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化学ポテンシャルの定義
化学ポテンシャルμは 活量1の状態での化学ポテンシャルμoを用いて μ=μo+RT ln a (aは活量)(式1) で表されますが、 釈然としないのは、 活量1と活量aの2つの状態の1molあたりギブスエネルギーの差ΔGを考えると、 a/1=exp(-ΔG/RT) (式2) であり、 ΔG≡μ-μo (式3)であるので、 式2と式3からμを求めると、式1と符号が合いません。 これらのどこがおかしいのでしょうか。 よろしくお願い致します。
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- jamf0421
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> どんな物理化学的根拠をもとにこの式(この概念)を編み出したの > か、と。 > それとも、単に「こう定義すると便利!」と気付いたのか。 一応簡単に理想気体で例をしめします。以下大文字でUとかHとか書きますがモル当りの量です。 U(T)-U(To)=∫Cv(T)dT...(1) H=U+PV=U+RT...(2)(理想気体) H(T)-H(To)=∫Cp(T)dT...(3)(Cp-Cv=R) dS=(dH-VdP)/T=(Cp/T)dT-(V/T)dP...(4) これを積分 S(T,P)=S(To,Po)+∫(Cp/T)dT-R∫(1/P)dP =[S(To,Po)+∫(Cp/T)dT+RlnPo]-RlnP =S*(T)-RlnP です。S*は単位圧力、温度Tでのモルエントロピーです。μ=H-TSを使えば μ=H(To)+∫Cp(T)dT-T{[S(To,Po)+∫(Cp/T)dT+RlnPo]-RlnP} =[H(To)-TS(To,Po)+∫Cp(T)dT-T∫(Cp(T)/T)dT-RTlnPo]+RTlnp =μ*(T)+RTlnP です。μは単位圧力、温度Tでの化学ポテンシャルです。対数関数が出るのは必然です。
- jamf0421
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>μ=μo+RT ln a (aは活量)(式1) >という定義は、 こちらが出発点です。 >元々 >a/1=exp(-(μo-μ)/RT) A式 >と書くべきか、 >a/1=exp((μ-μo)/RT) B式 >と書くべきか、という風にいいかえられましょう。 a/1と書いてありますが、もしaが当該物質の液相の活量で、1がそのものの固相の活量のつもりなら、A式もB式もμ=μo+RT ln a の書き換えにはなっていません。 >また、A式かB式のどちらかとして、 >その物理化学的意味はどう解釈できますでしょうか。 上に書いたとおりでどちらにも対応していません。物理化学的解釈はできません。もう一度No3をよく読まれて下さい。
お礼
>>μ=μo+RT ln a (aは活量)(式1) >>という定義は、 >こちらが出発点です。 そりゃそうです。どの教科書でもそうです。 あえて書き換えようとした私の疑問は、なぜその定義が出てきたのか。 ニュートン力学のようにF=maというように定義されたのとは違う気がします。 どんな慧眼の持ち主であったのか、と。急に自然対数が出てくるなんて。 どんな物理化学的根拠をもとにこの式(この概念)を編み出したのか、と。 それとも、単に「こう定義すると便利!」と気付いたのか。 たぶん後者のこうしたら便利!だったんでしょうね。 ネルンストの発想からどんどん変遷して今の形に落ち着いた電気化学。 符号のとり方もその過程で落ち着きました。 なので、元々の疑問は、符号さえなんとかなれば、、、 この場合も、ΔGを定義できて、、、 等と思ったのですが、どうも答えは出ないようですね。意味がないのか。 懲りずに、何度も回答を試みていただき、ありがとうございました。
- jamf0421
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> a<<1なので、(vii)式の右辺の値は負ですね。 そうです。分母が1なので平衡定数が小さい数になっている、ということです。ΔGo(内容を明らかにするためoをつけておきました。よく上付きにして書きますね。)の大きさとK(平衡定数)が対応します。 Kが小さければΔGo>0になって構いません。 >私は何か単純な思い違いをしてますでしょうか。 思い違いでしょうね。上記の話と「T,P一定なら反応はGが減る方向に進む」ということは違います。それはμoの差の話でなく、μの大小の話です。 μ(solid)=μo(solid)+RTlna' μ(soln)=μo(soln)+RTlna について μ(soln)-μ(solid)=μo(soln)-μo(solid)+RTln(a/a') =-RTlnK+RTln(a/a') =RTln{(a/a')/(ae/a'e)]...(1) です。aが平衡になった時がae, a'が平衡になった時がa'eです。たとえば(1)の左辺が正つまりμ(soln)の方が大きいならば、これが小さくなる方に変化して左辺がゼロになるところまで行きます。この時右辺のlnの中味が1になり、組成が平衡組成になります。
