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エントロピー
S(エントロピー)は状態量のため可逆的であるか不可逆的であるかを特定する必要はないという記述を見たのですが、いったいどういうことなのでしょうか?
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- phusike
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「どういうことなのでしょうか」と問われても 質問の意図が分からないのですが、 エントロピーは状態量、 つまり、ある平衡状態を定めれば、 あるいは熱力学を記述するのに充分な変数の組、 例えば(P,V,μ)や(T,V,N)等を指定してやれば、 その状態に至るまで系が如何なる経路を辿ったかに依らずに、 一意に決定されるということです。 統計力学を学ばれたのでしたら、 エントロピーがlog Ω、あるいは-Σp log pで定義されることからも明らかです。 混乱されているのが、エントロピーの熱力学的定義の 「dS = δQ/T」という部分であるのならば、 このδQというのは、 「可逆の仮想の経路を辿ったときに」系が受け取る熱量です。 実際に系がどのような経路を通ったかは全く関係ありません。 例えば、体積2Vの断熱壁で囲まれた箱を用意し、 仕切りで半分に区切ります。 片方にだけ物質量N、温度Tの理想気体を入れ、 もう片方は真空にしておきます。 ここで仕切りを取り除いたとき、 気体の状態は(T,V,N)から(T,2V,N)へ変わります。 この時のエントロピー変化はというと、 断熱変化だからδQ=0、従ってdS=0としては当然ダメです。 これは不可逆過程なので、 可逆過程で同じ(T,V,N)→(T,2V,N)へと変化する仮想の経路を考えねばなりません。 例えば、ピストンの中に物質量N、温度Tの理想気体を入れ、 温度Tの熱浴と外部圧力P=NRT/Vの状況におき 等温等圧の状態で膨張させたときのδQを求めなければなりません。