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脳内物質の性質が精神を織り成している?
物質の持つ性質。脳内物質の持つ様々な性質が精神を織り成していると思いませんか? それ以外に精神を説明する方法はあるでしょうか?
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- koosaka
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そういうのを「物理還元主義」と言います。 心的、精神的なものを説明するのに、科学・物理学・脳科学・神経学・コンピューター科学で説明しようというもの。 還元とは、全体があって、それを部分に置き換えて解明しようということです。 部分から全体を論じることを還元とは言いません。 だから、還元しても、分かるのはそのものの部分だけで、全体は解明できません。 現代のアメリカの哲学者・チャーマーズは「意識する心」という著作で、意識を心理的な意味の意識と、現象的な意味の意識に分け、意識を物理的に還元して解明しようとする心理的な意味の意識なら、ある程度解明できるが、すべては解明できないと言い、前者の心理的な意味の意識の問題を「ソフト・プロブレム」、後者を「ハード・プロブレム」といっています。 あなたは「脳内物質の性質が精神を織り成している?」と言っていますが、それこそが「物理還元主義」です! そしてチャーマーズが言うように物理還元主義で、意識とか精神を解明するのは、ある程度はできますが、すべて解明することはできません。 意識とか、精神の問題は科学・物理学の問題ではなく、主として哲学の問題です。 それに、そもそも、人間が意識とか、精神などというものを持っているか、という問題もあります。 いったい、意識とか精神って何でしょうか? 意識と言ったら、それは、何か目の前にあることに気が付いていることです。 目の前にあるものと、それと自分を区別していることです。 そしてその意味の意識でしたら、たいていの動物は意識を持っています。 意識というより、感覚と言った方がいいかもしれません。 そして意識と言ったら、ヘーゲルが「精神現象学」でいうように、感覚の上にある概念です。 概念とは、諸々の事物の上にあって、それを総称する抽象的なものです。 そしてヘーゲルはその概念の頂点にあるものを精神と言っています。 絶対精神、と。 そしてヘーゲルは絶対精神はすべてを包括するが、もっとも「空虚」なものである、と言っていてます。 中身が何もない、と。 このように考えると、意識は感覚であり、精神は概念です、それももっとも普遍的で、最高の概念です。 そして現代のアメリカのネオ・プラグマティズムの哲学者たち、ローティーなどは、「哲学と自然の鏡」というポスト・モダンとネオ・プラグマティズムのモニメンタルな著作で、人間が意識とか精神を持っていることを否定しています。 また、日本の哲学者・永井均は「なぜ意識が実在しないか」という著作で、意識が実在しないのは自明であり、言うまでもない、と言っています。