- ベストアンサー
これは実在する歌でしょうか。
以前、平安時代を舞台にした小説(古典のパロディ)の中に、 「奇しの恋は禁色の、深きすみれの色なりき(以下略)」 という歌(長歌?)がありました。 これは、小説の作者のオリジナルでしょうか?それとも、実在する歌でしょうか? もし実在するのなら、出典を知りたいので、ご存知のかたお願いします。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
え~、「ざ・ちぇんじ」ですね。 氷室冴子先生のオリジナルだそうです。 すみません、その情報ソースは忘れました^^;
その他の回答 (1)
- maris_stella
- ベストアンサー率71% (241/336)
>「奇しの恋は禁色の、深きすみれの色なりき(以下略)」 日本の古典などを、すべて知っている訳などありえないので、また不可能なので、断言はできませんが、間接的に、古典文学には、このようなものはないということが言えます。 「すみれ」というのは、禁色ではないはずです。「紫」は確かに禁色です。「禁色」で「男色」というような意味にも使うようですが、それでも、「すみれ」と「男色・少年愛」との関連性は日本の伝統では稀というか、考えられないのです。 むしろ、「すみれと少年愛」は西欧文学における関連性が可能性として高いです。日本の「すみれの花」は、可憐であるが、目だたない花です。西欧のすみれの花は、日本のものとは少し違うはずで、また、文学にすみれが出てくるのは、古典ギリシアなどの影響だと考えられます。 古典ギリシアのすみれの花は、日本のすみれと違い、もっと華麗で、かつ可憐さを持った花だったようです。「イオン」と古典ギリシア語で言いますが、「レウコイオン(白すみれ)」の形で出てくる例は知っています。 女性の美しさを、薔薇や百合やレウコイオンで形容した恋愛詩というのは、古典ギリシアに実際にあります。少年の美しさをレウコイオンまたはイオンで形容した例はあるかというと、記憶にないのですが、花に変身した美少年として、ヒュアッキントスとかアドニス(アネモネ)があり、アネモネはすみれに似ていたか、同種だったような気もします。 古典ギリシアではなく、ローマ時代の詩で、少年愛の少年を、「アルカディアのすみれ」にたとえた例があるのではないかとも思いますが、とまれ、少年愛とすみれを関連付けるのは、古典ギリシア・ローマ、そして西欧の発想です。 『少年愛の美学』を書いた、稲垣足穂だと、はっきり「アルカディアのすみれ=少年」ということを書いており、西欧の伝統では、そういうことになっていると述べていますが、古典ギリシアやローマでの典拠はいうと、いま思いつきません。 もう一つ、日本の古典文学では、「恋」は普通「男女のあいだの恋」で、調べると、「同性愛」ではないかという「恋」の歌もあるのですが、状況などを考えると、どうもそうではないのか、ということが推測できるので、はっきり分かりません。日本は、古来から、同性愛には寛容な文化であったのですが、文学の主題としてうたなどにはっきりうたうような習慣はなかったようです。 (「源氏物語」でも、少年愛だと推定できる部分があるのですが、あまりに婉曲で、よく考えないと分かりませんし、違うかも知れません)。 (古典ギリシア・ローマは、明確に同性愛の歌がたくさんあります。主に少年愛ですが、アンソロジーで、男女のあいだの恋愛のうたも、少年愛と混同して入れている例もあります。しかし、間違いなく少年愛と考えられるうた・詩も多数あり、女性を花にたとえるのと同様、少年を花にたとえることがあります)。 (更に、「やおい・耽美小説」のなかで、稲垣を典拠に、少年愛を「すみれ」で表現する例が多数あり、氷室も、このような例を念頭していたのだと思えます)。 >変身物語 >http://www.geocities.jp/arayanbb/greece/greecedata/g0106.html
お礼
すみれは禁色ではない、ということですが、ここでいう「すみれ」とは、すみれ色のことでしょうか。 いずれにしても、男色を「すみれ」というのは、平安文化ではないようですね。 作者が、西洋の文化と、「すみれの花=紫色=禁色=男色(禁じられた恋)」と関連づけて、例の歌を創作したのでしょうね。 しかし、こんなに奥が深いとは・・・・・・質問した私もびっくりです。 思いがけず、とても勉強になりました。 詳しく丁寧なご回答、ありがとうございました。
お礼
おっしゃるとおり、「ざ・ちぇんじ」です。 「とりかへばや物語」という古典のパロディということで、原作(?)を読んでみたのですが、そのような歌はなかったようで・・・・・・残念です。 ということは、男色のことをすみれというのも作者のアイディアでしょうか? エッセイや後書きなど、そのエピソードが載っているものをもし思いだされましたら、また教えてくださいね。 ありがといございました。