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線形非同次微分方程式に関して
バネ定数kのバネを水平な床の上に置き、片方を固定し、もう片方に質量mの物体をつけて静止して置き、この位置をx=0とする。これが初期条件です。 ここで、静止していたこの物体にt=0から、ω=√m/k(値は√内に収まっています)で、周期的な力Fsinωtをx方向に加えると、次第に物体が振動を始めた。床の摩擦や空気抵抗がなく、t=0でx=0、速度=0である。 このときの時刻tにおける物体の位置x(t)を求めろという問題です。 それほど複雑な問題でもないらしいのですが、特解や重ね合わせ等の考え方がよく分からず、どうすれば良いのか見当がつきません。 どなたか分かる方がいらっしゃいましたらお願いします。
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強制振動の問題ですね。 バネ定数k m │--WWW-● →右側をxの正方向にとる  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↑ ̄ ̄ ̄ ̄ ここを自然長x=0とする 既にご承知の通り運動方程式は m(d^2 x/(dt)^2) = -kx + F(t) (1) となります。F(t)は強制的に外部から加える力で、上式ではF(t)と一般化して表記しています。あとでF sinωtに直します。 さてご質問の趣旨ですが、 (A)微分方程式を、特解と斉次解を用いて重ね合わせで解く方法がそもそも分からない (B)特解と斉次解を用いて重ね合わせで微分方程式を解く方法は何となく分かるが、特解をうまく見つけられない のいずれでしょうか。 (B)については以下に順に説明します。(A)についてはこの回答の最後に補足で付けておきましたので、一読した上で戻ってきてください。 まず問題の方程式(1)の斉次解ですが、 m(d^2 x/(dt)^2) + kx = 0 x = A sinωt + B cosωt (3) と解かれます。A, Bは定数で初期条件から決まります。また、ω=√(k/m)です。 問題は特解です。特解をξとすると m(d^2 ξ/dt^2) = -kξ+ F sinωt (4) となるわけですが、この問題では外部から加える力の周期が、系の固有振動の角周波数√(k/m)と一致しているためにξの具体的な形を仮定できず行き詰まったのだと思います。 一般にy(x)についての方程式 a y'' + b y' + c = f(x) (5) において、f(x)がαexp(βx)の形である場合には次のように解くことができます。(α、βは定数、複素数のこともある) βが特性方程式aλ^2 + bλ+ c =0の2根のいずれとも一致しない場合は簡単なのですが、βがどちらかの根と一致すると厄介です。この場合はz(x)exp(βx)の形の特解が存在することが知られています。 さて(4)に戻ってこれを適用してみます。特解ξの形を ξ= z(t) cosωt (6) と仮定して(4)に放り込み、z(t)についての方程式に直してみます。 代入して整理すると m[(d^2z/dt^2)(cosωt) - 2ω(dz/dt)(sinωt)] = F sin ωt (7) となると思います。 なんとなく三角関数の合成に似ています。そこでz=Ctの形の解を仮定して解いてみます。Cは定数です。 すると -2ωmC sinωt=F sinωt (8) となって、C = -F/2√(mk)と求められます。 これで特解ξ= -(Ft cosωt)/{2√(mk)}が見つかりました。このξの表式ではcosωtの前にtがかかっていますので、時間とともに振幅がどんどん増大して発散してしまうことが分かると思います。つまり「共振」がおこっているわけです。 これで解けたも同然ですが、最後に斉次解と足し合わせて一般解の形にした上で初期条件を検討してみます。 x = A sinωt + B cosωt - (Ft cosωt)/{2√(mk)} (9) t=0でx=0ですので、B=0とすぐに分かります。 またt=0で速度も0ですので、dx/dtにt=0を代入して ωA - F/{2√(mk)} = 0 A = F/(2k) (10) を得ます。 よって答えは x = (F sinωt/2k)- (Ft cosωt)/√(mk) (11) ということになるかと思います。 途中計算ミスをしているかも知れませんので、crimsonairさんでも確認しながら読んで頂ければ幸いです。 また http://www.mns.kyutech.ac.jp/~okamoto/education/physicsIA/physicsIA.html にある「単振動の一般解と特殊解」のpdfファイルも参考になると思います。 *特解はとにかく何か一つ見つけてくればよいので、全ての形が尽くせているか検討する必要はない点に留意ください。適当に解きやすい形を仮定して、それで見つかれば十分なわけです。 【補足】線形微分方程式の解法 y(x)についての微分方程式 a y'' + b y' + c = f(x) (A1) があったとします。f(x)はxの関数とします。ここでは話を簡単にするためa, b, cは定数とします。 この方程式が a y'' + b y' + c = 0 (A2) すなわち右辺が常に0なら解くことはそう難しくありません。この微分方程式に対応した代数方程式 aλ^2 + bλ+ c = 0 (A3) の2根をα、βとして、解は C1 exp(αx) + C2 exp(βx) (A4) であることが知られています。これらの解を微分方程式(A1)の斉次解などと呼びます。なおα=βで重根の時は別の取扱いが必要ですがここでは省きます。 (A1)を解くのが難しいのは右辺にf(x)が入っているからですが、いま(A1)を満たす関数η(x)を何か一つうまいことを見つけてきたとします。このようなηのことを特解などと呼びます。また特解は一意ではありません。 当然 aη'' + bη' + c = f(x) (A5) ですが、これを(A2)と辺々足しますと a(y+η)'' + b(y+η)' + c = f(x) (A6) となります。解きやすい方程式の解(A4)と、見つけてきた特解を足しあわせればそれで全ての解が尽くせることが分かります。 より詳しく知りたい場合は微分方程式の教科書を読んでみて下さい。必ず書いてあります。
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- KENZOU
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振動関係の大抵のテキスト(例:神谷/北門共著「振動・波動演習」サイエンス社、等)に載っていると思いますが、とりあえず参考URLのText01.pdf、Text02.pdfあたりをご覧になられてはいかがでしょうか。
お礼
情報の提供有難うございます。教えていただいたURLでは、私の持っている教科書に載っていない部分が詳しく書かれており非常に助かりました。
お礼
とても丁寧な回答有難うございます。 >この問題では外部から加える力の周期が、系の固有振動の角周波数√(k/m)と一致しているためにξの具体的な形を仮定できず行き詰まったのだと思います。 その通りですw。私が疑問に思ったところや、それ以外の箇所に関しても、教科書等には書かれない丁寧な解説がいただけとても助かりました。すばらしく分かり易かったです。早速これを参考に、改めて問題を解かせていただきます。