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ケインズ理論における貨幣需要の考え方
- ケインズ理論では、貨幣需要を取引的動機、予備的動機、投機的動機の3つで説明しています。
- 取引的動機と予備的動機は国民所得に依存し、投機的動機は利子率に依存します。
- 投機的動機に基づく貨幣需要は、利子率が低い場合に債券価格が高くなり、債券の購入意欲が減退し、貨幣需要が大きくなるとされています。
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ケインズ理論、あるいは通常のマクロモデルで家計が保有し、取引する資産(あるいは債務)は貨幣(通貨)と債券です。債券のリターンが利子率と呼ばれ、したがってモデルにはただ一種類の「利子率」しか存在しません。債券として割引債を考えてみましょう。割引債とは、債券の額面価格(F円としましょう)と償還時期を特定して発行し、その取引価格(S円としましょう)を市場の決定にまかせる債券のことです。額面Fの1年債が市場価格Sで販売されているとすれば、この新発債を購入した家計は (F-S)/S = r よって F/S = 1+r (*) のリターン(利回り)= 利子率を得ることになる。では債券とは何か、政府が発行する国債、企業が資金調達のために発行する社債・株式等はそれらを購入する家計の目には完全に代替的であると想定されているのでそれらのリターンも互いに相等しくなります。さらには、資金調達する企業の立場からは社債を発行して資金調達するのにも、銀行から借り入れるのも(裁定条件が働いて)同じ利子率rが支配すると仮定されている。銀行のような金融仲介機関はケインズ理論あるいは通常のマクロモデルには明示的には存在しませんが、当座預金等は通貨と完全代替的、したがって(名目)利子率はゼロ、有期性預金は債券と代替的で、したがって債券の利子率と同-つのrが支払われると解釈できるでしょう。 つぎに、貨幣保有の投機的動機について考えてみましょう。家計は資産を通貨(現金あるいは利子率ゼロであるがただちに引き出すことができる当座預金)のかたちで持つか、利子率が正の(つまりゼロでない)債券のかたちで持つか考えなければらない。 (*)を見てください。債券価格Sと利子率rとは、逆方向に動く。rの値が高いということはSの値が低いということであり、Sの値が高いということはrが低い値をとることだ。いま、Sが低い(rが高い)ときは、市場でSがさらに低くなる(キャピタルロスする)よりはSが高くなる(キャピタルゲイン)可能性が大きいので、多くの家計は通貨ではなく債券を保有することを選択するだろう。逆に、Sが高い(rが低い)ときはSがさらに高くなる(キャピタルゲイン)よりはSが低くなる(キャピタルロス)可能性が大きくなるので、多くの人々はキャピタルロスのリスクを恐れて資産を債券ではなく通貨で保有するだろう。以上が貨幣の投機的動機による保有の説明で、この動機による説明では、貨幣需要が利子率の減少関数となる(利子率が高くなると家計の貨幣保有は低くなる)ことがわかる。なお、流動性の罠(Liquidity trap)という現象も貨幣の投機的動機によって説明されるとする。rがある一定値まで下がる(Sが非常に高くなる)と、ほとんどの人が債券はこれ以上高くなることはない(あとは下落するのみだ)と予想するようになり、債券よりも通貨の保有を選好するようになり、利子率がこの値に達することを流動性の罠に陥るという。
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- simotani
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ケインズ経済においてはデフォルトは存在しない前提があります。つまり預金金利と債券の最終利回りは等価と考えられます。つまり2年定期預金と残存2年の社債や国債は同じ最終利回りと評価されます。また定期預金も譲渡性で途中時価で売却可能(で無いと等価と出来ない為)と解釈されます。
お礼
御回答ありがとうございます。勉強になりました。
お礼
とてもわかりやすい御説明ありがとうございます。理解出来ました。