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消費税が原則課税の場合で、領収書が上様ではダメという規定について質問です
法人税法では領収書が上様でもいいようですが、消費税では特に原則課税の場合には、上様では仕入税額控除は使えないという規定があるそうですが、一体どこにあるのでしょうか? そして上様と書いてあると、本当に税務調査の際には仕入税額控除が認めてもらえないのでしょうか?実務ではどうなっているのですか?
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再々回答です。 >これは、法律が出来た時期が違うからと考えていてもいいのでしょうか? >つまり、消費税法は比較的新しい法律なのに対し、法人税法はもっと以前からあったので >このような食い違いが生じているということです。 そうですね。 法人税は、もともと所得税の一部として明治32年に第一種所得(法人所得税)として導入され、昭和15年に所得税から分離して法人税法が制定されたものですから、結構古い税法です。 それに対し、消費税法はご存知のとおり平成元年施行ですから、まだまだ若造です。 もしも法人税法が平成に入ってから誕生した新しい税法であれば、もしかしたら損金算入の要件が消費税なみに厳しかったかも??しれません。 現在では、いわゆる「上様領収書」の取り扱いの違いについては、国税庁側の見解としては、「消費税は消費税、法人税は法人税である。」として両者は別物であるという考え方を再三強調していたのをどこかで読んだ覚えがあります。 もしかしたら、内部で法人税法改正に向けて検討くらいはしてみたのかもしれませんが、古い歴史のある法人税法の解釈をそう簡単には変えられなかったのでしょう。 まあ、そんなわけですから、「消費税は消費税、法人税は法人税。」とすっぱり割り切って考えることです。 領収書の件だけでなく、消費税法が他の主要な税法(法人税や所得税や相続税)と比較して非常に独特な毛並みの変わった税法である点は、まだまだほかにもたくさんありますので、法人税の常識が消費税ではまったく通用しないことは(困ったことに)よくある話です。(笑)
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- 白鳥 之水海(@LakeSwan)
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再回答です。 >ということは、それ以外の業種からの領収書で上様と書いてあれば、 >やはり税務調査の際には否認されるのでしょうか? まず、基本的な考え方として、そもそも消費税法上は「ホ 書類の交付を受けるその事業者の氏名又は名称」のない領収書(宛名が上様とか空欄になっている領収書)なんか仕入れ税額控除の適用対象としては認めたくないのだと思います。 しかし、不特定多数の一般顧客を相手に現金商売をやっているような業種に対してまでそれを要求するのは無理ですね。 そこでやむなく小売業など一定のものについては、金額もたいしたことはないので大目にみているわけです。 また、消費税の「仕入税額控除」というのは、納める消費税を減額する権利なのであって、義務ではありません。 つまり会社が払った費用について、仕入税額控除の適用を受けたくなければ受けなくてもいいわけですし、反対に適用をぜひ受けたいのであれば、きちんと要件を守ってくださいね、というわけです。 必要な要件を全部満たした課税仕入れについてのみ、権利である仕入税額控除の適用を認めてあげますよというわけです。 実際に課税仕入れの事実があっただけでなく、書類の記録や保存といった細かい要件も消費税法は重視しているのですね。 ところで、そもそもなぜ「宛名が上様とか空欄になっている領収書」は好ましくないのでしょうか? 答えは、利益操作や脱税に使われるからです。 たとえば、業績の悪い親会社と好調な子会社があったとしましょう。 子会社で税金を払いたくありませんから、親会社の費用を子会社に移そうと考えますね。 この場合、親会社にある「宛名が上様とか空欄になっている領収書」を子会社にもってくれば簡単に費用の付け替えができます。 このような行為は当然認められませんので、国税庁側としては、ゆくゆくは上様や空欄の領収書は撲滅したいと考えているようです。 私の個人的な推測ではありますが、もしかしたら将来、消費税率アップの機会にあわせて仕入税額控除の適用の厳格化を進めてくるのかもしれませんね。 果たしてどうなるかわかりませんが、ご用心、ご用心。
補足
ご丁寧なご回答ありがとうございます。 大変解りやすくて、勉強になりました。 法人税では上様を認めていながら、消費税では上様を認めないというのは、やはり違和感がありますね。 これは、法律が出来た時期が違うからと考えていてもいいのでしょうか?つまり、消費税法は比較的新しい法律なのに対し、法人税法はもっと以前からあったのでこのような食い違いが生じているということです。 お忙しいかとは思いますが、気になりますので、ご回答宜しくお願いいたします。
