>ご理解の「ほど」よろしくおねがいいたします。 ご協力の「ほど」よろしくおねがいいたします。 の、「ほど」ってなんでしょうか? ご理解をよろしくおねがいいたします。 ではだめなんでしょうか?
⇒はい、「ご理解をよろしくおねがいいたします。」で十分意味は通じます。
では、なぜ余計な語句「ほど」をつけるのでしょうか。それは、敬語表現の類で、《ぼやかして言うことによってより丁寧な感じを添える》のです。例えば、電話で「〇〇さんですか?」と言えば十分伝わるのに、わざわざ「〇〇さんのお宅ですか?」と言う。この「お宅」という語は、必要があってというよりは、何となくぼかして言うことによって尊敬・丁寧・遠慮・謙譲などのニュアンスを添えているわけです。
一般に、「明快さと曖昧さ」は、「あからさまとやさしさ」に対応しますね。つまり、《はっきり言うとぶしつけで、ぼやかして言うとやさしい感じ》を与えます。別の例として、例えば、デパートで「〇〇売り場はどこですか?」という質問に対して、店員は「あそこです」と言えば明快に伝わるのに、わざわざ「あちらの方でございます」などと言います。
このように、ぼやかして言うことによって語気を緩和する表現法を「婉曲語法」と言います。会話表現では、この婉曲語法をうまく使いこなすことが自然な対話のための基本的なマナーになっている観がありますね。
お尋ねの《ご理解の「ほど」よろしくおねがいいたします。ご協力の「ほど」よろしくおねがいいたします。》は、こういう部類の表現法ということになります。