難しい問題です。ある辞書では次のような解説をしています。
http://ejje.weblio.jp/content/There
>In formal English, the verb agrees with the semantic subject: “there is a tree”, “there are some trees”, “there seems to be a mistake”, “there seem to be some mistakes”, and so on. This is because the "there [form of be]" construction originally used, and could still be said to use, "there" as simply an adverb modifying "to be". However, the syntax is archaic enough that "there" is rarely recognized as an adverb. In colloquial usage, therefore, the verb is often found in the third-person singular form, even when the semantic subject is plural — “there’s some trees”, “there seems to be some mistakes” — but this is often considered incorrect.
「フォーマルな英語では、動詞は意味上の主語に従う。"there is a tree", "there some trees", "there seems to be a mistake", "there seems to be some mistakes"などである。こうなる理由は、there is構文のthereがもともとは"to be"から派生した単なる副詞で、今もそうだと考え得るからである。しかしながら、この構文でthereを副詞とみるのは、もう古臭いものである。そのため口語用法では、意味上の主語が複数であっても、三単現で用いる例がしばしば見られる。"there's some trees", "there seems to be some mistakes"などあるが、こうした用法はしばしば誤りとみなされる。」
こういうのは、There seems to be [名詞複数]を誤りとする論でよく見られます。一方、解説抜きですが、こんな辞書の記述もあります。
http://kotobank.jp/ejword/seem?dic=pej4&oid=SPEJ06412200
>5 [there seems (to be) ...](存在するように)思われる, 見える
>There seems (to be) no objection to this proposal. [=It seems that there is no objection to this proposal. ]
>この提案には異議がなさそうだ
>There doesn't seem (to be) any doubt about it.
それには疑問の余地はないようだ.
用例には単数の例しか記載されていませんが(おそらく議論が多いせい)、there seemを見出しとせずに、三単現でthere seemsとしています。この立場はseemという動詞の特殊性を考慮したものと思われます(be動詞と直接には交換できない、などだと思われる)。
さらに、ちょっと記載例が示せないのですが、to不定詞であるために単数だという論も聞いています。to不定詞を名詞句して使う場合は単数です。上記、特に最初のものは、seem(s) to be≒beとしています(例文の示し方がそうなっている)。そうではなく、seem(s) [名詞句]とみるなら、to不定詞では単数で、三単現になるというものです。
議論しだすと、どれも決定打を欠く面があり、泥沼になりがちです。自分でどうするか選ぶしかないわけですが、一番文句が出なさそうなのは、seem(s) to beでもbe動詞と同じく、意味上の主語の単数・複数に動詞を対応させる、といったことになるかと思います(それでも文句を言う人は言うでしょうけれど)。逆に他人が言った場合は、三単現か否かはあまり気にしないという配慮も必要になってくるように思います。
お礼
ご回答ありがとうございます。 詳細に解説くださり、とても勉強になりました。 >この立場はseemという動詞の特殊性を考慮したものと思われます(be動詞と直接には交換できない、などだと思われる)。 このように考える視点があることを知り、意味上の主語が複数形でもseems(三単現)が使われるということが、なんとなくわかるような気も致しました。 挙げていただいたページの例も、とても参考になりました。 (no objectionとany doubtは、単数なのでseemsで問題ない例という理解でよろしいのでしょうか) ありがとうございました。