- 白鳥 之水海(@LakeSwan)
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そもそも「上様」という領収書はあんまり好ましいものではありませんが、一応、消費税の条文を実際にみてみましょう。 消費税法第30条第 9項 仕入税額控除を受けるための請求書等とは、次に掲げる書類をいう。 1号 事業者(当社のこと)に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者(仕入先のこと)が、その課税資産の譲渡等につきその事業者(当社)に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(小売業その他の一定の事業である場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの イ 書類の作成者の氏名又は名称 ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日(一定の期間にまとめてその書類を作成する場合には、その一定の期間) ハ 課税資産の譲渡等の内容 ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(消費税等を含む。) ホ 書類の交付を受けるその事業者(当社のこと)の氏名又は名称 (注:わかりやすいように一部改変済。) というわけですから、領収書を発行した相手側が「小売業その他の一定の事業」であれば、「ホ・・・(当社の氏名又は名称)」がない「上様」の領収書でも消費税の仕入税額控除を受けることができます。 なお、「小売業その他の一定の事業」とは、消費税法施行令第49条第4項に、 「小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業、その他不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの」 と規定しています。 したがって、文房具屋とか飲み屋が発行する請求書・領収書であれば、「上様」という領収書でも仕入税額控除OKということになります。 なお帳簿の要件(消費税法第30条第8項第1号)には、「イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称」を記録しなければならないことになっていますので、その領収書の発行者の氏名又は名称を帳簿に記録しておく必要はあります。 ということは、領収書の宛名が「上様」であっても、発行者名がハッキリわかればそれでよい、ということになりますね。 取引の実態を重視している法人税が「上様」領収書についても損金算入を認めていますので、実際にはなかなか「上様」領収書はなくならないようです。
補足
ご回答ありがとうございます。 条文を見れば、小売業その他の一定の事業からもらった領収書ならば上様でもかまわないようですね。 それ以外の業種からいただいた領収書で上様と書いてあった場合には、仕入税額控除として認められないということになりますね。 ということは、それ以外の業種からの領収書で上様と書いてあれば、やはり税務調査の際には否認されるのでしょうか? 法人税は取引の実態を重視しているということで、上様の領収書を認めているということですが、ならば消費税は何を重視しているから上様の領収書は認めないのでしょうか? 御忙しいと思いますが、悩んでいますのでご回答の程宜しくお願いいたします。
- ok2007
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消費税法30条9項、消費税法施行令49条4項により、小売業、飲食店業ほか令49条4項に掲げる事業に係るもの以外の領収書については、「上様」は消費税法上、認められません。逆にいえば、小売業等の令に列挙された事業に係る領収書であれば、「上様」でも構いません。 実際にも、このとおり運用されていると聞きます。
補足
ご回答ありがとうございます。 No.2の方のご回答によれば、取引の実態を重視している法人税が「上様」領収書についても損金算入を認めているので、実際にはなかなか「上様」領収書はなくならないそうです。 この様な状態においても、税務署は上様の領収書を仕入税額控除として認めないのでしょうか? 御忙しいと思いますが、悩んでいますのでご回答の程よろしくお願いいたします。
お礼
何度もご回答いただきありがとうございました。 おかげさまで悩みが晴れ、すっきりいたしました。 LakeSwanさんの知識ってものすごいんでしょうね。 敬服いたします。 また何かありましたら教えていただけますでしょうか。 今回は本当にありがとうございました。