- ベストアンサー
敬意の示す先
日本語を勉強中の中国人です。相手と第3者(仮に「田中」とさせていただく)の話をする時のことについてお伺いします。 田中さんからは、~たいとの意向を伺っております。 お伺いしたいのですが、この言葉のなかの「伺っております」という部分は田中さんに対して敬意を示しているのでしょうか。聞き手に対して敬意を示しているのでしょうか。それとも両方でしょうか。敬語関係は三人以上になると、混乱です。 また、質問文に不自然な表現がありましたら、それも教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
- みんなの回答 (7)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
結論から申し上げると「両方」です。 1. ご存知のように、敬語というのは、「敬意を示すべき人」を対して使う表現です。 (ア)田中さんからは、早く会いたいとの意向を聞いている。 この文は、田中さんに対しても、聞き手(たとえば同僚)に対しても特に敬意は示していません。 「田中さんは敬意を示すべき人(顧客など)である」とsobatya_cnさんが判断した場合には、 (イ)田中さんからは、早く会いたいとの意向を伺っている。 のように表現します。 大事なのは、「聞く」というのは、敬意を示すべき人である田中さんに向かうsobatya_cnさんの行為である、という点です。 「聞く」という行為の対象が「田中さんの意向」なので、それを聞くというsobatya_cnさんの行為は、「田中さんに向かっている」と言うことができます。 このような場合、「聞く」の替わりに「伺う」という謙譲語1を使い、自分の行為をへりくだって表現します。 しかし、この文の場合、田中さんに対しては敬意を示していますが、聞き手(たとえば同僚・友人など)に対して敬意は示していません。 「この聞き手も敬意を示すべき人(社長など)である」とsobatya_cnさんが判断した場合には、 (ウ)田中さんからは、早く会いたいとの意向を伺っております。 のように表現します。 「おる」は「いる」の謙譲語2です。 謙譲語2は、「聞き手」に対して丁重に言うための言葉です。 この例文の「おる」は補助動詞ですが、誰かに向かう行為を表しているわけではありません。 これが謙譲語1との決定的な違いです。 「丁寧語」という種類の敬語を使って、「聞き手」に対して丁重な表現をすることもできます。 (エ)田中さんからは、早く会いたいとの意向を伺っています。 のように言っても、聞き手に対しては一応の敬意を示していることになります。 ただ、謙譲語2のほうが敬意の度合いとしては上位なので、使える場合には使うほうが好ましいわけです。 2. 謙譲語1には、「お(ご)~する」という型も良く使われます。 (A)わたしが田中さんの荷物をお持ちする。(聞き手に対しては敬意を示さない場合) (B)わたしが田中さんの荷物をお持ちします。(聞き手に対して一応の敬意を示したい場合) (C)わたしが田中さんの荷物をお持ちいたします。(聞き手に対して正式に敬意を示したい場合) すべての文で、田中さんに対する敬意は正式に示されています。 (C)の「いたす(いたします)」は、「する(します)」の謙譲語2です。 「お~いたす」=「お~する」なので、謙譲語1の型の中に謙譲語2が混ざった状態の表現です。 そのため、「お~いたす」は「謙譲語1 兼 謙譲語2」と分類することもできます。 つまり、「お餅いたします」で、「持つ」という行為の向かう先である田中さんに対しても、聞き手に対しても敬意を示していることになるわけです。 文化審議会答申<敬語の指針>20ページ。 http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/bunkasingi/pdf/keigo_tousin.pdf
その他の回答 (6)
- hakobulu
- ベストアンサー率46% (1655/3578)
#5です。 たびたび申し訳ありません。 読み返していて不備に気づきましたので、再度訂正させていただきます。 「この聞き手も敬意を示すべき人(社長など)である」とsobatya_cnさんが判断した場合には、 (ウ)田中さんからは、早く会いたいとの意向を伺っております。 のように表現します。 と書きましたが、 (ウ’)田中さんからは、早くお会いしたいとの意向を伺っております。 と訂正します。 「会う」というのは「社長に向かう田中さんの行為」なので、「田中さんは謙譲語1を使って社長に敬意を示した」という形にする必要があるからです。 たとえば、田中さんが会長で、sobatya_cnさんに伝える際、実際には「会いたい」と言ったとしても、sobatya_cnさんが社長に伝える場合には、「お会いしたい」のように翻訳して伝えるのが望ましい、ということです。 同様に、 (エ’)田中さんからは、早くお会いしたいとの意向を伺っています。 と訂正します。 (ア)(イ)に関しては変更ありません。 日本語って、ほんと面倒くさいですね。
