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表象
こんにちは** 私は理系の大学生です。 大学で表象文化と言う講義がありそのレポートを書かなくてはならないのですが、表象という言葉の意味がよくわかりません。 そこで理系の自分にもわかりやすく教えてください。 ついでに”表象の機能”なるものについて教えてもらえると幸いです。
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「表象」を一番簡単な言葉で説明すると、「人間がとらえた事物の像」ということになるかと思います。 花が咲いている。 あなたはそれを見て「花」と言います。 そのとき、「花」という言葉は、実際に咲いている花の表象です。 花が咲いている。 あなたはそれを見て「花だな」と思う。 そのとき、あなたの頭の中に浮かんだ「花」という観念は、実際に咲いている花の表象です。 つまり、ものごとは言葉や観念によって、表象されている。 対象を言葉や観念で置き換えることによって、わたしたちはものごとをとらえ、考え、話し、コミュニケーションを行っているのです。表象の機能、とはそういうことです。 けれども、ほんとうに、わたしたちが見ているもの=対象といえるのでしょうか。 わたしたちは知覚を通してものをとらえ、脳でそれを判断し、認識する作業をおこなっています。 この認識の結果によって得られた像(表象)=対象、であるとどうしたら証明できるのか。 これをめぐって、実は西洋哲学は長いこと考えつづけてきたのです。 デカルトは「人間は表象によってしか事物を把握できない」として、表象と対象が一致するのは神の意志である、としました。 もう少し時代が下って、カントは、人間はもの自体は認識しえない、人間が認識しうるのは表象だけだ、としました。 けれども、この表象は、個人個人ばらばらなものではなく、すべての人が同一である、としたんです。それによって、表象は普遍性を持ちうる。 ちょっと待って。 それでいいの? なら、表象されないものはどうなるのでしょうか。 人間に知覚されないもの、認識しえないものは存在しないことになってしまう。 たとえばベルグソンは「表象」は、映画がいくつかの静止した瞬間の断片に切り分けてとらえようとするように、生を、瞬間的な静止の姿においてとらえようとするものである、と批判します。 「表象」を問題にしている限りにおいて、わたしたちは決して「生」そのものに近づくことはできない。 さらにハイデッガーは、もっと根本的なことを問題にします。 存在が「表象する」ことの対象になってしまうと、存在はもはや〈存在すること〉をある意味では喪失してしまう、「表象」という概念は、ものごとを、人間が措定し、対象化することによってしか存在しえないものに切り縮めている、と批判していくのです。 このことはさらにフーコーへと続いていくのですが、ここらへんまで来ると、どうやっても簡単にまとめることはできなくなるので、現代思想は、「表象」という概念を、批判の対象としてとらえるようになってきている、というあたりでまとめておきたいと思います。 かなり雑な説明なので、わかりにくい部分、もう少し知りたい部分などあるかと思います。そのときは補足要求お願いします。
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以前、同種の質問に回答しました。 そのときの回答を加筆して再利用しますので ご了承願います。 まず、背景として頭に入れておいた方がいいこと。 伝統的に西洋は(今ではほとんどの国がそうですが) 「実体」と「外観」 「モノそれ自体」と「その表象」 「思想」と「それを表現する記号」 とを区別して、物事を考えてきました。 このような思考法に基づくと 記号や表象は、実体や真理や観念に辿り着くための 方法であることになります。 しかし実際は、記号や表象自体が意味を産出したり 規定することがあり 実体や真理や観念が、記号や表象に絡めとられてしまうことがあります。 (言葉が意味を規定したり、言葉そのものが一人歩きしてしまう といったことです) そういったコトを解明し 知識、主体、全体性といったモノに疑問を投げかけてきたのが 構造主義~ポスト構造主義という現代思想の流れです。 次に、表象の意味ですが 難しい哲学用語は英語にしてしまうと 大概、分かりやすくなります。 表象は「representation」です。 