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鼻息
ある明治の文章家が「鼻息(びそく)を伺ふ」という言い方は「疎率」だと嘆いているのを読んだことがあります。しかし出典に則した「鼻息を仰ぐ」という言い方にはなかなかお目にかかれません。会話でも文章でも「鼻息を伺う」より「鼻息を仰ぐ」が広く使われていた時代は存在したのでしょうか?
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はじめまして。 ご質問: <会話でも文章でも「鼻息を伺う」より「鼻息を仰ぐ」が広く使われていた時代は存在したのでしょうか?> 1.文章体では、漢語表記がされていた時代には、広く使われていたようです。「鼻息を仰ぐ」で検索すると、漢語体の文章に多く見つかります。 2.出典は後漢書ですが、「鼻息を仰ぐ」という表現は、階級意識の強い封建時代に顕著に使われていたように感じます。理由は以下の通りです。 (1)鼻息は文字通り鼻息(はないき)のことで、「鼻息を伺う」とは、その鼻息の程度から「他人の機嫌をうかがう」ことを意味します。 (2)「伺う」には「目上の人の意見・指図を得ようとしてたずねる」意味があります。 (3)それが「窺う」に転じ、「様子を見る」という意味でも使われ、現在で一般化した用法となっています。 (4)一方「仰ぐ」には、「目上の人に教え・指示を求める」という意味のみがあります。「伺う」にはその意味もありますが、「様子をみる」という別の意味もあります。 (5)身分意識の強い戦国時代や昔の封建時代、軍国主義時代では、「上に指示を求める」という意味のみがある「仰ぐ」が広く普及していたと予想されます。 3.現代では様子伺いの一般的な意味で用いられ、上下間があまり明白ではないので、上の指示を仰ぐ意味だけではない「伺う」に定着したものと思われます。 以上ご参考までに。
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- jo-zen
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例えば、明治時代の小説家、内田魯庵なども『社会百面相』の中で、「主筆の鼻息を窺いつつ勉強して」というように、「鼻息を窺う(びそくをうかがう)」を使っているようですね。 http://www.geocities.co.jp/Bookend/4373/vol_237.htm http://homepage3.nifty.com/naitouhougyoku/sisiden-jinbo.htm などでは、「鼻息を仰ぐ」の形で使われていますので、江戸時代までは出典に則った形で使われていたと思われます。学問をすることができる境遇は限定的ですし、正しい形でしか教えないし、一般人はそんなことばがあることすら知らなかったでしょうから。
お礼
今回も回答ありがとうございます。なるほどと思いました。
お礼
今回もありがとうございます。合理的な推論も含め納得しました。