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伊勢物語のかきつばたの話しについて
- 伊勢物語のかきつばたの話しについて
- 伊勢物語に出てくる青年たちが旅をする途中で見た「かきつばた」とは何か。彼らの行動の理由や恋についての思いについて考察してみる。
- 伊勢物語のかきつばたの話しでは、青年たちの旅の中での出来事や彼らの心情が描かれています。彼らの行動や感情について理解するためには、物語性や文脈を考慮する必要があります。
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『伊勢物語』第9段、東下りのエピソードですね。 「男」がなぜ東国へ旅に出たのか、その理由は、「京にありわびて」(第7段)、「京や住み憂かりけむ」(第8段)、「身をえうなきものに思ひなして」(第9段)としか書かれていません。 では、なぜ、都に居づらくなり、「身をえうなきものに思ひなし」たのかというと、第3~6段のエピソードが前提にあるわけです。 第3~6段のエピソードは、ご承知の通り、在原業平がモデルとされる「男」と、天皇の后として入内する前の「二条の后」=藤原高子の恋のお話です。高子は単に身分が高い女性というだけでなく、天皇の后になることが内定していました。つまり、手を出してはならない、禁断の恋です。 第5段「関守」では、男は彼女の許に何度か通っていたとありますし、第6段「芥川」では、男は彼女を家から連れ出しています。禁断の恋でしたが、片思いではなく両思いだったと言えます。 ですが、高子の親兄弟は彼女を帝の后にするつもりですから、二人の仲を引き裂くわけです(第4~6段)。 >都に残してきた恋人を思って切ない(やぶれたのだから既に恋人じゃないのでは?) 恋に破れて、とは言っても、男は彼女にフラれたわけではなく、女の親兄弟によって無理矢理引き裂かれた、と考えればよいでしょう。 「恋人」は「恋しい相手」の意味ですから、現代語でも、両思いでも片思いでも使います。(ただし現代語としては、両思いの場合に使うことが多いでしょう) 両思いの恋人であっても、周囲公認の関係とか、物理的に交際が可能な関係ばかりとは限りません。思い合っていても、訳あって会うことすら叶わない関係も存在します。 ここでは、もはや現実的な交際(逢瀬)は不可能、かといってただ男の一方的な片思いというわけでもない、訳あって引き裂かれた「愛しい人」、という感じで理解すれば良いのでは。 「そのことについて周りからとやかく言われるのが嫌なのと都生活に疲れていた」というのは、こうした状況からの推測できる解釈です。 高子の入内は、彼女の一族の命運を左右する政略結婚であり、彼女と「男」との恋愛沙汰は大きなスキャンダルでした。『伊勢物語』にも描かれてしまうくらいですから、二人の関係が完全に身内だけの秘密で他人に知られなかったということはないでしょう。 「男」が敵に回した相手は、天皇の姻戚であり、政界の中枢にいる一族です。「男」も貴族の端くれで、宮廷の一員です。このスキャンダルが知れたら、当然、公私どちらでも周囲の目が厳しくなるでしょう。肩身も狭くなるでしょう。 これだけのことがあれば、都にいるのは辛くなって、事情を知る人が誰も居ないような遠い場所に行きたくなるよね……というわけです。 彼女との関係で言えば、もう二度と会えないであろう彼女がいる都に住み続けるのは、余計に辛い……という理由も想像できます。いっそ遠く離れて、彼女のことを忘れようと思ったかもしれません。 >途中で出会った知り合いの僧にその人への手紙を託したり(別れたのならそう言う行為は相手にとって迷惑では?さらに噂にされるのが嫌で都を出てきたのに、そういうことをすると意味ないのでは?) 彼女が迷惑するかどうかは、わかりません。確かに、手紙のことが周囲に知れたら、またスキャンダルになりますから、そういう意味では「迷惑」をかけるかもしれません。ただ、もし、彼女も男と別れさせられたのが不本意で、まだ男のことを思っているのであれば、内心では嬉しいかもしれません。 男が「修行者」に言づてを依頼したのは、その修行者を信頼してのことでしょう。