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分子から物質は造れますか?
TVで、レプリケーターという未来のアイテムが出てきました。これはどうやら、物質の元素(原子)を組み替えて、例えばコーヒーならコーヒーをコピーのように作り出してしまう機械なのですが、実際に実現可能なのでしょうか?これがあると、ハンバーガーもたこ焼きも、スパゲッティーも自由自在に作れるということになるんですが・・・
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こんにちは。 質問のタイトルが「分子から物質は造れますか?」ということになっていますが、どうやらそういうことではないのですね。 分子から「物」を作るならば自然界でも工業でいくらでも行なわれていますよね。 生物はアミノ酸を組み立てて生体物質を作りますし、合成樹脂も合金も、食品、医薬品も、混ぜ合わせて化学反応を起こさせたり、温度を変えたり、又は微生物の力を借りたりして、現在でも様々なもの作ることができます。このようなことができるのは、材料が「分子」だからですよね。 将来的にも未来的にも、基本的に物質を作るというのはこの延長線にあるものだと思います。 #1さんのお話を伺うと、その「レプリケーター」なるものは、エネルギーを材料にして物質を素材情報通り復元できるものらしいですね。 なるほど、これでしたら物質転送も可能かも知れませんし、ハンバーガーでもたこ焼きでも、できれば、最近牛肉を食ってないので、ステーキなんてのもお願いしたいですね。 ということで、ひとつレプリケーターをお借りして極上のステーキを作ってみたいと思います。 最初に確認しておきたいことは、他の回答者さんもご指摘なさる通り、レプリケーターで「原子」という材料を作ることができるとしても、大変なエネルギーが必要だということです。また、情報量というものも問題にされていますが、この点から申し上げますと、ステーキを作るよりは、金やダイアモンドを作る方が遥かに簡単です。ですが、そのふたつの問題を何とか解決できたとしても、残念ながら質問者さんがお望みのハンバーガー、たこ焼きは、まず100%不可能ではないかと思います。 さて、ステーキの材料としては、まず水素、酸素、炭素、窒素などがほしいですね。 (おい、ちょっと待て、ミネラルは入らないのか?) 無視して続けます。 水素には陽子1個、電子が1個、酸素には陽子、中性子が8個づつ、電子が8個です。これらの材料を使って水素と酸素を作れば、取り敢えず水ができますね。同様に炭素も窒素も作ります。 地球には元素が数にして103種類しかありませんから、全部作ったとしても、この辺りの情報量は全く問題になりませんね。ここまでで、結晶構造の判明している金やダイヤモンドは出来たも同然です。 次ぎに、ステーキは牛のお肉ですから、出来上がった分子を使ってアミノ酸を組み立てます。グルタミン酸の分子式は「C5H9NO4」、分子の数はたいしたことありません。これらはそれぞれ既知の化学結合で結び付いているわけですし、地球の生物が使っているアミノ酸は全部でたったの20種類ですから、簡単にシミュレートすることができるはずです。 このアミノ酸を数千から一万個くらい繋ぎ合わせて作るのが、いよいよタンパク質です。しかも、それは複雑に折り曲がって立体構造を持っています。しかし、心配は要りません。この配列は牛のDNAにちゃんと記録されていますから、その情報をコンピューターに入力しておけば良いのです。 また、現在では、タンパク質の立体構造はアミノ酸の持つ親水性と疎水性によってある程度予測することができます。つまり、タンパク質の立体構造は、水を好むアミノ酸を外側に向け、水を嫌う方向に折り曲がるといった、大変単純な法則に従っているからです。ですから、DNA情報を基に決定されたアミノ酸配列の疎水性と親水性を調べれば、それがどのように折りたたまれるかが予測できるわけです。理由があり、予測のできるものはシミュレーションができます。タンパク質の立体構造にはその他にも別な要素があると考えられていますが、その辺りも比較的近い将来には解決されるだろうと思います。 さて、問題なのはそのようなタンパク質が肉を形造る牛の細胞の中に何種類、幾つあるかです。この辺りから徐々にコンピューターの手に負えなくなって来ます。 しかし、現在ではヒトを始めとする生物のゲノム情報が次々と明らかにされていますので、膨大なタンパク質の種類も、その遺伝子によって特定できるようになるはずです。