representation は sign(記号)と symbol(象徴)の 間(中間的な位置づけ)にあるような概念で あるものを別なもので代表させるもの、とか あるものを別のもので表現するもの、といった意味合いの下で 幅広く使われるようです。 逆に言えば、表象から「あるもの(即ち、実体)」を読み込むのが 一般的な批評ですが 現代思想は表象と実体の関係を一旦解体(デコンストラクション) することで、表象と実体のせめぎあいの間から どのように意味が産出されるか?といった 「表象の機能」を見ようとすることが多いです。 デコンストラクションは「脱構築」と翻訳されますが 「De-construction」のほうが (construct:構築←→deconstruct:解体) 分かりやすいですよね。 表象も「re-presentation」のほうが分かりやすいですよね。 形而上学って、西洋の学問だから 日本語にすると無駄に難解になる嫌いがあります。
お礼
返答が遅くなって申し訳ありません。 レポートやっと終わりました! しんどかった(ToT) #4番の方もおっしゃっていましたが「表象」などは英語にするとかなりわかりやすくなりますね。 「すでにあるもの presentation 」を「再び re 」表すことが「表象」・・・うーん、わかりやすい!! 日本語で「表象」という文字だけ見せられても、何のことかわかりませんが、英語で書くと文字を見ただけでなんとなく理解できますね。 日本語って難しいな~。 回答ありがとうございました。
補足
皆様、ご回答ありがとうございました!! おかげでレポートも無事終わることができました。 ポイントですがどの回答も大変参考になりポイントの発行に困りましたが、自分なりにわかりやすかった2人につけさせていただきました(勝手ですみません) 最後に単位が取れることを祈ってやってください(笑)
- puppukupuh
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「表象」を英語で表すと representation となります。 つまり、「すでにあるもの presentation 」を「再び re 」表すことが「表象」といえるでしょうか。 No.2 の方の言葉を借りれば、目の前にある花(すでにあるもの)を見て、言葉で「花」と言う(再び表す)とき、 その「花」という言葉は目の前に咲いている花を「表象」している訳です。 こう考えてみると、表象する方法は言葉でなくてもいいことになります。 たとえば絵で花を描くことも花を表象することになりますし、 物質的には捉えられないもの、たとえば権力なんかも「制度」のうちに表象されていると考えられます。 つまりなにかを表象するためには、それが物質的に目の前にある必要はないのです。 目の前に花がなくても、花を言葉とか絵とかで表象できる訳ですから。 そうするとNo.3 の方が言うように、「イメージ」は「表象」の一側面を最もわかりやすく表していますね。 イメージはほとんどの場合「~について」のイメージであって、 すでにあるものを再び表している=表象していると言えるからです。 そのような表象を文化という大きな枠の中で捉えると、表象文化論になります。 上の例だと「制度」に権力の表象をみることができるし、 普段目にしている建築なんかも、なにかを表象している可能性があると考えられると思います。
お礼
返答が遅くなって申し訳ありません。 レポートやっと終わりました! しんどかった(ToT) >そうするとNo.3 の方が言うように、「イメージ」は「表象」の一側面を最もわかりやすく表していますね。 イメージはほとんどの場合「~について」のイメージであって、 すでにあるものを再び表している=表象していると言えるからです。 ”表象=イメージ”と言うと確かにわかりやすいですよね。 回答ありがとうございました**。
- sowow
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「表象」っていうのをここの回答で知って興味が沸いたのでお邪魔します。 表象とはつまりイメージみたいなものでしょうか。 でも、直感的にはそんなものが脳のなかにそのまま存在するなんて思えませんよね? 理系の方にがんばってもらって表象の正体を解明して下さい。 表象の機能ですが、もうしたのほうに書かれてますね。 表象機能とは『情報の超複雑な組織』ってことじゃないですか? ヒントにもならないかも・・・。 ・・とまあ僕がいま「なんか良い表現ないかなあ」って『コトバの組み合わせ』なんかを考えることができたのが、表象の機能(の一つ?)かもしれません。
