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IHTのコラムの一節4
例によってインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙のコラムの一節からの質問です。中途の文章の2つほど、解釈に自信がないので訳をお願い致します。 前後の段落を含めて引用します。 I'm not about to write a paean to Nixon. I watched him quit in a bar in Bolinas, California; I can still hear the cheer. But even his tortured nature betrayed some essential seriousness about the fate of the United States of America. By contrast, the Bush crowd has gambled the future of this country with abandon. (And Nixon did resign. Whatever happened to the notion that someone - a Cabinet member, a Wall Street CEO, the inventor of credit-default swaps - might actually fall on his or her sword? Shame has become a quaint chivalric notion, like honor, a thing of another American time.) Let's take a closer look at the Bush gamble. It's worth doing, because the first person in this country to re-price risk on the basis that it no longer existed was the president. Now, that's leading by example. The gamble involved going to war in Iraq at an estimated cost to date of about $700 billion (does that figure sound familiar?) while opting not to raise taxes but lower them. It involved going into that war, and another in Afghanistan, while asking not for shared sacrifice but a collective maxing-out in the service of shopping. 上記の文章中の because the first person in this country to re-price risk on the basis that it no longer existed was the president. Now, that's leading by example. の訳をお願い致します。 なお、他の部分をざっと訳すと次の通りです。 私は別段ニクソン大統領を誉めそやそうというのではない。私は彼の辞任発表をカリフォルニアのボリナスのバーのテレビで見守った。その時の歓声はいまだに耳に残っている。しかし、彼の屈折した性向の中にさえ、アメリカの将来に対するある本質的な真面目さがうかがえた。これとは対照的に、ブッシュ政権の人々は自分達の思うがままにこの国の未来を担保にして大博打をやっている。 (それにニクソンは実際に職を退いたのだ。誰かが――政権内の人間、ウォール街のCEO、CDSの発明者などが――自らの失敗の責任をとるという考えは一体どうなったのか? 「恥」という概念は奇妙な、騎士道的概念、「名誉」と同様に、アメリカの古きよき時代の概念になってしまった。 ブッシュのやった大博打を仔細に検討してみよう。それはやってみる価値がある。なぜなら、the first person in this country to re-price risk on the basis that it no longer existed was the president. Now, that's leading by example. その大博打とは、イラクとの戦争を開始したこと。現時点で推定7000億ドルのコストがかかっている(またかというような額である)。それも、増税どころか減税しながらである。それから、イラクとは別にアフガニスタンでも戦闘を展開していること。国民の間で犠牲を分かち合おうと呼びかけることはせず、国民が一丸となってショッピングに従事することを最大化しようと図りながらである。