補足
仰ることは正しいですね。 私の最初の疑問に戻ります。 μ=μo+RT ln a (aは活量)(式1) という定義は、元々 a/1=exp(-(μo-μ)/RT) A式 と書くべきか、 a/1=exp((μ-μo)/RT) B式 と書くべきか、という風にいいかえられましょう。 また、A式かB式のどちらかとして、 その物理化学的意味はどう解釈できますでしょうか。
- jamf0421
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式(2)にひっかかって補足請求をしてしまいました。本筋の議論の方から先に書きます。もしかして(1)で μ-μo=RTlna=ΔG...(i) のように考えておられるのでしょうか?それだとしたら誤解があります。 今の事例での平衡を考えてみます。溶液のμoを改めてμo(soln)とかいて溶液についての溶質の化学ポテンシャルは μ(soln)=μo(soln)+RTlna...(ii) 固体の化学ポテンシャルμ(solid)は殊更活量の項も入れて μ(solid)=μo(solid)+RTlna'...(iii) としたときに μ(soln)=μ(solid)...(iv) が平衡条件です。μo(soln)は溶質の純液体化学ポテンシャルです。(iv)より μo(solid)+RTlna'=μo(soln)+RTlna...(v) となります。固体から溶液に溶け出す方向でかんがえた時の平行定数を出すのでしたら -(μo(soln)-μo(solid))=RTln(a/a')...(vi) あるいは -ΔG=RTln(a/a')...(vi)' です。a'=1とすれば -ΔG=RTlna...(vii) となります。 ところで質問者さんの補足にかかれたa/1=exp(-ΔG/RT)に関する議論の方にも問題があります。K1とかKaとかがあることになっていますが、それらは固体と液体での溶質のμoの差で決まるもので、温度や圧力がきまれば同じものになっています。
補足
ありがとうございます。 自分でも書いていてK1とKaは同じ値になる気がしてました。 要はΔGの正負が一致すれば疑問は氷解します。 (なぜなら、元々の質問は符号さえ合えば解決します) 導出していただいた(vii)式ですが、難溶性であれば、 a<<1なので、(vii)式の右辺の値は負ですね。 一方、この反応によって系のギブスエネルギーは低下します。 つまりΔGは負のはずですが、そうすると、 (vii)式の左辺の値は正になります。やはりどこかがおかしい。 私は何か単純な思い違いをしてますでしょうか。 よろしければ、もう一度ご回答またはコメントをお願いします。
- jamf0421
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そもそも > a/1=exp(-ΔG/RT) (式2) はどういう根拠で出されたのですか?
補足
そこがポイントになるかもしれません。 活量1と活量aの2つの状態の1molあたりギブスエネルギーの差ΔGをとったつもりです。 たとえば、水溶液中で固体Sがわずかに溶けてSの液相状態であるLを生じる反応を仮定しましょう。このときSとLは平衡状態にあります。平衡定数は、定義により、 K=[L]/[S]ですが、難溶であれば、多少の条件の変化では[S]は変化しないものとすることができます。 Lの活量[L]が1のときの平衡定数をK1、この反応におけるギブスエネルギーの変化をΔG1、同様に[L]がaの時、Ka、ΔGaとすると、 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC を見てわかるように、各平衡定数とギブスエネルギーの変化の間に K1=exp(-ΔG1/RT), Ka=exp(-ΔGa/RT) なる関係があります。よって、 a/1=Ka/K1=exp(-(ΔGa-ΔG1)/RT) ΔGaとΔG1は固体Sの化学ポテンシャルを含みますが、引き算によってキャンセルされるので、 ΔG=ΔGa-ΔG1=μ-μo となります。 μはaの単調増加関数にならねばならないので、上記のどこかがおかしいのですが、よくわかりません。 よろしくお願い致します。
お礼
再度のご回答、ありがとうございました。 結論をいえば、最初の質問の式2が間違ってました。 単純なミスで、分母と分子が反対になっていただけ。 お時間を無駄にさせてしまって、ごめんなさい。