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憎っくきは文語表現の促音便形という説?
- 「憎っくき」は、文語表現の促音便形であり、現代語の「憎い」や「憎き」よりもさらに強い感情を表現する言葉です。
- 「憎っくき」は「憎き」の促音便形であり、促音と音便と活用形が合体しています。
- 振り仮名は、読者に読んでほしいように文字に付け加えるものであり、屁理屈は通用しません。
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>広義などないという結論にするのが賢明であると思うのですが ご指摘の通りですね。 この場合は、いわゆるタ行などの五段活用動詞の連用形が「つまる音」となる意味での促音便とは違います。 文語形容詞「憎(にく)し」の連体形活用「憎き/憎かる」の内の「憎き」に対し、臨時に「つめる音」を添加した、いわゆる<促音挿入形>にすることで、その当時なりの「くだけた口調」や「メリハリを利かせた俗語的言い回し」を作り出したものです。 このように意図的に「つめる音」の添加は、主に修飾副詞、中でも程度副詞・累加副詞・頻度副詞、またオノマトペに対して強調や口語的軽妙さ、またくだけた親しみや大仰な伝法言葉のニュアンスへとシフトされます。 1)副詞類…よほど→よっぽど、全(また)く→全(まった)く、ピタリ→ピッタリ、ガタガタ→ガッタガタなど。 2)接頭辞…ま白→まっ白、さら→まっさら、ますぐ→まっすぐ。 3)複合語的語形…木端(こば)→木っ端、出歯→出っ歯、屁ひり腰→屁っぴり腰。 なお、「にっくき」について「憎っき」と表示するやり方は、仮名遣いのはっきりした今日では避けたいものです。 仮名表示では「憎さ」が足りないというほどの表現者ならば、例えば「憎さもにっくきヤツバラめ!」など、工夫はいかようにも試みればよろしいでしょう。いかなる読み手にも抵抗なく伝えることを思い巡らすのが表現の妙なのですから。
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- kine-ore
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#5です。 【1】 送り仮名の対応仕方の案 a) 「早よ来い」のままでは方言との識別が困難で、このままでは「ハヤヨ」としか読みようがないので、「早(は)よ来い」と読んでもらうための読み仮名振りをする。とりわけカタカナ遣いが望ましい。カギ括弧で会話語である条件と含めて「ハヨ来い」などと記す。 b) 「早よ」のままよりも、副詞遣いで「早ように」と記述すれば「ハヤヨウニ」ではなく関西弁の「ハヨウニ」であると認識度が高まり、それだけ読みやすさのレベルがアップするというテクニックを使う。 c) 「早よ来ィや(男言葉)」「早よ来ィでぇ(女子語)」など、カタカナや小文字交じりで、明らかに方言であると暗示させることで「早よ」が「ハヤヨ」ではなく「ハヨ」であると読んでもらう。この場合でも、方言と理解できない読み手にはどう読まれても苦情は言えない。 【2】 歴史的仮名遣い 文語表記をする場合はそのように予め断るか、読み手に気付かせる程度の文章にこしらえる工夫が要ります。例えば「早うよりかく参られければ…」のように。 単に「早よ」では現代仮名遣いで「ハヤヨ」と読まれることは避けられません。 【3】 東京言葉 この設問からは越脱してしまうので手短に触れますと、 1) 東京弁は麻布も牛込も本所も工商階級の江戸詞として大差はありません。あるのはその外周の空き地に移住してきた「山の手」住まいの武士・学者階級における江戸語という、上方方言を基底にして士族的文章語により時の政府の公用語化した江戸語由来の東京語と、独特の都市言語として洗練されていった「ところ」の工商階級の江戸詞由来の東京方言でしょう。 2) この東京方言の洗練性はとりわけ、1)直音でのキレと直裁な明解性、2)特定のみの鼻濁音の響きの良さにあり、それは「周囲の関東方言とは一線を画した、都市言語としての独自の特徴を持つ」(「みんなの日本語事典」明治書院)点が肝心です。 