非常に長くなってしまいますが、ご容赦ください。
今回のは一番基本的なカデンツです。
この段階を理解しておくと、この先が非常にスムーズになりますよ。
今回のカデンツですが、3つの音からなる「三和音」に、左手を付けた形と考えて良いと思います。
かなり噛み砕いて説明すると、「ドミソ」も「ミソド」も「ソドミ」も同じ和音なんです。ただ、音が重なる順番が変わるだけ。
ではなぜ重ねる順番を変えるかというと、一つ前の和音からスムーズに音が移り変われるようにするためなんです。
例えば、ドミソからファラドと移るよりは、ドミソからドファラと移った方がスムーズに進むように思いませんか?
ドファラとなっているのはこのためです。
今回のカデンツは、上記のような「音の重ねる順番を変える」ということをしない場合、このようになります。
ドミソ
↓
ファラド
↓
ソシ(レ)ファ
↓
ドミソ
このような和音の進み方をするのですが、スタートのドミソからスムーズに音を移り変わらせるために、ファラドがドファラになるわけです。
左手の音は、それぞれの和音の一番下の音を弾いているだけです。
「シファソ」について、特別な事情があります。
シファソという和音は、本来はソシレファソという4つの音からなる和音なんです。
ですが、今回は三和音のカデンツのため、一番重要度の薄いレの音を省略して、ソシファになります。そして、上記の重ねる順番の変化により、シファソになったりするわけです。
で、ソシレファとは何か。
ドミソという、このカデンツの主たる和音に対し、「ドミソに戻りたい!」という気持ちが一番強く表れる和音がソシレなんですが、そこにファの音を加えると、「主たる和音に戻りたい気持ち」が非常に強まるんです。そこで、カデンツの最後の一つ前という、一番ドミソに戻るぞ!という和音にはソシレファを使うんです。そして、上記の通り今回は三和音なので、レを省略してソシファになります。
>理想ではハ長調では左手がファなら右手がドファラになるというような事を、どの調でも理解できたらいいのですが、コツがあればと思いました。
Iドミソ
IIレファラ
IIIミソシ
IVファラド
Vソシレ
VIラドミ
VIIシレファ
各調の音階の上に出来る和音のことは、上記のように数字(ローマ数字)で呼びます。
今回のカデンツは、「I→IV→V→I」と進む分けです。
カデンツの調が変わるときに、全ての音を一から考え直すのではなく、
まずこのカデンツのIの和音は何か、IVの和音は何か、Vの和音は何か、ということを考えるんです。その後、先に書いたように和音の順番が変わります。こうすれば丸暗記を避けることが出来ます。
no.1の回答欄でも書きましたが、お子さんと大人では覚え方が違うかもしれません。
私は高校生の時にこの辺りの勉強をしたため、完全に理屈で覚えた人間です。
質問者様も今回の回答の覚え方で良いと思いますが、お子さんの理解の仕方については、是非ピアノの先生に相談してください。
なぜかというと、小さい子供は和音の進み方などを良い意味での感覚的にグングン吸収出来るので、今回私が書いた理解の仕方を押し付けると、せっかくの「感覚的な伸び」の邪魔をしてしまうのではないかと思うからです。
今は感覚的に理解し、中高生になってから理屈を把握するのも遅くはありません。
私はこのように考えますので、今回の回答はひとまず質問者様の理解の手助けに止めて頂きたいと思います。
今回の回答の内容は非常に噛み砕いた内容です。
no.1でご紹介した本で理解を補って頂きたいと思います。
139ページから148ページの範囲になります。
実際に楽譜が載っていますので、非常に分かりやすいです。
この楽典の本を読み、さらに今回課題となっている全てのカデンツを五線紙に書いてみてください。理解が深まると思います。
各調の各和音の、全ての転回形(重ねる順番が変わった和音のこと)も書いてみてください。
さらにご質問等ありましたら、またコメントさせて頂きます。
お礼
お礼が遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。 内容をじっくり読ませていただきました。 音楽の事に全く知識がない私にとってIとかV7とか、先生の言われることが全く意味不明で、そこから付いていけない状態でしたので、 dqpq05様の細かい解説で、やっと理解ができました。 本当にありがとうございます。 自分が理解ができると、教えやすくなりそうです。 五線紙にも書いて、子供と理解を深めたいと思います。 子供の方がすんなり覚えそうですね。 がんばってみます!非常に丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。