聞こえません。 D:-同じようにすると自分自身の声が聞こえます。 見当違いでしたらごめんなさい。
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いえいえ、すてきな貢献よハート(あれ、ハートマークが出ない!) 猫が隣で寝てます。ちょっかいだしたら「んー、(上昇調)」って尻尾ぱたぱたさせながら声門閉鎖音を出しています。
お礼
(1)竹林という人の英語の音声学の本にはたしか、たとえば metal と medal の対立(アメリカ人の発音)の説明で、「ともに同じに聞こえる」ようなことを書いていたと思います。でも mnakanonanako さんのおっしゃる説明(satさっと,sadさぁっど)も成るほどと思います。論理的に明快な説明が脳に心地いいです。 英語ではなく日本語ですが、声門閉鎖は音声上だけでなく音韻的な意義もありますよ。「ん?何ていった?」「んー!そよ風が気持ちいい!」後者は鼻腔開放のケもありそうですが。もっとも間投詞は分析の対象外かもしれませんね。 イギリス南部の方言ではtの異音として声門閉鎖音が用いられます、に一票入れます!映画マイフェアレディ見てたら bottle のような単語グロッタルしまくってたような記憶があります。 たとえば"I'm getting married in the morning." というエライザの父親の歌。"getting" の「ティ」のところがすごくグロッタル。それが"t"のグロッタルだったかはさすがに注意してなかったです。 こういう回答の切れ味は快刀!