http://www.meijishoin.co.jp/book/b98154.html 3) 今日ではもはや、洗練を極めた東京方言は移住者や通勤者、またメディアの影響もあって、若者隠語や関西弁、更には広域関東方言に浸食され危殆に瀕しています。また東京語に即したといわれる「標準語」のレベルにおいても、かつてのNHKのような基準メディアの喪失や、インターネット書き込みでの一億総発信下での各地・各層特有のスラング会話言葉が文章語を駆逐し我が物顔で闊歩している現状なのでしょう。 4) ここであえて、美しい東京言葉を再発掘したり、東京語の文章用法を規範に心がけたりと、難題ばかりであればこそ、「ことほどさように、その伝えるべき相手によって、言葉遣いとは如何に難しくもまた愉しいものか、と。」の次第です。
お礼
いつもご親切にありがとうございます。ご好意に甘えてもっとお聞きしたいことがあるのですが、教えて頂いた事を参考に勉強して行きたいと思います。 今回もまた本のご紹介ありがとうございます。その3800円の本もお持ちなのでしょうね。違いますねえ。 この手の言語関係の本については、乱読する以外に知りたい内容を持つ本を探すのが難しいんじゃなかろうかと思いました。それをたちどころにご紹介していただける事はありがたいことです。ぜひ読んでみようと思います。 東京方言の洗練性の二項目については改めて別の投稿で質問してみたいです。どのくらい一線を画していると言えるものか。 他の質問も含めまして大変お世話になりました。ありがとうございます。 よい年末年始をお過ごし下さい。
- kine-ore
- ベストアンサー率54% (808/1481)
#4です。 >「憎っき」は「憎っくき」のミスタイプでしょうか。 MS-IMEではストレート変換できない文字列なので各個入力でのミスでした。訂正ありがとうございます。 >「憎」の振り仮名は「にく」として送り仮名をつける、これを改造してはいけない、ということで宜しいでしょうか。 規範的な基準からではなく、あくまでもより多くの人に、余計な負担をかけさせず、また読み違いを招かないように、ブレの少ない文章を作成する基本という観点から、内閣告示に即した標準的な送り仮名表記を心がけるということではないでしょうか。 ですから、標準的表記に飽き足らない場合は、その表記に加えてより豊かな表現を加味する力量が問われるということでしょうし、その能力や努力を怠ったまま我流表記に走った場合は、些か姑息狭隘の謗りを免れ得ないことでしょう。 >関西弁の「早よ」の仮名遣いについても これは文語表記(歴史的仮名遣い)においても「早」は「はや」ですから、「早(はや)く」、や「早(はや)う」と表記されます。この「早(はや)う」が現代仮名遣いでは「はよう」と発音されますが、口語表記としては漢字対応とは齟齬が生じてしまいますから、かな表記するかもしくは文語表記のままで通す旨の、読み手に優しい記述方法が求められるでしょう。例えば「早うに」と括弧付で表わすことで普通文ではなく、ここだけ文語表記もしくは方言表記なのだと暗示する、もしくは「大阪ことばでは「早うに」ですが」のように明記するのが親切でしょう。 大正3年に銀座「天金」生まれで慶応大学で折口信夫の謦咳に接した池田弥三郎の思い出で次のように言葉づかいについて記しています。 「わたしはいまだに、「でンシャ」「デんしゃ」「ひバチ」「ヒばち」の区別がつかない。これは、学校と家庭とで、反対のアクセントを聞かされた結果の混乱である。…何「サカ」だ? それじゃ、坂が平らになっちまわぁ「さカ」だぜ。 なに「コオシロウ」?「こオシロウ」だよ。幸四郎は少し、「アアシロウ」の方だけども。「ハまチョウ」? 「はマチョウ」さ。 「めジロ」? どっこい、そいつは「メジロ」さ。 こんな訂正を、ときどきやられた。」(「暮らしの中の日本語」旺文社文庫) ことほどさように、その伝えるべき相手によって、言葉遣いとは如何に難しくもまた愉しいものか、と。
補足