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こんにちは。お疲れ様です。 これは面白いですね! the first person in this country to re-price risk on the basis that it no longer existed was the president. Now, that's leading by example. 1. ポイントは「it no longer existed」の「it」が何を指すか?ですよね。僕も考えたのですが、何のことはない、先行する「risk」そのものだと思います。すなわち意訳すると: 「そもそも無いリスク、それをあたかもリスクが介在するように再評価した(でっちあげた)のはブッシュ大統領が建国以来初めての人間だ。」 、、、要するに、「イラクにはWMD(Weapons of Mass Destruction)がある」と仮説を立てて米軍が先制攻撃したのですが、フタを開けてみるとそんなもの結局何もなかった、つまり「リスクはなかった」ワケです。911の腹いせとしてとんでもない税金をつぎ込んでフセインを攻撃し、自国兵士を犬死させるだけの結果となっています。一国の長による「過ち」への深い中傷と警鐘だと感じます。 「火の無いところに煙は立たないが、無理矢理煙を立たせているのがブッシュだ」ということをこの筆者が言いたかったのだと考えると、非常にツジツマが合いませんか? 2. Now, that's leading by example. 、、、これは実に簡単な文ですが、訳すのはちょっと厄介ですね。多分、「これこそ、前例に基づいた素晴らしい行動だ」と最大限に皮肉っているのでしょう。 この後の「$700 billion (does that figure sound familiar?)」のところは、明らかに先日10月3日に米政府にて通過した法案、「金融危機救済のための公的資金$700B投入」に掛けていて、「どっかで聞いたことある金額ですよね?」と皮肉っています。 3. この前、ニカラグアのオルテガ大統領が「米国金融危機」について、「世界の貧しい国に自国の経済原理を押し付けようとしたことによる神の罰だと述べた。悲惨な戦争に何十億ドルも費やした世界最強国の内側で、国民が自分の家にとどまるのに十分なお金を持てないというのは驚きだ(出典:2008.10.12 産経オンライン)」と演説したそうです。「神の~」というのはともかく、「自国民が自分の家に~」というのには極めて納得してしまいました。米国は本当にブッシュがダメにしましたねぇ。 ご参考までに。
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- duosonic
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duosonic です。 思い出しました、先日 Sanford Bernstein / Goldman Sachsの記事を載せた方でしたね? その節はありがとうございました。この前の記事は確か、「the bank」が証券屋を指している?というふざけた筆者でしたね。僕の頭の中ではハッキリと「銀行 ⇔ 証券屋」という区別があるからなのかも知れませんが、この言い回しは僕は未だに聞いたことがありません。 >>我ながらシツコイ性格だと思います。^^; 自分のしつこさにつきあわせる結果になって非常に恐縮です。 >いいえ、全然構いませんよ、好きでやっていることですから。納得できるまで疑い続けるというのは、良いことだと思いますよ。 >>re-price risk の解釈については、WMDなどのリスクが存在しないことが判明した後にもかかわらずあれこれリクツをこねて戦争を継続した、その「リクツをこねる」に相当するのではないかと今は感じています。 >確かにブッシュは、開戦当時言っていた「WMD撲滅」という大題目から、いつの間にか「テロとの戦い」に変わっていましたからね。フセインを生け捕りにした後も継続し、今に至ります。この筆者が言いたいのは、「開戦後になって WMDがないことが判明したが、それでも自分の先制攻撃と継続を正当化しようとする、実に理不尽なやり方だ」ということでしょうね。 >>翻訳・意訳する前にたとえ原文が文法的におかしいところがあってもそれがどうおかしいのか、どれぐらい文法から外れているのか、正確な文章を書くとしたらどうなるのか、等々を完璧に見極めたうえで翻訳・意訳したい。 >きっと間違えてはないのでしょう、文法的には。ただ「分かり難い」という話です。ネイティブの読者がこのパッセージ、つまり問題となっている箇所を読んでも何も感じないのかも知れません。特に米人なら、自分が選出した一国の長がやっていることですから、ある程度の前知識があることでしょうし。 しかしESLである我々が見たら、明らかに二回、三回と見直さないと意味が分かりません。それは我々が全く違う形態を持つ言語に「意味を寸分違えずに訳そうとする」からですよね、きっと。これには「限界」があって然るべきなのでしょう。 このパッセージの論調からすると、筆者はもっと過激な書き方をしていたのかも知れないとさえ思えます。しかし、いくら言論の自由が保障保障されていると言っても、あんまり露骨に現役のブッシュ批判を書いてしまうと、ホワイトハウスが出版社を制圧する恐れがあるため、編集部が書き換えることが多々あるでのしょね。 最後に、そうですねぇ、僕だったらこう書いたでしょうか。これなら、ギャンブルという比喩の中でも通じるような気がします: ~ because the first person in this country to justify his own "mistake" as a "righteous movement" by insisting the eliminated risk still existed was the president. ご参考までに。
