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停止条件と解除条件のさかのぼる具体例
停止条件と解除条件の理屈はわかります。しかし、さかのぼるという具体例がよく分からなかったので教えて下さい。 民127条3項 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。 停止条件の場合は成就した(生きて生まれる)以前に胎児に権利能力があったものとみなし、不法行為に基づく損害賠償請求権、相続、遺贈について認める例がテキストなどに書かれています。これについてはイメージできます。 解除条件の場合、さかのぼるという具体例が思いつきません。さかのぼって効力を失わせる意思を表示するというのは、錯誤による無効を意思表示するといったことでしょうか。分かりやすい具体例を教えてください。よろしくお願いします。
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- fujic-1990
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解除条件そのものがおわかりなら、停止条件とパラレルに考えれば理解できると思うのですが。 解除条件というのは、停止条件とは逆に、その条件が成就するまでは「有効」とされていて、条件が成就すると無効になってしまうという効果を持つ、条件のことです。 例えば、AがBに「司法試験に合格したらこの家をあげる」と言ったなら、これは停止条件です。 合格するまでは、その家はBのものではありません。合格した瞬間に所有権が移動します。 逆に、「30歳までに司法試験に合格できないことになったら、学資援助はやめる」というのが解除条件です。 (この場合の援助とは贈与で、貸し付けではないとします) 30歳前の最終司法試験不合格が確定するまで、BはAから学資援助を受けられるわけです。 以上がそれぞれの条件の基本スタイル。 (2) 遡及効をつけてみます。 ★停止条件:「司法試験に合格したら、今日にさかのぼってこの家をあげる」 合格すると、本日この時に所有権移転の効果が遡及しますので、例えばAがBから家賃を取っていたとしたら、今日の分から合格の日までの家賃はBに返還されるされることになります。 逆に、固定資産税などをAが払っていればBはAに返還しなければならないでしょう。 遡及効のついた停止条件が成就したことによって、具体的に何をするべきかは、状況・契約次第です。 ★解除条件:「30歳までに司法試験に合格できないことになったら、今日にさかのぼって学資援助はやめる」 30歳前に合格できないことが確定すると、それまで学資援助として受け取っていた金員をBはAに返還しなければなりません。 まあ、利息が付くのがふつうだと思いますが、AとBの合意次第でつけなくてもいいですし、つけるときの利率も合意によります。 わかりやすく言うと、「錯誤」とは、真筆だと信じていたのに偽筆だったというような、予想もしていなかった間違いがあった場合のことです。 真筆だったらこう、偽筆だったらそう、と、どっちの場合も想定して対策を立てておくのが「条件」ですので、錯誤とは相容れないものです。 別な物どころか、両立しえないものですので、条件の理解に「錯誤」という言葉が出てくる余地はありません。
お礼
「さかのぼらせる意思を表示したとき」という点に引っかかって、錯誤の状況と結びつけて考えてしまいました。効果は自動的にはさかのぼらないのですよね。 示していただいた例えで絶対に忘れないと思います。分かりやすい解説ありがとうございました。