お礼
返答が遅くなって申し訳ありません。 レポートやっと終わりました! しんどかった(ToT) >理系の方にがんばってもらって表象の正体を解明して下さい。 すみません(ToT) 正体の解明とまでは行きませんでした。 人間は脳のなかで無意識のうちに物事を表象しているんですよね?だから学問で学ぼうとすると難しいのかなと思いました(理系の勝手な意見です)。 回答ありがとうございました**。
【質問:表象】 こんにちは*** レポートの参考になれば…と思いました。 「ターシャム・オルガヌム」からの抜粋、 略…感覚の体験とは、いわば外的世界における何らかの変化の反映である。 体験された感覚は記憶の中に何らかの痕跡を残す。 それが蓄積すると、感覚の記憶は意識の中で その同質性に従ってグループ化され、関連づけられ、結合され、対比される。 互いに密接に関連しあって体験された感覚は、記憶の中で同じつながりを保ち続ける。そして次第に、体験の記憶の中から【表象】が形成される。 【表象】とは、いわば感覚の記憶のグループである。【表象】が形成される際に、感覚のグループ化は二つの明確な方向を辿る。 最初の方向は“感覚の特徴に応じたもの”である。 黄色の感覚は他の黄色の感覚とつながり、酸っぱい味の感覚は他の酸っぱい味の感覚と関連づけられる。 二番目の方向は“感覚を受けた時間に応じたもの”である。 ある【表象】を形成する一つのグループが、同時に体験された他の感覚を含んでいる時、この感覚のグループの記憶は共通の原因を持つものとされる。 この「共通の原因」は、対象として外的世界に投影される。そして与えられた【表象】は この対象の真の特性の反映であるとみなされる。 そのような記憶のグループが【表象】を構成する。 …略。 *** ***「goo 辞書」からの参考資料*** *** 【表象】 〔哲〕〔(ドイツ) Vorstellung〕感覚の複合体として心に思い浮かべられる外的対象の像。 知覚内容・記憶像など心に生起するもの。 直観的な点で概念や理念の非直観作用と異なる。 心像。 観念。 【表象型】 〔心〕 知的機能、特に記憶に関して、どの感覚が最も強く働くかによって分けた人間の型。 色や形による視覚型、音による聴覚型、身体的運動の感じや触覚による運動型などがある。 【表象主義】 ⇒象徴(しようちよう)主義 【象徴主義】 一九世紀末から二〇世紀初頭にかけて、主としてフランスを初めヨーロッパ諸国に起こった芸術上の思潮。 主観を強調し、外界の写実的描写よりも内面世界を象徴によって表現する立場。 サンボリスム。 シンボリズム。 表象主義。 【文化】は、あなたが 自分で ボタンを押して下さい。 ******* ******* ******* 【表象の機能】 略…心的生活が さらに複雑になってくると、表象の記憶は感覚の記憶と同じ過程を辿る。 それが蓄積すると、表象の記憶 あるいは「表象のイメージ」は非常に多様な線に沿って関連づけられ、つなぎ合わされ、対比され、グループを形成し、ついには、「概念」を発生させる。 …略… 概念の形成は「言葉」の形成につながり、「言語」の発生につながる。
お礼
返答が遅くなって申し訳ありません。 レポートやっと終わりました! しんどかった(ToT) >感覚の体験とは、いわば外的世界における何らかの変化の反映である。 体験された感覚は記憶の中に何らかの痕跡を残す。 それが蓄積すると、感覚の記憶は意識の中で その同質性に従ってグループ化され、関連づけられ、結合され、対比される。 互いに密接に関連しあって体験された感覚は、記憶の中で同じつながりを保ち続ける。そして次第に、体験の記憶の中から【表象】が形成される。 表象というものがどのように形成されていくか理解できました。ありがとうございました**。
お礼
返答が遅くなって申し訳ありません。 レポートやっと終わりました! しんどかった(ToT) >花が咲いている。 あなたはそれを見て「花だな」と思う。 そのとき、あなたの頭の中に浮かんだ「花」という観念は、実際に咲いている花の表象です。 つまり、ものごとは言葉や観念によって、表象されている。 対象を言葉や観念で置き換えることによって、わたしたちはものごとをとらえ、考え、話し、コミュニケーションを行っているのです。表象の機能、とはそういうことです。 大変わかりやすい説明でした。 しかし表象とはかなりおくが深いものなんですね。 私が授業でやったのはたぶん「表象文化論」のさわりの部分だったんだと思います。 とても参考になりました。 ありがとうございました**。