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原発の全電源喪失について
今回の福島第二原発は大惨事になってしまいました。 全電源喪失とやらで冷温停止状態が保てなくなったのが原因と聞いています。 その結果として、外部から海水やらを放水して冷却を図っているようですが、ここで疑問が湧いたので質問させていただきます。 仮に、「もんじゅ」が今回と同じような状態で全電源喪失になった場合はどのような被害が予測されるのか? 冷却材にナトリウムを使用しているようですが、もんじゅの場合は外部からの放水、海水等の使用が不可能だと思われるのですが、この点について対策はなされているのか? 以上乱暴な質問で申し訳ありませんが、ご存じの方がいらっしゃるようなら是非教えていただければと思います。
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原理的には、どんな原子炉も同じなので、福島第一原発のような沸騰水型の原子炉の説明をしてみます。 全交流電源喪失になり、次いでバッテリーも使い切ります。これで、電気によって作動する冷却系は使えなくなります。 しかし、このことをも予期して電源なしで作動する原子炉冷却系が工夫され、原子炉には必ずそれが設置されている……はずでした。 無電源の原子炉冷却系は、まず非常用復水器というものが考案されました。福島第一でも最も古いタイプの1号機には、これが設置されていたはずでした。 電源を使う冷却系が止まったたら、原子炉内の水温が上昇していき、沸騰によって水蒸気が増えていき、そのため原子炉内の圧力が果てしなく上昇します。危険な状態です。 非常用復水器は、この危険な状態を逆手にとって利用するという優れものです。高圧の水蒸気を低温の水の中を通る配管に逃がします。すると水蒸気は冷えていき、低温の水に戻ります。配管の先は原子炉に戻るようになっています。この低温の水は、後から後から発生して圧力を上げていく水蒸気に押され、原子炉に戻ります。つまり、低温の水が供給されて、原子炉を冷やすことができるのです。ただ、この冷却系自体が温度が上がっていくため、3日程度で冷却機能の役割を果たさなくなると考えられています。 さらに工夫された無電源の冷却系があります。原子炉隔離時冷却系と呼ばれます。原子炉内の水温が上がっていって高圧の水蒸気が発生することは、既に述べました。よく考えると、これは原子炉が通常運転している状況と同じです。ならば事故で水温が上がっていけば、通常運転と同じように発電用のタービンを回すことができます。そして、通常運転では発電機を動かすタービンの力を冷却水用ポンプを動かすことに使い、原子炉に冷却水を注入してやるのです。この冷却系は、非常用復水器より、ずっと長い時間、原子炉を冷却できます。 原子炉で高温高圧になった水を圧力をかけて水蒸気にならないようにし(1次冷却水)、その高温水で別の配管の水(2次冷却水)を沸騰させて高圧水蒸気を得る、加圧水型の原子炉でも、ちょっと複雑にはなりますが、原理的には同じものが作れます。2次冷却水を冷やし、それで1次冷却水を冷やしてやればいいわけです。 余談ですが、近年になって非常用復水器を見直す動きがあるようです。非常用復水器は、原子炉隔離時冷却系より構造が極めて単純です。単純な仕組みは壊れにくいものです。それなら、地震などの災害でも壊れにくいという信頼性があります。 加圧水型の原子炉内の1次冷却水の代わりに金属ナトリウムを使っても、同じことです。同じ原理のシステムで、電源なしで原子炉を冷やせます。 公式に公表されてる限りでは、そういった冷却系が作動するので、電源が落ちても復旧するに足る時間が稼げるはずでした。福島第一1号機では、なぜか非常用復水器が充分に作動しなかったと、事故初期には報道されていました。これは問題ですが、今後はメンテナンスさえもっと充分にしておけば、文殊を含むどんな原子炉も安全なはずです。 しかし、福島第一では非常に問題になる指摘がなされました。ある国会議員は小泉政権時代に、こういった無電源の冷却系を取り外したと告発しています。別の情報筋によれば、米国(おそらくGE社か?)の強い勧告にもかかわらず、日本の規制当局はこういった無電源の冷却系は必要なしとし、最初からそういうものを設置しなかったというのです。 せっかく無電源の冷却系まで考案されたのに、それが設置されていなければ、何にもなりません。福島第一で無電源の冷却系がなかったのだとしたら、そしてそれが日本の原発の安全基準になっていたのだとしたら、きわめて危険な状況といわざるを得ません。 設置されてなかった、というのが誤った情報であればいいのですが……。もんじゃが福島第一のようになったときの被害の予想は困難です。もんじゅは規模は小さい。その点では被害は少なめになるはずです。一方、人体に対する悪影響が充分には検証されていないとはいえ、プルトニウムは息で吸い込んだら極めて危険な可能性が強いと考えられています。高速増殖炉はプルトニウムを効率よく作る原子炉です。これが稼動していて事故があれば、福島第一より大量のプルトニウムを撒き散らすはずです。こちらは被害がより大きくなる可能性を示唆します。 福島第一では、責任追及のためではなく、事故再発防止を目的とする検証が始まっています。検証の結果が、他のあらゆる原発に有効に活かされることを願いたいものです。