お礼
たびたびのレスありがとうございます。 なるほど ~ because the first person in this country to justify his own "mistake" as a "righteous movement" by insisting the eliminated risk still existed was the president. の書き換えはわかりやすいですね。 やはりこの一文はネイティブスピーカーといえどもちょっと難しい、ネイディブなら誰でもわかるというわけではなく、人を選ぶだろうし、特に re-price risk の意味はネイティブでも人によって意見が多少ばらつくのではないかと推測します。 たまにこういう人を立ち止まらせる文章を書くのはコラムニストのテクニックのひとつ、いわば「芸」の一種と言っていいと思います。平明な文章ばかりだと読者は退屈しますから。 自分はネイティブ並みの読解力を目指しているのでわからないと口惜しいですが。 英文の書き換え、ありがとうございました。
- duosonic
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duosonic です。 すみません、一行書き終わる前にアップロードされてしまいました。 前項は、kaiyoseiさんの考え方を変えなさいと言っているのではありませんよ。ご言及の「リスクはもはや存在しなかった(しない)という土台・根拠に基づいて(リスクを再評価~)」を使って、誰が読んでも筆者の意図が一発で伝わる訳し方ができるのなら、それに越したことはないですよ。でも、僕の経験からすると、「もともと全く違う二つの言語なのですから、それにも限界があることがありますよ」という話です。 お邪魔いたしました。
お礼
なるほど。理解できました。最初、原文の文法的意味からお示しの意訳に至る道筋が自分にはよくたどれなかったものですから。すみません。 re-price risk の解釈については、WMDなどのリスクが存在しないことが判明した後にもかかわらずあれこれリクツをこねて戦争を継続した、その「リクツをこねる」に相当するのではないかと今は感じています。 原文が文法的に必ずしも正確ではない場合があるのはもちろんです。また、読者に受け入れられるように翻訳・意訳する必要性がある点もまったく同意します。 ただ、自分としては、翻訳・意訳する前にたとえ原文が文法的におかしいところがあってもそれがどうおかしいのか、どれぐらい文法から外れているのか、正確な文章を書くとしたらどうなるのか、等々を完璧に見極めたうえで翻訳・意訳したい。 取りあえず原文の「非文度」? は正確に計量しておきたい。そう考えているのでしつこく原文の文法にもこだわるわけです。 我ながらシツコイ性格だと思います。^^; 自分のしつこさにつきあわせる結果になって非常に恐縮です。 ようやく質問の文章のイメージがつかめてきました。ありがとうございました。 IHT日本語版がもし出るならぜひその翻訳をやってみたいものですね。
- duosonic
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duosonic です。 the first person in this country to re-price risk on the basis that it no longer existed was the president. Now, that's leading by example. 1. 「リスクはもはや存在しなかった(しない)という土台・根拠に基づいて(リスクを再評価~)」 、、、ですから、文法云々を優先して訳すのなら、この解釈の通りで良いのではないでしょうか。 僕は、文法的に云々はとりあえず置いておいて、この分が言わんとしようとしていることを誰が読んでも分かるように「意訳」したつもりです。だから「意訳」とありますでしょ? それがご質問の意図であると思ったもので。 「WMDなどのリスクがそもそも存在しなかったという Basisに基づいて」ということですよね? それは僕が考えた通りです。ブッシュが「そもそも存在しなかったリスク」に対して取った行動は何であったかというと、充分な調査もしないうちに「イラクにはWMDが実在するため、米国その他自由主義国が危険に晒されるリスクがある」と決め付けて「イラクを先制攻撃した」ことのです。