更に、細胞が必要とする連鎖的な化学反応の結果から、そのシステムを予測し、細胞間の同士のネットワークから、牛肉のどの辺りが霜降りでなければならないのかも判別します。 細胞のメカニズム再現するのは、生命を解明することに等しいというのは十分に承知しています。ですが、生命が如何に複雑であろうとも、そこには必ず何か原理があるはずです。長々と余計なことも書きましたが、ここまでで申し上げたいことは、何よりも、原理があり、理由があるものでしたら、それが分かりさえすればシミュレーションできるわけですから、コンピューター制御が可能だということなんです。 ということですから、出来上がったお肉を加熱すれば、表面からどの辺りまでが熱変したものが食べ頃のレアであるのかも再現は可能だと思います。あまり美味そうではありませんが、これでなんとか極上の霜降りステーキは出来上りました。 ですが、ハンバーガーは無理です。 ハンバーグのひき肉の中には、何故たまねぎとパン粉が入っているのでしょうか。たこ焼きの生地はシミュレーションできても、どうして中にタコが入っていて、何故上に青海苔がかかっているのか、それには理由がありません。まして、ハンバーグは何故パンの間に挟んであるのか、このようなことを記述する物理法則や化学式は、私の知る限り一切ありません。原理の分からないことはコンピューターでシミュレーションすることはできません。従って、スタートレックの優れた未来技術を使ってお肉やたまねぎを原子から作り出すことはできても、ハンバーガーやたこ焼きを再現することは不可能です。 では、この問題を解決するためには、やはり、#2さんが仰るように、その組成の空間的な位置関係を原子レベルで全て記録しておき、それに基づいて物質の復元や生成を行なうということになります。これでしたら、前記の分子からアミノ酸を組み立てて、などという手続は一切不用になります。もちろん、それには途轍もなく膨大な情報処理が必要であることは言うまでもありませんが、幾ら多くても、それが量的な問題である限り解決できないという理由はありませんね。ですが、ここにもひとつ別な問題が発生します。 現在、量子力学では、電子の運動量と軌道を同時に確定することはできないことになっています。つまり、その物質を構成する原子の種類や位置座標は記録できても、そのときの電子の状態は決定することすらできないということになります。これでは、どのような膨大なメモリーや処理能力を持ってしても、物質を望み通りに再構成することはできないですよね。 ですから、やはり、ハンバーガーは諦めて下さい。 ということなのですが、大変長くなってゴメンナサイ。
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- notnot
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#2です。 >従って,近くは無いがむちゃくちゃ遠くもない未来では, >小数の食品に限っては,可能になっているのではないか?と思います. そうですね。例えばごみや排泄物から食料材料を合成するようなのは(私が生きている間は無理としても)そう遠くない将来かもしれません。合成肉とか合成野菜と呼ばれるのでしょう。 でも、ハンバーガー・たこ焼き・スパゲッティー等がそのままの形で出てくるような機械はタイムマシンより遠そう。
- First_Noel
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レプリケータは,#2さまのお示しになったURLによると, 別に物質をエネルギーから生成する必要は無いように思われます. あくまで材料は,取り出し側の設備に備えられているのでしょう. (ビームと言う表現が混同を招いているのかも知れませんが...) 現在の技術で既に可能なものは,タンパク質合成装置です. しかしアミノ酸自体沢山ありますし,その組み合わせとなると ほぼ無限の組み合わせが考えられます. 我々が日常食べているものだけに限っても,鳥と牛とで 味が違うように,その配列も異なっています. 従って,近くは無いがむちゃくちゃ遠くもない未来では, 小数の食品に限っては,可能になっているのではないか?と思います. 例えばハンバーグ作るにしても,どかんと固まりを複製するのではなく, 肉の微小な固まりを沢山合成する装置があって, それをガシッとひとつにまとめる装置があって,コピーと称する,とか. それは完全なコピーではなく,模倣品?でしょうが, その内可能になるように思われます.