- yottodo
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> 起こるとは考えられないことだが、1次、2次主循環ポンプが停止し、送風器も停止した場合でも、3系 > 統の自然循環で崩壊熱を冷やすことができる。 理論上では、地震による損傷がなければ、自然循環で冷えるみたいですね。 http://www.geocities.co.jp/Technopolis/6734/monju/nareikyaku2.html
お礼
ご回答いただきありがとうございます。 なるほど自然循環である程度は冷えるはずになっているということですね。
お礼
丁寧なご回答ありがとうございます。 上記のご説明によると、技術的にはある程度は事故を防げた可能性があったにもかかわらず、想定の甘さ、もしくは他の政治的な理由によって対処されなかった為起きた人災と云う理解でよろしいでしょうか? 事故前は、あらゆる事態を想定しかつ対処してあるので絶対に安全だと聞かされていただけに、今回の事故は残念で仕方がありません。 個人的には、化石燃料減少や、CO2の削減に必要なエネルギー源のために原発が必要という論調以前に、現段階では地層処分以外に高レベル放射性廃棄物の処理の方法が無いという一点において反対の立場をとっていました。 これは時代が進めばある程度は高レベル放射性廃棄物の量が減らせるかもしれない研究もされているようですが、現状ではまだ技術的に確立されておらず、後世に負の遺産を残すという点で過去に起きた公害問題と本質が変わっていないように思えたからです。 こんかい「もんじゅ」に限定して、質問をしてみたのは、プルトニウムを生産する原子炉であり、事故の際により甚大な被害が想像されること。 もんじゅには緊急炉心停止装置が無く、仮に無くても大丈夫な設計になっている的な、大雑把な説明しか調べられなかった事。 原子炉を停止した後に起きる崩壊熱の温度が、金属ナトリウムの沸点よりも上なのか下なのか判らなった事。 仮に崩壊熱の沸点が、ナトリウムのそれより大きい場合、福島第二よりはるかに大きな事故になるではないかと想像した事。 仮に冷却系のパイプ等の破損により、大量のナトリウムが漏れ出した場合炉心の冷却をどのように対処しているのか判らなかった事。 冷却系については、ご回答いただいた内容でなんとなくは対処がなされているのかもしれないと感じましたが、この点は大変参考になりました。 あと、一番心配なのが今回の事故でも散々発言があった「想定外」といういい訳には正直絶句しました。 政府や役人辺りがいい訳として使うのも腹立たしいことですが、 優秀な技術者を抱えているはずの東電が絶対使用してはいけない言葉だと考えているからです。 技術に携わる人間がこの言葉を使用するということは、管理運営能力が無いと自ら言っていることと変わらないと思っています。 むしろ最初から、設計上あるいは想定自体がよろしくなかったと認めてくれた方が技術者としての良心を信用できるからです。 むろん多少の問題があっても今すぐ全部の原発を止めろというのはナンセンスだと思っています。 今後徹底した安全対策を全電力会社にお願いしたいところです。 また、原発以外のエネルギー源についても国を挙げて手当てをしていただきたいところです。 ただし、責任の追及に関しては、東電だけではなく、原発を推進してきた政府、役人、製造メーカーを含めてやるのであればむしろした方がよいのではないかと考えています。 よく感じるのが、個人のモラルより企業やその他巨大組織のモラルの方が低いのではないだろうか?と思うこと またその結果生じる事態がより深刻になるであろうことが想像されること。 この防止には、罰則と規制しかないと感じていることがあげられます。 トカゲのしっぽ切りだけは避けて欲しいものです。 今回の事故は結果的には、下手なテロリストが起こしてきた事件よりもむしろ社会的な被害が大きいことなども挙げられます。 個人であれば例えば自動車事故がいい例ですが、仮に過失であったとしても責任を追及されること。 これは企業であっても同様と考えています。 ご丁寧な説明を頂いたお礼には、無礼な返答しかできず大変申し訳ありませんでしたが、何卒ご容赦ください。 無知ゆえ中途半端な知識が逆に不安をあおる結果になってしまったようです。 今回のご返答は大変参考になりました。 ありがとうございました。
補足
下記の件、真実なら大問題ですね。事実の解明をして欲しいところですね。 一つ疑問なのですが、報道が事実なら米国製(GE)の原発の導入を決める際、米国の主な自然災害である、竜巻と台風に対する対策を重視いしていて津波については一切検討がなされていないと伝えていました。 地下に非常用電源を置いたのはそのためと聞いています。 導入時に日本側がこの点を変更したいと申し出たところその場合は一切の補償をしないとGE側から通知されたと報道では行っていた気もするのですが・・・・ 何が真実なのか全く判らくなりました しかし、福島第一では非常に問題になる指摘がなされました。ある国会議員は小泉政権時代に、こういった無電源の冷却系を取り外したと告発しています。別の情報筋によれば、米国(おそらくGE社か?)の強い勧告にもかかわらず、日本の規制当局はこういった無電源の冷却系は必要なしとし、最初からそういうものを設置しなかったというのです。