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「憎さげに」?
三島由紀夫の小説の中に 》江上隆一は憎さげに、日記を読んでいる私をじっと睨みつけている… なる表現が目に留まりました。 この「憎さげ」という言葉は一般的なのですか?それとも東京方言? その調子(?)で「嬉しさげに」「苦しさげに」「重さげに」もアリですか?
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すみません, 「憎しげ」ではなく, 「憎さげなり」形容動詞 「憎さげ」形容動詞語幹 「憎さげに」連用形 でした。
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- TANUHACHI
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英語に造詣の深いwind-sky-wind氏からの適切な回答が寄せられていますので野暮は申しません。 創作者としての三島由紀夫は「言葉の触感」にも拘ったことでも知られている人物です。 現代仮名遣いの中に忍ばせるように古語を潜り込ませることで、登場人物の過ごしてきた時間軸の流れや育ってきた生活背景といった社会的階層そして地域的特性などの「背景」を醸し出すことでの効果性を作品中に織り込んでいるともいえます。 「憎さげに………」とあるのなら、「私からすれば、江上が私の様子を憎らしげにじっと睨みつけているかのように見える」とも読めれば、逆にそう感じてはいないのかもしれないとも読むことも可能で、そうした読み方は読者に任されているともいえますね。 漢字で表すなら、「~げに」は「~気に」であって、「~のように感じられる」ほどの意味で現在でも若者言葉にも見られます、「嬉しそうに」「苦しそうに」「重たそうに」等の様な形で。
お礼
》 現代仮名遣いの中に忍ばせるように古語を潜り込ませることで、… 引用したのは1965年に中央公論社より刊行された作品で、私が目にしたのは1972年発行の講談社版です。内容が「現代仮名遣い」であることが、私に取っては想定外でした。なぜなら、三島作品はすべて旧假名遣ひと思ひ込んでゐたからです。 旧假名だった作品を講談社が“新仮名”に改めたのかどうかは不明ですが、三島自身が“新仮名”で発表していたのなら、仰るように「現代仮名遣いの中に忍ばせるように古語を潜り込ませること」にしていたのかも。 コメント、誠にありがとうございました。
- wind-sky-wind
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文語(古語)でしょうね。 現代語では「形容詞の語幹+げ」ですので, 憎げ うれしげ となりますが, 古語では「憎しげなり」「憐れげなり」のような表現がありました。 「憎しげ」で形容動詞語幹で, 「憎しげに」連用形です。
三島特有の造語というか転用でしょう 「憎々しげに」「憎げに」というのではなく、あたかもそういうふうに受け取れるような様子で、というニアンスをつたえたかったのでしょう。 「げ」には、あたかもそうであるがごとく、という意味があります。 「嫌さげに」「悪さげに」と使うこともありますからその延長線上としたのでしょう。 >その調子(?)で「嬉しさげに」「苦しさげに」「重さげに」もアリですか? ナシでしょう。
お礼
コメント、ありがとうございました。
お礼
古語辞典をちょっと調べてみたのですが、「憎さげなり」が形容動詞として載ってました。 形容詞「憎し」の語幹+接尾語「-さ」→名詞化 名詞「憎さ」+(「…の様子だ」「…の風だ」の意味の)接尾語「-げ(氣)」→「憎さげ」 ということらしい、です。 この度は誠にありがとうございました。