個人的に言づてを頼むのですし、修行者も「男」の事情は多少なりとも知っているでしょう。彼女に手紙を渡すとしても、なるべく表立たない形で、でしょう。 そもそも、「相手の迷惑」というのならば、入内が内定している彼女の許に通うこと自体、してはならなかったのです。彼女の立場を考えれば、最初からあきらめるべきだった。 でも、禁断の恋とはわかっていても、あきらめられない。 ここで描かれる恋は、そういう恋なのです。 「男」の行動が理解できるかどうかは、個人的な恋愛観の違いもあるかと思います。 どういういきさつにせよ、もう別れたのに未練たっぷりで男らしくない!と思うかもしれませんが、悲恋だと考えれば、理解できなくはないと思います。 ざっくり言えば、二人の恋愛は身分違い+政界を巻き込むスキャンダル。彼女の親兄弟は、彼女をいつの間にか引っ越しさせたり、彼女の住まいに見張りを付けたり、男が彼女を連れ出しても奪い返したりして、二人の仲を引き裂いた。男は別れの辛さと肩身の狭さで都を離れたけれども、彼女のことが忘れられない。かといって、正攻法で彼女に思いを伝えることもできない(現代で言えば、彼女はスマホもパソコンも取り上げられていて、家の電話や郵便は親の検閲で門前払い状態)中、旅先で偶然、知り合いに出会った。その知り合いなら彼女に会えるだろうと、彼女へのラブレターを託した。……という感じですかね。
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- fujic-1990
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1番回答者、補足です。 「失恋」というのは、「自分が恋している相手から、自分を恋しいと思ってもらえない」のがハッキリすることが「失恋」です。 「相手を恋しいと思う、自分の気持ち(恋心)」を失ったことではありませんので、失恋しても、相手が自分の恋人であることは変わりません。
お礼
確かに失恋しても相手への未練がある、なんてのはよく聞きますよね。 言葉の解釈も訂正してくださってありがとうございます。
- fujic-1990
- ベストアンサー率55% (4505/8062)
「恋人」というのは、今も昔も「恋しく思う相手」のことです。 > 彼は失恋したんですよね? 「恋人」という言葉には、「相思相愛」、最近の言葉で「両思い」、の意味は含まれていませんので、昔の歌謡曲の文句(題名?)にあった「別れても好きな人」は立派に「恋人」です。もちろん、「好きだ」と思っている側の人にとっての「恋人」です。 「相思相愛」の関係を示したければ、「恋人同士」という言葉がありますので、そちらを使っていたでしょうね。 余談ですが、愛と恋の違いの説明に、「愛は相手のことを考える」、「恋は自分のことしか考えない」というのがあったと思います。 恋しいから手紙を書く。相手がそれを受け取ってどう感じるかは考えない。それが「恋」なのでしょう。
お礼
回答ありがとうございます。お礼が遅くなってしまいすみません。 なるほど、恋人「同士」ですか。確かにそうですよね。 愛と恋の違い、とても興味深いです。 確か、恋は独りでも出来るけど、愛は互いがないと成り立たない、みたいな言葉をどこかで聞いたことがあります。どこで聞いたかは忘れてしまいましたが。
お礼
回答ありがとうございます。お礼が遅くなってすみません。 伊勢物語は今回初めて読んで、それも俵万智さんの現代語訳版でした。 本当に恥ずかしいですが、最初読んだときはこの話が一人の男の話だと気付かず、それどころか、これに出てくる人みんな似たようなタイプの女性を好きになるなあなんて考えていました(^^;) こういう読解力のなさと無知であまり内容が理解できなかったのですが、その後、漫画版や原文の方を読んだりして、これが一人の男の話しであり、彼の言う恋人との関係や展開がそう単純じゃないことに気づきました。 そして、この質問に対しての回答も見て、ようやく理解できたと思います。 正直、主人公の男の恋模様はあまり好きなものではありませんが(価値観的に)、数多く登場する歌がよくて、今まで詩や和歌には興味がありませんでしたが、今回伊勢物語を読んでみてもっといろんな歌を知りたいと思ったところです。