ご解説ありがとうございます。 【1】送り仮名の問題としても、関西弁の「早よ来い」についてはどう考えるべきなのでしょうか。それでいいのでしょうか。「(はや)よ来い」になりますが。 【2】「やう」を「よう」と読むように学校で習いますが、このルールは関連してきますでしょうか。 【3】「暮らしの中の日本語」の引用は面白いです。ただカタカナとひらがなの使い分け方が私には不明です。「下車」は「ゲしゃ」、「芸者」は「げイシャ」でしょうか。鳥のメジロの「めジロ」で地名の「目白」は「メジロ」でしょうか。幸四郎はちょっと分りません(笑)二通りの幸四郎がありますかね。 大正3年東京生まれの人のお話ですが、標準語と親のアクセントが違うという事で、ひいては東京語と標準語のアクセントが違うという事でしょうか。銀座は下町という話もある一方で、山の手の東京人のアクセントは標準にできるほど標準語と一致していると思いますが。大正期以降の移住者である山の手の人達には地の言葉がないというか。 日本語を愉しんでおられる回答者さんのような人の謦咳に接すれば自ずと国語の楽しさに目覚めます。
- kogotokaubewe
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私も「憎っくき」が促音便と言われたら、えぇっ? とおもってしまうのですが、『大辞泉』の「促音便」には、 そく‐おんびん【促音便】 音便の一。主に活用語の連用形の語尾の「ち」「ひ」「り」が「て」「た」「たり」などの語に連なるとき、促音「っ」となること。「待って(←待ちて)」「歌った(←歌ひた)」「売ったり(←売りたり)」の類。広義には、名詞などの語中にみられる現象についてもいう。「追手(おひて→おって)」「真白(ましろ→まっしろ)」の類。→イ音便 →ウ音便 →撥音便(はつおんびん) とあり、質問者さんや私が考えている「促音便」は「発『音』に『便』利なように、動詞などのある音が別の音に変わる」という「狭義」のものはなく、まっしろ(白)」の「っ」も含まれるということですから、「憎っくき」のような、強調のために音が付け加わるのも、「広義には」含まれてしまうのかな……と。 あと、本来の活用形(「行きたり」の「行き」、「書きたり」の「書き」など)に対して、「促音便」や「イ音便」「ウ音便」「撥音便」になっている形(「行っ」「書い」など)を音便形と呼ぶのは、ふつうに使う言い方だと思います。
お礼
率直なご解説たいへん参考になりました。守りの記述というか、辞書は辞書の利権を守る都合で、記述しているのでしょう。たとえば載っていなかったというケースがレッテルになりかねませんから。 今後ともよろしくお願いします。よい年末年始をお過ごし下さい。
補足
小言幸兵衛さんご回答ありがとうございます。 私は割りに自由主義者なのですが、それだけに依怙贔屓のない公平な法令順守というか、ルールの単純化を望む方でして。 『大辞泉』の記述における、広義の促音便の例「真白」は厄介ですねえ。 別の話題として、通韻という概念があるようですね。とりあえず私は、子音から違う字になってしまうようなものだと解釈したのですが。 促音つながりとしては促音便にまとめるのが違和感も少ないのでしょうが、マシロが言いにくいという事もありませんからね。「真っ赤」を考えると「マアカ」が「マッカ」になるので「ア」が「ッ」に変わったとも言えます。 語の連なりや効果を問わずに「ッ」を用いるのが単純に促音便とすれば(ッ=促音便になってしまいますが)憎っくきも促音便になると思います。そうなると全ての「っ」促音は、(解釈次第で)便利のための字、促音便になりそうな気もします。その場合でも、頻度問題として(ワープロの漢字変換対応も参考になりますが)「真っ白」と「憎っくき」を対等な促音便とするのはいいんでしょうかね。 何よりも、促音便にする事で文法がなし崩しになりませんかね。だから入れない、広義などないという結論にするのが賢明であると思うのですが、辞書はそこまで考えているんでしょうかね。専門家が近視眼的にバカなんじゃないですかね(笑)えぇっが良識だと思いますよ。国文法はバカが作っている感もします。 こうして考えてみると、「真っ白」は白の強調と言えますが、「憎っくき」は強調ではないんじゃないでしょうか。「憎っくき」が促音便による強調という説は、対する私の小言として、「真っ白」の強調と、原形に対して「っ」促音を加える事の二つから、謝った類推をしている有様ではありませんかね。 文法論争はさておき、強調の意に異を唱えたくなってきました。強調してないんでは?
