なぜ√zの定義には2葉のリーマン面が要るの?
複素関数f(z)=√zでなぜリーマン面なるものを導入するのか分りません。
実関数の例ではf:R→2^R;f(y)={±√y}などが2価関数ですよね。この時の分枝は
(ア) g_1(y):=√yとg_2(y):=-√y
や
(イ) g_1(y):=√y if 0≦y<1,-√y if 1≦yとg_2(y):=-√y if 0≦y<1,√y if 1≦y
など色々,無数に定義できますよね。
そして出来るだけ不連続点や微分不能点が少なくなるように分枝を選ぶしきたり(?)なのですよね。よってf(y)={±√y}の例では(ア)を分枝とする。
さて,f(z)=√zに話を戻すと,普通に考えて,√zは極座標で定義されて2つの点{√|z|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|z|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))}を表しますから
(z=0以外定義域の各点の像が単集合とならず複数元を持つ集合となる場合に多価関数と呼ぶ)
f:C→2^Cを
√z:={√|z|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|z|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))} if z≠0, {0} if z=0. 但し,-π<θ≦π.
と定義すればいいのではないかと思います。
この時,簡単なために{z∈C;|z|=1}で話を進めると,
連続性に関しては
z=-1の時,θ=πで
lim_{z→-1}√z=lim_{θ→π-0}{√|z|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|z|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))}
=lim_{θ→π-0}{√|-1|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|-1|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))}
={±i}=f(-1)
であり,他方
lim_{θ→-π+0}{√|z|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|z|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))}
={±i}=f(-1)
なので,f(z)=√zはz=-1で連続。
lim_{z→0}f(z)=lim_{z→0}{√|z|(cos(θ/2)+isin(θ/2)),√|z|(cos(θ/2+3π)+isin(θ/2+3π))}={0}=f(0).
となるのでz)=√zはz=0でも連続。
微分可能性に関しては
d/dzf(z)|_{z=-1}=lim_{C∋h→0}(√(-1+h)-√-1)/h
=lim_{R∋h→-0}{[√|z|(cos((π+h)/2)+isin((π+h)/2))-|z|(cos(π/2)+isin(π/2))]/h,[√|z|(cos((π+h)/2+3π)+isin((π+h)/2+3π))-√|z|(cos(π/2+3π)+isin(π/2+3π))]/h}
={±i/2}
同様にlim_{R∋h→+0}の場合も
lim_{R∋h→+0}{[√|z|(cos((-π+h)/2)+isin((-π+h)/2))-|z|(cos(-π/2)+isin(-π/2))]/h,[√|z|(cos((-π+h)/2+3π)+isin((-π+h)/2+3π))-√|z|(cos(-π/2+3π)+isin(-π/2+3π))]/h}
={±i/2}となるのでf(z)=√zはC\{0}で微分可能となります。
これではどうしてダメなのでしょうか?
どうしてarg(z)は(-π,π]と(π,3π]のわざわざ2価関数であるとして,2葉のリーマン面(C\{0})^2が必要なのかわかりません。
1葉の面に2つとも載せたらどういう不都合が起こるのでしょうか?