お礼
たびたびありがとうございます。とても重要な内容を補足してくださいました。いい勉強になりました。何度もご丁寧に教えていただきありがとうございました。大変有意義な頭の体操の機会となりました。
- hakobulu
- ベストアンサー率46% (1655/3578)
#6です。 すみません、訂正です。 × つまり、「お餅いたします」で、「持つ」という行為の向かう先である田中さんに対しても、 ○ つまり、「お持ちいたします」で、「持つ」という行為の向かう先である田中さんに対しても、
お礼
再びありがとうございます。了解いたしました。そのままでもよく理解できたので、お気になさらないでください。
- kine-ore
- ベストアンサー率54% (808/1481)
この場合は次の3種の組み合わせです。 田中さんからは、~たいとの意向を─伺って─おり─ます。 (1) (2) (3) (1)田中さんへの敬意…謙譲語A(話題の世界) (2)聞き手への敬意…謙譲語B(会話の世界) (3)話者自身の態度…丁寧語(品格保持)
お礼
早速のご回答ありがとうございます。とても参考になりました。
>田中さんからは、~たいとの意向を伺っております。 「伺う」は「聞く」の謙譲語ですから、少なくともこれを言っている人は自分がへりくだっています。しかし、田中さんと聞き手のどちらをより敬うべきかで変わってきます。それは後で説明します。 >「伺っております」という部分は田中さんに対して敬意を示しているのでしょうか。 その通りです。話し手がへりくだることによって、敬意を示しています。 >聞き手に対して敬意を示しているのでしょうか。 お示しの文だけ見ると、聞き手への敬語にはなっていません。お示しの例文は丁寧ですが、聞き手への尊敬語、聞き手に対する話し手の謙譲語はありません。 >それとも両方でしょうか。 いいえ、話し手が田中さんに対してだけ、敬意を示しています。そのため、田中さんと聞き手について、話し手がどちらをより敬っているかははっきりしません。 話し手が、お示しの文以外で相手にも謙譲語を使えば、相手にも敬意を表せますが、それでも田中さんと聞き手のどちらにより敬意を表しているかははっきりしません。実はそれでいいことも多いのです。 話し手にとって田中さんも聞き手も同じく敬うなら、同じように敬語を使えばよいのです。例えば、話し手と聞き手と田中さんが対等な関係で、互いに丁寧に話したいなら、お示しの例文で大丈夫です。 一方、例えば田中さんが話し手の上司(部長等)で、聞き手がお客さんだとします。その場合、田中さん=自分の上司より、聞き手=お客さんを敬う表現を用いなければなりません。自分の上司は自分に近い立場であり、上司(田中さん)にとっても聞き手はお客さんですから、上司(田中さん)も聞き手に敬意を表さなければならないのです。田中さんに代わって、話し手がそれを敬語で表す必要があります。 そうするなら、聞き手にだけ尊敬語を用い、話し手と田中さんは謙譲語を使います。たとえ田中さんがその場にいても、そうします(しかし日本人でも間違うことがあるほど、ちょっとややこしい)。例えば以下のように言います。 「田中から、~させて頂きたいと聞いております。」 「田中が、~させて頂きたいと申しております。」 「申す」は今は丁寧語としていつでも使っていいのですが、上記の場合だと謙譲語となります。「申しております」の主語は田中さんなので、田中さんも相手に対してへりくだる表現になります。「させて頂きたい」も田中さんから聞き手への謙譲表現です。 「意向」という言葉は特に尊敬語ではないのですが、割と硬い表現で尊敬語の感じがすることがあるので、上記では使わないようにしてみました。 それでも「~たいとの意向」は使えます。でも「~なさりたいとの意向」は使えません。田中さんに対しての尊敬語になってしまうからです。 「ご意向」も使えません。「ご」は丁寧語なのですが、その「意向」は田中さんのものなので、「田中(さん)のご意向」ということになり、聞き手より田中さんを敬ってしまうからです。しかし、聞き手の意向について話すなら、意向は相手のものですから、それを尊重して「ご意向」にすべきです。この辺り、迷いやすいところです。迷ったら「ご意向」と言わないほうが安全でしょう。 