- apple-man
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>物質を等価原理でエネルギーに変換してもしょうがないと思います。 電磁波が電子という物質に戻る現象が あるわけですから、自然界に形の情報を 持つ何かがあるんですね。 生物は今の人間の分析能力からは、 化学反応の固まりで、DNAが何か情報を 持っているだろうと想像できても、 具体的にどうゆう方法で、親の体の 特徴が子の体で再現できるのか 不明ですが、ここにも物質という固まりに なったときにどうゆう形になるか、 形状に関する情報が伝えらています。 人間は分解する方法は見つけたんですが、 組み立てる方法を見つけていないだけです。
- notnot
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物質を等価原理でエネルギーに変換してもしょうがないと思います。 物質の構成情報つまりどの原子同士がどのように結合しているかを正確に調べて、それを記憶するなり伝送するなりして、その構成情報に基づいて、原料の原子を組み替えればもとの物質と全く同じものが出来るという原理だと思います。 「実際に実現可能か?」って、まさか現在の科学で出来るかという質問ではないと思いますので、遠い将来に実現することが原理的に可能かという意味だと思いますが、どんなことであれ「遠い遠い将来においても絶対に実現不可能」といいきるのは難しい。「時間旅行が実現可能か」と同じですね。
- apple-man
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スタートレックですね。 スタートレックは60年代のオリジナル シリーズのころから、専門の研究者たち の協力を得て製作されており、 1987から始まったネクストジェネレーション シリーズからは、最新の科学技術の論文まで 引用して作っている様子が伺え、 日本のSFにありがちな単なる想像の お話とは言いがたい内容となっています。 >実際に実現可能なのでしょうか? 現時点では不可能ですが、このアイディアの 発想の原点は、アインシュタインの相対性理論に 出てくる、エネルギーと物質の等価原理と いうものです。 エネルギーの存在形態にはいろいろあるのですが、 ここで言うエネルギーとは、波長の非常に 短い電磁波のことです。素粒子の衝突実験など では実際、物質である電子が一瞬、電磁波に 変わり、また元に戻るような現象が観測 されており、エネルギーと物質は相互に変換 可能であることは間違いありません。 また人間は物質をエネルギーに変えて 放出する原理を利用するものとして、 すでに原爆を作っています。 この逆の過程を自由に制御できれば、 純粋なエネルギーとしての電磁波から 物質を作れますが、原爆の威力から 分かるように、これには非常に大きな エネルギー源が必要です。 >例えばコーヒーならコーヒーをコピーのように作り出してしまう機械なのですが レプリケーターは、転送装置の応用として 作られたもので、転送装置はこのアインシュタインの 相対性理論をFAXの概念に合わせて作ったものです。 転送装置は、物質をエネルギーに変換し、 目的地でこのエネルギーから物質を 再生するというもので、レプリケーターは 物質のパターンとエネルギーから物質を再生する という、転送装置のこの最後のプロセスを 応用したものです。 またこのよう装置がお話に出てくるようになった 切っ掛けは、話の展開をよスピーディにする 目的だったそうです。 つまり惑星に下りるのに、いちいち着陸船の シーンなどいれなくても済むように、 一瞬の転送で、宇宙船から惑星のシーンに 移れれば、ストーリーの進行上、都合が 良かったという理由だったそうです。 >ハンバーガーもたこ焼きも、スパゲッティーも自由自在に作れるということになるんですが・・・ そのとおりです。そのためには、莫大なエネルギー源と それを制御する方法の確立が必要です。 スタートレックでは、エネルギー源として ダイリチウム結晶や、物質、反物質融合炉が 出てきます。惑星に持っていけるような 小型冷蔵庫くらいの大きさのレプリケーターも 登場しますが、小型融合炉内蔵というような 説明になっています
お礼
ありがとうございます。皆さんの話で納得できました。食い物の話ばかりでしたが、どうやら人工臓器などがレプリケーとできたら、本当に病気で苦しんでいる人のためになりそうですね。いや、これは人工臓器というか、その人の臓器のコピーということになうんでしょうが。こういう機械はそういう人のためにまず遣われて欲しいですね。私のような食いしん坊は後にします。