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エントロピー増大の法則について
大学の化学の講義で化学熱力学をやったのですが、いまいち納得できませんでした。 講義では、「宇宙のエントロピーは時間につれて、自然に増加する傾向にある。反応が進むときに系のエントロピーが減少しても、外界のエントロピーは増加する。つまり、宇宙全体のエントロピーが大きくなる方向の反応は、自発的に起こる。」と習いました。可逆においては、系と外界のエントロピーの変化は等しく宇宙のエントロピーは変化しない、ということは知っています。 ではなぜ、不可逆では系と外界のエントロピーの変化が異なってくるのでしょうか?また、系のエントロピーが増加した場合は外界のエントロピーの変化はそれより小さな減少になっているということでしょうか? このことに関連して、可逆的に加えられた熱量Qと不可逆的な熱量Qの取り扱いがわかりません。 まだ初年度のため、さわり程度しか理解していませんが、悩んでいますのでわかる方お願いできないでしょうか。
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- KitCut-100
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回答させていただきます。 私も大学の熱力学の講義のとき、エントロピー Sの概念が出てきたときには 悩みました。 最終的に完全に理解できたのは ボルツマンの関係式を習って時です。 分かってしまうと熱力学的なSの定義が間接的な定義でありそれが理解を 阻害していとことが分かりました。 ボルツマンの関係式はS=klnw (k:ボルツマン定数 ,W:系の微視的状態の場合の数)ですが、これは,ミクロな状態Wとマクロな値Sとの関係式です。因みにこの式は ボルトマンの墓に刻まれているそうです。 それと 熱力学的なSの定義を結びつける関係式は下です。 d(log W) 1 -------- = ---- d Q kT 温度の定義式です。 これは重要な式で、温度とはどの物質に熱量の出入りが あるときその物質の場合の数の対数の変化する割合で定義されています。 以上前置きです。 回答させていただきます。 1)不可逆では系と外界のエントロピーの変化が異なってくるのでしょうか? 異なっています。 不可逆変化の代表例に 高温の物体と低温の物体をくっつけて熱を移動させる反応があります。 上の温度の定義式より、温度が高いとは、同じ熱量の出入りがあってもその場合の数の変化が少ないことです。 温度はその逆です。 さてこの反応では同じ熱量Q1が移動します。 そうすると高温側は、温度が高いので ln Wの変化は小さいです。また熱が出て行くので符号はマイナスです。 低温側では ln wの変化は大きいです。 符号はプラスです。 この反応の高温側のエントロピー変化をΔSh 、低温側とΔSl と書くと ΔSh + ΔSl >0 となります。 これがエントロピー増大の法則です。 ここでのポイントは 温度差があるときに熱が移動したことです。 温度の定義と ボルツマンの関係より温度差下での熱の移動はエントロピーの 増大となります。 可逆反応は 同一温度下での熱の移動です。 同じく式よりエエントロピーは 変化しません。 微視的状態の場合の数を数えるのにエントロピーというマクロな量を考えた。 温度もそれにしたがって定義した。 エントロピー増大の法則とは、物質の状態の 数で増大の法則です。 2)系のエントロピーが増加した場合は外界のエントロピーの変化はそれより小さな減少になっているということでしょうか そうです。 そして合計がプラスです。 3)このことに関連して、可逆的に加えられた熱量Qと不可逆的な熱量Qの取り扱いがわかりません. たとえば断熱膨張のような、気体の変化を考えますと。 不可逆的に加えられた熱量は、内部エネルギーの増加のみに使われますが 、可逆変化の場合は内部エネルギーと外部への仕事の二つにつかわれます。 ここで可逆ではバランスを保ってへんかするために外部への仕事が必要になります。 ここが可逆変化のポイントです。 お勧めです。 まず気体の状態変化 可逆と不可逆の違いを徹底的に理解する ことを薦めます。 こうすれば Sが一体なにを表しているかがわかります。 分かってしまえばしごく当たり前で簡単な概念です。 因みに私の理解は 先ほどの二式です。 熱力学はこれのみですべて解けます。 (すくなくとも概念はすべて解けます。)
お礼
どうもありがとうございました。詳しい説明に感謝しています。自分の中で解決に向かっていると思います。