逆に、田中さんがお客さんで、聞き手が自分の上司だと、今度は田中さんに対して尊敬語を用います(もちろん、上司に対しても尊敬語を使います)。それをはっきりさせるには謙譲語の「伺う」を変えて、相手に対する尊敬語を用いればればいいです。例えば以下のようにもできます。なお、「田中さん」を「田中様」に変えると、より敬うことになります(「田中殿」は使わない)。 「田中さんは、~なさりたいとのご意向を示されてお出でです。」 「田中さんは、~なさりたいと仰っていらっしゃいます。」 (※「仰っておられます」も可能ですが、あまり敬語らしくないと思う人がときどきいます。) 「田中さんからは、~たいとの(ご)意向を伺っております。」 (※話し手が田中さんに対して謙譲語を使うだけでもいいので、お示しの例文そのままでも大丈夫です。「ご意向」も尊敬を表すので使えます。) P.S. 敬語はあまり使い過ぎてもいけなかったりして、難しいと思います。自分に対しては謙譲語、目上に対しては尊敬語という基本だけでなく、自分との関係性がより遠い人に対しても尊敬語を使うのが基本です(例えば、同じ会社の人より、他の会社の人やお客さんは遠い)。三人以上になった場合は、自分との関係が近いか遠いかを目安にするといいでしょう。 しかし遠過ぎて全く無関係になると、敬語は使いません。例えば私たちがニュースを見て、「オバマ大統領は寿司が美味しかったと言った」と知り合いに言うのはよくて、「仰った」とする必要はありません。もちろん、オバマ大統領が来店して寿司店の人からすれば、オバマ大統領はお客さんなので「仰った」と言わなければなりませんが、例外的なことですね。 ややこしいですが、敬語表現に接しているうちに慣れます。現に質問者様は、いつも丁寧で礼儀正しい質問文を書いていらっしゃいます。今回も日本語におかしなところはありません。
お礼
ご丁寧に教えていただきありがとうございます。いろいろなパターンを解説してくださり、とても助かりました。大変よい勉強となりました。がんばります。
- kamobedanjoh
- ベストアンサー率27% (1021/3686)
この言葉のなかの「伺って」という部分は田中さんに対しての敬意を表しています。 「血中さんからご意向をお聞き致しました」というのに等しい表現です。 「田中さんの、~たいとの意向」は、田中さんが表明されたご意志のことですから「伺って」という丁寧語は、田中さんに対して向けられています。また、末尾の「おります」は、自分自身への謙り(へりくだり、卑下)になって居ます。 なお「田中さんの意向」は失礼に当たりますので「ご意向」と記すべきです。 また「敬意を示す」という表現は、意味は通じますが、殆ど用いられません。 敬意は通常「表(ひょう)する、もしくは表(あらわ)す」のように用いられます。
お礼
ご丁寧に回答していただきありがとうございます。大変参考になりました。質問文の添削にも感謝いたします。今後気をつけます。
- OKAT
- ベストアンサー率38% (247/639)
「伺う」の意味は「聞く」か「訪れる」かの謙譲語です。(この場合は「聞く」) (最近ややこしくなったのは、「謙譲語I」と「謙譲語II」という言葉が使われ出したことです。もう少し はっきり分かる名称を与えて欲しいですね。「伺う」は「受け手尊敬」の謙譲語Iに当たります。) ご質問の、「伺っております」は(第三者の)田中さんへの敬意を表すための敬語(「伺う」という動作の受け手である田中さんへの敬意、すなわち「受け手尊敬」)と見られます。(両方はあり得ません) (ただし、「ます」の部分は「丁寧語」であり、「聞き手尊敬」の意味合いがあります。すなわち話し相手に対する敬意がふくまれているわけです) >敬語関係は三人以上になると、混乱です(混乱します)。 同感ですね。説明していて困ることもあります。「伺っております」の「おり」にはわざと触れませんでした。三人がどいう関係かで、敬語も違ってきます。田中さんがお客様で、質問者と話し相手とが会社の同僚である場合、話し相手が上役である場合、と変われば敬語も変わってくるでしょう。 >質問文に不自然な表現がありましたら、それも教えていただければ幸いです。 (仮に「田中」とさせていただく)→(仮に「田中」とします)でいいでしょう。 「伺う」についての質問に「お伺いしたいのですが、」は使わないようにしてください。混乱を呼びます。(笑)
お礼
ご親切に教えていただきありがとうございます。謙譲語Iと謙譲語IIを知るよいきっかけとなりました。いろいろとても参考になりました。
お礼
ご丁寧に回答していただきありがとうございます。いろいろとても参考になりました。大変よい勉強となりました。