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無限長直線電荷による電位
- 無限長直線電荷による電位を計算する方法について調べているのですが、直線電荷の長さが無限大の場合に電位が発散してしまう理由がわかりません。
- 直線電荷の長さが有限の場合と無限の場合で電位の計算方法が異なることに疑問を感じています。
- 無限長直線電荷による電位の計算において、基準点を無限遠点ではなく円筒面にすることで電位が有限値になることがわかっていますが、その理由について知りたいです。
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hatenahatena_ さんは,位置(0,0,z')の微小電荷 ρ_l dz' が位置(r,0,0)に作る微小電位を > ρ_l * d_z' / 4πε_0(r^2+z'^2)^(1/2) としてらっしゃいますが,これを-LからLまで積分した電位はやはり無限遠を基準にしたものになってしまいます. Lが有限の場合にはそれでOKです. L→∞の極限をとっても,やはり無限遠を基準にしていることに変わりはありません.ところがL→∞の極限状態においては無限遠を基準にとれないのですから,L→∞の極限操作をする行為自体がNGということです. L→∞の極限を取るつもりであれば,微小電荷 ρ_l dz' が作る微小電位を求める時点で,すでに有限距離の位置を電位の基準としておかなければなりません.微小電位を積分するよりも,電荷分布は初めから-∞~∞としておいて,ガウスの法則により電場を求め,電荷分布から有限距離の位置を電位の基準として基準位置から電場を積分して電位を求める方が楽でしょう. ガウスの法則より E(r)・2π r Δz = ρ_l Δz/ε0 ∴E(r) = ρ_l/(2π ε0 r) (定義域 r > 0). 無限直線電荷分布から垂直距離aの位置を電位の基準とすると,電位φ(r)は次のように表される: φ(r) = -∫[a,r] E(r) dr = -ρ_l/(2π ε0) ln(r/a) (r > 0). …(1) これが無限直線電荷による電位です. で,ρ_l > 0 とすると, φ(∞) = lim[r→∞] φ(r) = -∞ なので,無限遠を基準とする電位φ'(r)を考えれば, φ'(r) = φ(r) - φ(∞) = φ(r) + ∞ = ∞. このことからも,電荷分布が-∞~∞の場合には無限遠を基準にできないということが判ります.そしてこの結果は(1)式においてa→∞とした結果に一致します: lim[a→∞] φ(r) = -ρ_l/(2π ε0) lim[a→∞] ln(r/a) = ∞.
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皆さんも仰っているように、たぶんあなたの計算に間違いはないと思います。ただ普通は、このような計算は行いません。理由は不便だからです。ただそれだけです。 ご存知と思いますが、電位(静電ポテンシャル)に物理的意味はありません。静電ポテンシャルは、物理量である電位差を計算する数学的補助手段です。 (場の理論の方まで行くと、静電ポテンシャルも物理量になるそうですが、ここではそんな話はおいときます。完全に古典論です) それが証拠に、静電ポテンシャルには定数分の任意性があります。この事態をもっと言うと、要するに等電位面の形を便利に計算したいから、ポテンシャルを導入します。今のケースでは、無限一様分布から等距離はなれた円筒面が等電位面である事は、わかると思います。 このとき一様分布両端の無限遠をポテンシャルの基準にすると、円筒の等電位面でV=∞となりますが、数学的には等電位面上の∞-∞=0は、証明可能なんだと思います。しかしこれでは、余りに不便です。そこで普通は、一様分布から直角に無限遠離れた地点で、ポテンシャルを固定します(0とする)。これは、「中心から a だけ離れた円筒面でポテンシャルを固定した」のと同じです。ただa=∞でV=0とした方が自然ですよね?。実際こうしとくと、点電荷のポテンシャルの2次元版とみなせます。 現実には無限の彼方まで続く電荷分布などあり得ないので、Vは有限体積での積分です。このときは有限体積という理由から、「どこぞの無限遠」は気にする事なく、単純に「無限遠で0」で済みます。 仮に(人工的に?)無限の彼方まで電荷分布が続くとみなした時だけ、「どこぞの無限遠」が問題になりますが、電荷の分布状況が人工的なので、それが逆に「どこの無限遠で0が便利か?」へのヒントになります。 こんなところで、納得いただけないでしょうか?(^^)
お礼
電位の本質から説明していただき,よくイメージすることができ,納得いきました. ありがとうございます.
- el156
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発散して正解だと思います。 先に点電荷の場合は何故発散しないのかを考えます。点電荷では電束が球面状に広がりますから、所定の球面上の電束密度はその球面の半径の2乗に反比例します。電界は電束密度×誘電率ですから、同じく半径の2乗に反比例。電界は微小長さ当たりの電位差ですから半径に沿って電界を積分すれば電位が求まります。半径の2乗に反比例するものを半径で積分する訳ですから積分結果は半径に反比例します。この積分結果の半径に無限大を代入するとゼロになるから収録するわけです。点電荷の場合には電荷から離れるとその距離の2乗に反比例して急激に電界が小さくなるから無限大まで積分しても積分結果が無限大にならないということです。 これに対して線電荷では、電束が円筒状に広がりますから、所定の円筒上の電束密度はその円筒の円周に反比例し、即ち半径に反比例します。先ほどと同じように電位を求める為に電界を積分すると自然対数になってしまいますので、積分結果の半径に無限大を代入すると無限大となってしまいます。線電荷の場合には電荷から離れるとその距離の1乗に反比例して電界が小さくなりますが減衰が十分でないので遠くなると少しずつでも電位差が増大して収束しないということです。
お礼
頭の中でごちゃごちゃしていた部分が晴れたように思います. kz_yさんの >電荷分布はほぼ点電荷のようにみえる の部分の理解がより深まりました. ありがとうございます.
電荷の分布している領域が有限の半径を持つ球面内にすっぽり収まることを「電荷分布の広がりが有界」とよぶことにします. 一般に,電荷分布の広がりが有界であれば,電位の基準を無限遠にとることができます.なぜなら,原点からの距離をrとすると,どの方向であろうが lim[r→∞] ρ = 0 だからです.これが成り立つため,十分遠方から電荷分布をみると,電荷分布はほぼ点電荷のようにみえるからです. ですが,電荷分布の広がりが有界でない場合,例えばご質問の無限直線電荷分布の場合,直線に平行でない方向であれば lim[r→∞] ρ = 0 が成り立つのですが,直線に沿った方向だと,lim[r→∞] ρ ≠ 0 であり,どんなに遠くから見ても点電荷とはみなせないのです. このような事情から,電荷分布の広がりが有界でない場合には電位の基準を注意深く選ぶ必要があります(というか,機械的に無限遠基準にしちゃダメなのです).
お礼
盲目的に無限遠点基準にしているところに落とし穴があったのですね.イメージが大分つかめるようになりました.ありがとうございます. ...が,今度は数式的にどこが矛盾しているのかわからなくなってしまいました.そもそも上の数式が成り立たないということでしょうか.例えば分母が0となっておかしくなっているなどという原因がどこにあるのかわかりません. ご教授願えますでしょうか.
お礼
Lを∞にするという操作がそもそもおかしいのですね. 数式的理解ができ,すっきりしました.ありがとうございます.