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複素積分です。
∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθの積分(Rは正の定数)を、 式変形 z = Rexp(iθ) と置いて ∫exp(iz)/z dzと式変形したのですが、 この場合積分路が閉曲線でないので、留数定理を用いることが出来ないと思い、つまづいてしまいました。こういう場合はどのように考えるべきなのでしょうか?また答えはいくつになるのでしょうか? 非常に素人的な考えなのですが、(θ:0→2π)ならば、答えは2πiになるので、今の場合はその半分でπiくらいになるのかなと思ったのですが(^^;
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chabbuuさん、こんにちは。 > (1)で∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθを複素積分に直せ。また積分経路を図示せよと聞かれていて、 そこまででしたら、 > ∫exp(iz)/z dz で、「積分経路は、複素平面上、原点を中心とする半径Rの円の上側半分」で解答になっていますね。 > この場合積分路が閉曲線でないので、留数定理を用いることが出来ないと思い、つまづいてしまいました。こういう場合はどのように考えるべきなのでしょうか? 閉曲線ではないので、留数定理を用いることはできません。 それで良いです。 つまづいていませんよ(^^ ) > また答えはいくつになるのでしょうか? 一般のRの値について、実行することはできないと思います。 > (θ:0→2π)ならば、答えは2πiになるので、今の場合はその半分でπiくらいになるのかなと思ったのですが(^^; 一般のRの値ではそうなりません。円が閉じて全円になっていれば確かに、2πiになりますが、半円のときにその半分というわけにはいかないです。ただ、それでも良い場合があります。それはR→0の極限の場合です。 > (2)でそれをR→∞やR→0にしたときの値を求めよ。となっているんですけど、 まず、R→0の場合について説明します。 R→0のときには、なにしろ元の積分が、 I = ∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθ なので、これでR→0にしてしまえば、 I = ∫(θ:0→π) iexp(0) dθ = i ∫_0^π dθ = iπ ということで、「予想」どおりの値になりますね。 [別解] せっかく複素積分にしたので、R→0で、 I = ∫_{上半円} exp(iz)/z dz → ∫_{上半円} exp(i0)/z dz = ∫_{上半円} dz/z と考え、これで z'=-zとおき、上半円を下半円に移し、積分変数z'を再びzと書くと、 I = ∫(-dz')/(-z') = ∫dz'/z' = ∫_{下半円} dz/z となりますが、これが元の積分に等しいわけですから、 I = (1/2) [∫_{上半円} dz/z + ∫_{下半円} dz/z ] = (1/2) ∫_{全円} dz/z = (1/2)×2πi = πi として求めてもよいです。(これはあくまでもR→0の場合。) 次に、R→∞の場合について説明します。 結果的に I → 0 になるのですが、それを証明します。 やはり複素積分よりも、元の積分で考えるほうがわかり易いです。まず被積分関数をf(θ)とおいて、その大きさは、 |f(θ)| = |exp(iRexp(iθ)) | = |exp(iR(cosθ + isinθ))| = | exp(-Rsinθ) exp(iRcosθ)| = exp(-Rsinθ) となることに注意します。(|exp(iφ)|=|cosφ+isinφ|=√[(cosφ)^2+(sinφ)^2] = √1=1 ) 次に、0~πの積分領域を、2/√R<θ<π-2/√R の領域(a)と、残りの領域(b)に分けて考えます。 領域(a) 2/√R<θ<π-2/√R では、Rが非常に大きいとき、sinθ>1/√R がいえます。 なぜならθが小さいとき、sinθ>θ/2は簡単に分かりますが、θ>2/√Rなので、およそsinθ>1/√Rです。θがπに近いときにはsinθのグラフをθ=π/2を中心にひっくり返せば、同じように、sinθ>1/√R がわかります。 故に、f(θ) = exp(-Rsinθ) < exp(-R/√R) = exp(-√R) … (1) がいえます。 領域(b) 2/√R>θ>0、π>θ>π-2/√R では、 f(θ) = exp(-Rsinθ) < 1 … (2) に注意します。 ところで、正負の打消しあいがない分だけ、絶対値をとってから積分したもののほうが、積分してから絶対値をとったものよりも大きくなることは明らかなので、 |I| < |∫f(θ) dθ| < ∫|f(θ)| dθ が成立ちますが、各積分領域に、(1),(2)を用いると、 |I| < ∫_0^π exp(-Rsinθ) dθ < ∫_{2/√R}^{π-2/√R} exp(-√R) dθ + ∫_0^{2/√R} dθ + ∫_{π-2/√R}^{π} = exp(-√R) × (π-4/√R) + 4/√R → 0 が R→∞ でいえます。 故に、R→∞で、I → 0 です。 この証明の要点は、大雑把に言って、上半無限円上では、指数関数exp(iRexp(iθ))の肩の実部が-∞になるので、積分が0になるということです。ただし、上半無限円上でも実軸に近いところは、θが小さいので、指数関数の肩の実部が-∞になるとはいえないので、積分領域を分けました。実軸に近いその領域では、肩の実部が-∞にならないかわりに、積分領域がR→∞で、小さくなるから、最終的な積分には寄与しないわけですね。 ちなみに、このことを使うと、 J = ∫_{-∞}^{+∞} exp(ix)/x dx の値を求めることができます(x=0の付近は積分範囲から除いてある)。この積分に上のI(R→∞)とI(R→0、ただし逆周り)の二つの積分を足すと、積分経路は閉じて閉曲線になり、留数定理が使えて、経路の内部には極がないから、 J + I(R→∞) + I(R→0、ただし逆周り) = 0 となります。I(R→∞) = 0 であり、I(R→0、但し逆周り) = - iπ なので、 J = iπ が得られます。ちなみに、 ∫_{-∞}^{+∞} sin(x)/x dx = (1/2i) [∫_{-∞}^{+∞} exp(ix)/x dx + ∫_{-∞}^{+∞} exp(-ix)/x dx] = (1/2i) iπ×2 = π が得られます。この積分は、このように複素積分を使わないとなかなか求められないものです。
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- gururinbus
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これのもとの問題はもしかして∫ sin(x)/x dx (0<x<∞)を求めよ ではありませんか? ∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθは値を求めるよりも R→∞やR→0にしたとき∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθがなにに収束するかを問題にすることが多い気がしたので^^;
補足
これってよくある問題なんですか? はっきり言いますとこれは学校の課題の一部なんですけど、 (1)で∫(θ:0→π) iexp(iRexp(iθ)) dθを複素積分に直せ。また積分経路を図示せよと聞かれていて、 gururinbusさんが仰っているように(2)でそれをR→∞やR→0にしたときの値を求めよ。となっているんですけど、僕の安易な予想で多分同じ値になるのではないかな?と勝手に解釈してしまったところがありまして、なんか回りくどい質問の仕方になってしまったかもしれません。 gururinbusさんが仰っているような∫ sin(x)/x dx (0<x<∞)の値を求めよ。という問題ではないです。
お礼
回答ありがとうございます。非常に分かりやすくて、助かりました。 それに sin(x)/x の積分についても教えていただき、ありがとうございます。 特にR→∞のときの解説がすばらしかったです。是非自分のノートにでも書き留めておこうと思います。本当にありがとうございました。