ANo.9です。
(ご質問1)「『角の5等分』を出すには『5乗根』という部分からよく分かりません…。」
(答)
言葉が不正確でした。すみません。
1つの角が与えられたとき、どういう座標が与えられたとみなすのか考えてみましょう。
角の頂点を中心として、円を描きます。もともと平面の座標軸が与えられていないので、円の中心の座標を(0,0)と定めることにしても、一般性を失いません。さらに、円の半径が1だと定めることにし、また、角を構成する2本の直線のうち一方がx軸だと約束することにしても、一般性を失いません。そうすると、この直線と円との交点は、(1, 0)で表されます。そして、角の大きさをθとすると、もう一方の直線と円の交点は、( cos(θ), sin(θ) )で表されます。
したがって、「角が与えられた」というのは、「(0, 0)、(1, 0)、( cos(θ), sin(θ) )の3点が与えられた」とみなすことができるのです。
このように座標を定めたとき、「角を5等分できる」というのは、「( cos(θ/5), sin(θ/5) )、( cos(2θ/5), sin(2θ/5)) 、( cos(3θ/5), sin(3θ/5)) 、( cos(4θ/5), sin(4θ/5))の4点を作図できる」ことと同値です。さらに、これらのうち( cos(θ/5), sin(θ/5))さえ作図できれば、あとの3点は容易に作図できるので、
「角を5等分できる」⇔「( cos(θ/5), sin(θ/5) )を作図できる」
となります。
ここで、突然ですが、座標を複素数で表すことを考えます。実数2つで表現される (a, b)の座標を持つ点は、a+ibという1個の複素数を座標に持つとみなすこともできます。そうすると、
実数座標で( 0, 0 )の点=複素座標で0の点
実数座標で(1, 0 )の点=複素座標で1の点
実数座標で( cos(θ), sin(θ) )の点=複素座標でexp(iθ)の点
実数座標で( cos(θ/5), sin(θ/5) )の点=複素座標でexp(iθ/5)の点
となります。最後の2つは、オイラーの公式を使いました。複素座標で表現すると、「角を5等分できる」というのは、「exp(iθ/5)を作図できる」となります。ここで、
exp(iθ/5)がexp(iθ)の5乗根
であることから、角を5等分するためには5乗根をとることが必要、ということになるわけです。
ただ、前の回答で「四則演算と平方根を何回か組み合わせ」と言ったのは実数座標でのことだったのに、「5乗根」と言ったのは複素座標でのことだったので、厳密には論理がつながらないことになります。冒頭で言葉が不正確と言ったのは、この意味です。
(ご質問2)「角の8等分なら作図は可能ということでしょうか?」
(答)
可能です。角を2等分する方法はご存知と思います。2等分された角のそれぞれをまた2等分すれば、4等分ができます。さらに、4等分された角のそれぞれを2等分すれば、8等分ができます。
お礼
ご回答どうもありがとうございます。 >(π/2 < θ < π の部分が線分に似ていることに注目) こちらのご回答もNo.7の 『AD = 1 - (√3)(cosθ) / ( (√3) + (sinθ) ) となる訳ですが、 この右辺の式が θ の一次関数になっていないと、』 を踏まえてのものだと思うのですが・・・。 >θ の一次関数になっていないと この部分を少し補足して頂けるとありがたいのですが…。 よろしくお願いします。 >「図学」ってのは、確か、実在の作図用具を使って >低精度の近似作図をする学問ではなかったかと思う。 図学は数学ではなくて、工学に近い学問なのですね。 あまり厳密さにこだわり過ぎる全然先に進まないということもあり得ますね。 これからはそのあたりのことを踏まえて本を読むことにします。