- nebnab
- ベストアンサー率34% (795/2317)
No1です。 補足拝見いたしました。 >>「「憎し敵」のように名詞を修飾しますので。」 >これは「憎き敵」の誤植ではないのでしょうか。 これはおっしゃるとおりタイプミスです。 私としては「憎き敵」と書くつもりでした。 大変失礼しました。
お礼
ご丁寧にありがとうございます。私は文法とその用語に自信がありませんのでいちいちお伺いを立てざるを得なかった次第です。お手数掛けました。お気づきの事があれば、今後とも宜しくお願いします。
- nebnab
- ベストアンサー率34% (795/2317)
>「憎っくき」は「憎き」の促音便なのでしょうか。 私は、これは促音便とは言えないのではないかと思います。 「音便」の意味を辞書で引いてみました。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?dtype=0&dname=0ss&p=%E3%81%8A%E3%82%93%E3%81%B3%E3%82%93 この中の、「発音上の便宜から」というのは、言い換えれば「発音しやすいように」ということだと思います。 「にくき」→「にっくき」は発音しやすいように促音「っ」を付け加えているのではなく、憎さの度合いが強いことを強調するために促音「っ」を付け加えていますので、促音便とは言えないと思います。 「文語促音便形」というのはNo4さんの造語ではないでしょうか。 ちなみに「憎き」は「憎し」の連用形ではなく連体形です。 「憎し敵」のように名詞を修飾しますので。 >振り仮名というのもさっぱりわかりません。 振り仮名が振られていない例文を出して、振り仮名云々とおっしゃっているからでしょうね。 要は「憎っくき」という表記は間違いというNo6さんの主張に対し、間違いではないということをNo7(&4)さんは言っているわけです。 振り仮名云々はこの際無視しておけばいいと思います。 ちなみに、私は「憎っくき」という表記は構わないと考えます。 この表記を見て「にくっくき」と読むような人はへそ曲がりな人です。 「にっくき」という語は存在しますが「にくっくき」という語はありませんので。 また、もしルビが使えるのであれば、「憎き」に「にっくき」という振り仮名を振るのもOKだと思います。
お礼
今年は他の質問でもお世話になりました。大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。よい年末年始をお過ごし下さい。
補足
いつもお助けくださいましてありがとうございます。 促音便ではありませんよね。参考になった人がそれを覚えたらと思うと。 >「言い換えれば「発音しやすいように」ということだと思います。」 まったくそうです。便利の便、方便の便です。強調目的では便器の便にもなりません。力んでいるだけです。 >「憎さの度合いが強いことを強調するために促音「っ」を付け加えていますので、促音便とは言えないと思います。」 そう思いますね。それを促音便と流布するのは国文法の荒らしです。子供たちが真似したらいけません。 ご指摘のように、問題の質問では連用形と回答していますが、 「憎し」の”連体形”です。 そこも間違っています。嗤っている場合ではありません。明らかに間違った情報を伝えている方が問題です。これでせめて他山の石になればと。 >「「憎し敵」のように名詞を修飾しますので。」 これは「憎き敵」の誤植ではないのでしょうか。 確かににくきてきは言いにくいですからシ音便とでも呼んだ方がいいのでしょうか。「憎し敵」は使われているようにも思いますが文法的にはいい加減になるのでしょうか。 (質問投稿のNo.5) >『関西弁の「はよこい」を漢字交じりで表記するさいに、「早よ来い」と書かれますが、「はやよこい」ではありません。』 送り仮名というのは所詮、読み下し用のものでしかないということですかね。訓読においても、漢字が軸になり、送り仮名はぶれて構わず、「憎」に対して「き」ではなく「っくき」とも仮名を付けられるという事でしょうね。私は「憎きでにっくき」派なので嫌ですけど。「お早う御座います」は「早よう」になりましたっけ、見掛けるような気もしてきましたが。関西弁の「早よ」表記の歴史が気になります。明治期も「早ヨ」だったんでしょうかね。「早来い」でハヨの振り仮名だったんじゃないでしょうかね。 振り仮名無しに、音さえも漢字仮名交じり文の中で表そうとする方法なのでしょうが、それほど音にこだわるのならば漢字を捨てて「にっくき奴め」と仮名にした方がいいと私は思います。字面を漢字にしたいという欲張りは、単に和風軽視の因果と言いたいです(笑)音を表すのがカナなのですし。 面白いですね。正しい国文法や率直なご意見、大変参考になりました。ありがとうございます。
補足
いつもご回答ありがとうございます。 ほっとしました。 言葉を知らない当方側の原因で、意味を把握しきれていない箇所があります。確認がてらお伺いしたいのですが、 >『なお、「にっくき」について「憎っき」と表示するやり方は、仮名遣いのはっきりした今日では避けたいものです。』 「憎っき」は「憎っくき」のミスタイプでしょうか。仮名遣いのはっきりしたという意味は漢字の訓読みの振り仮名が決定されていると解釈していいのでしょうか。「憎」の振り仮名は「にく」として送り仮名をつける、これを改造してはいけない、ということで宜しいでしょうか。 ご存知でしたら、関西弁の「早よ」の仮名遣いについてもご教授していただけたら勉強になります。関西弁を漢字仮名交じり文で作成する時に避けては通れない言葉だと思います。 >『仮名表示では「憎さ」が足りないというほどの表現者ならば、例えば「憎さもにっくきヤツバラめ!」など、(略)』 僭越ながら私も元より同じ考え方です。 「大嫌い」を「大っ嫌い」にはしませんよね。 「大嫌い!」で十分だと思うのです。台本の科白でもなければ読み方は読み手が決める事ですよ。その発音が極めて重要な意味を持つ場合のみ、その読み方に執着する価値があるのであって、そうでなければ読み方まで指図すべきではないと思います。 詳細にご解説していただきまして非常に勉強になりました。ありがとうございます。