つまり、「フタを開けてみたらWMDの欠片もなかった」という正式な調査結果が出る前に「WMDの存在を既成事実のようにしてしまった ⇒ でっち上げた」ということですよね。 それで: 「そもそも無いリスク、それをあたかもリスクが介在するように再評価した(でっちあげた)のはブッシュ大統領が建国以来初めての人間だ。」 、、、と「意訳」したワケです。 2. 僕が回答する際に、どなたのご質問であるかということは考えたことがないですが、「なかなか納得しない」というのはとても良いことですよ。納得した時の喜びもひとしおでしょうから。しかしこういった記事、特にこの場合のような記者の手記調のものが「日本流ハードコア英文法」に照らし合わせてみて 120%合致していると僕は到底期待していません。 つまり「完全な文である」とか、そういった形式的なことに捕らわれることなく、こういうのを読む時には「筆者は何が言いたいのか、それをもって自分自身の持論と比較してどう思えるのか」しか頭にありません。何故なら、これを書いた筆者は語彙や文法的で読者を唸らせてやろうとは毛頭考えてないでしょうから。 そもそも、全く発祥ルーツが違う外国の言葉の語彙、文法や慣用表現などを完璧に自国語にはめ込もうとすること自体に無理があると考えます。例えば IHT日本語版を発行するために原文記事を邦訳する仕事をしていたとしても、文法的にどうのこうのではなくて、とにかくおカネを出して購読してくれる読者が分かる、すなわち筆者の意図が一発で伝わるように訳すことが要求されるハズです。なので翻訳においては、「意味を違えない範囲で拡大解釈・意訳ができること」が一番モノを言う技能ですよね。 3. 僕もいっぱい回答させて頂いておりますが、邦訳する際には「訳はお任せします。意訳しておきます」として、分かり易くするためにあえて文章にない単語を交えて長く書くということが多々ありますよ。それをご質問者自身が噛み砕いてもらって、必要に応じて、意訳から逸脱しない範囲で邦訳してもらう方が良いと思っているからですね。 ご参考までに。
- Hideto123
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もはや存在しないものを根拠に、(アメリカが抱える)リスクを 再評価しようとした、わが国初の人物だからだ。 これは、フセインがアルカイーダと関係がなく、核兵器も持たなかった という事実が明らかになった後も、戦争を遂行するという政策を 変更しなかったことを指しているのでは? いまや、それが人々のお手本になっている。 leading by example とは、リーダーシップ論において、自分がお手本を示して、 他の人を正しい方向へ導く というようなことだと思いますが、 ブッシュ大統領は、間違っていても責任を取らなくてもよい というお手本を他の人に示したのだ(イラク戦争において)。 というようなことを言いたいのではないでしょうか?? (自信がないから、参考意見ということで・・・・)
お礼
最初はピンときませんでしたが、しばらく時間をおき考え、また、他の方の回答を読んでいるうちにお示しの回答が大筋で正しいような感触を得ました。 ありがとうございました。
補足
レスありがとうございます。 うーむ。Hideto123さんも「自信がない~」ですか。そうすると少なくともこの文章は英文解釈でよくある「なぜこんな簡単なことが最初わからなかったんだろう」的、自分の一時的英文読解感覚麻痺ではないということですね。^^; 取りあえず時間をおくと共に自分でももう少し考えてみます。 ではまた後日。
補足
レスありがとうございます。 返事が遅くなって申し訳ありません。 さらに申し訳ないんですが、自分としては未だに心の中にもやもやしたものが消えない状態です。 1. の it がリスクを指す代名詞というのはおっしゃる通りです。 ただ、it no longer existed は文法的にいって完全な文ですから、直前の that はいわゆる「同格」の that と考えられます。そうすると、「リスクはもはや存在しなかった(しない)という土台・根拠に基づいて(リスクを再評価~)」という訳になります。文法的にはこの解釈はゆずれません。そして、この線で文全体を考えるとやはり今ひとつ自分にはすっきり意味がとれないのです。 容易に納得しないのはこれまでの私の質問を見てもらえばおわかりになると思います。そういう性格の人間なのだとあきらめてください。すみません。^^; Now, that's leading by example の解釈は参考にさせていただきます。 does that figure sound familiar? の解釈については異論ありません。 3. について。 ついこの前の IHT かなにかのコラムでも、「歴史の終わり」で有名なフランシス・フクヤマ氏が「アメリカというブランドの価値は相当下落した」という趣旨のことを書いていました。 まあ、アメリカが没落するのは結構「ざまあみろ」という気もするのですが、といって中国やロシアが台頭するのもちょっといい気持ちがしないというのが困ったところです。^^;